第68話 ──天城煉、撃沈す──
第68話 ──天城煉、撃沈す──
昼休みのアークライト学園・中庭。
冬の陽光が差し込み、
生徒たちの笑い声が遠くに響いていた。
悠斗・玲奈・オルタの三人は、
ベンチで弁当を広げていた。
玲奈
「……天城さん、思ったより早く来たね。」
悠斗
「いや、来なくていいんだけど……」
オルタ
「ふふ。悠斗、顔がこわいよ。」
悠斗
「お前が楽しそうなのが怖いんだよ……」
そんなやり取りをしていると――
空気がふっと熱を帯びた。
玲奈
「……来た。」
悠斗
「マジかよ……」
赤い制服の少年が、
中庭の入口に姿を現した。
天城煉。
フレアライト魔導学院の代表。
炎の名門・天城家の直系。
煉
「やあ、悠斗くん。
昼休み、ここにいると聞いてね。」
悠斗
「誰に聞いたんだよ……」
煉
「紗月に。」
悠斗
「あいつ……!」
玲奈
「(紗月、悪気はないんだけど……)」
煉は悠斗の前に立つと、
ふと視線を横に向けた。
そこにいたのは――
白い髪の少女、オルタ。
煉
「…………」
オルタ
「ん?」
煉
「………………」
玲奈
「(あ、これ……)」
悠斗
「(嫌な予感しかしない……)」
煉
「……すまない。
あまりにも……美しいものを見て、
言葉を失っていた。」
悠斗
「はぁ!?」
玲奈
「(天城さん……わかりやす……)」
オルタは首をかしげた。
オルタ
「美しい……? 私が?」
煉
「そうだ。
君は……なんというか……
完璧だ。」
悠斗
「(こいつ……!)」
玲奈
「(これは……刺さるやつ……)」
煉は一歩前に出て、
真剣な表情でオルタを見つめた。
煉
「初対面で失礼かもしれないが……
君に、興味がある。」
オルタ
「へぇ。」
煉
「もしよければ――」
オルタ
「無理だよ。」
煉
「…………え?」
オルタ
「あなた、人間でしょ?」
煉
「ぐっ……!」
玲奈
「(刺さった……!)」
悠斗
「(一撃で沈んだ……!)」
煉
「な、なぜだ……!?
僕は天城家の直系で――」
オルタ
「関係ないよ。
私は悠斗のそばにいるために来たんだもん。」
悠斗
「おい、勝手に決めんな!」
オルタ
「事実でしょ?」
煉
「…………」
煉は胸を押さえ、
その場に膝をつきそうになった。
煉
「……これが……恋の痛み……?」
玲奈
「違うと思う。」
悠斗
「ただの撃沈だ。」
オルタ
「ふふ。
でも、天城さんって面白いね。」
煉
「……っ!」
オルタ
「頑張って。」
煉
「が、頑張る……!」
悠斗
「(単純だな……)」
玲奈
「(ちょっと可哀想……)」
煉は立ち上がり、
真っ赤な顔で言った。
煉
「……悠斗くん。
交流戦では手加減しない。
君にも……オルタにも!」
悠斗
「なんでオルタにもだよ!」
煉
「君の隣に立つ資格があるかどうか……
確かめたい!」
オルタ
「無理だよ?」
煉
「ぐはぁっ……!」
再び撃沈。
玲奈
「……天城さん、大丈夫かな。」
悠斗
「知らねぇよ……」
オルタ
「ふふ。
交流戦、楽しみになってきたね。」
悠斗
「……俺は全然楽しくねぇ。」
だが――
この日を境に、
アークライト学園の空気は一変する。
六大魔法学園が集う交流戦。
その火蓋は、
すでに切られていた。
---
やはり撃沈されたかw




