サイドストーリー:──逃亡者たちの夜──
サイドストーリー:──逃亡者たちの夜──
廃ビルの屋上。
軍の追跡を振り切ったあと、
3人はここで一晩だけ休むことにした。
悠斗は壁にもたれ、
疲れ果てて眠っている。
玲奈と紗月は、
少し離れた場所で見張りをしていた。
紗月
「……今日もギリギリだったね……」
玲奈
「うん。でも……悠斗がいたから助かった。」
紗月
「……ほんとだよ。」
風が吹き、二人の髪を揺らす。
しばらく沈黙が続いたあと、
玲奈がぽつりと口を開いた。
玲奈
「ねぇ、紗月。」
紗月
「ん?」
玲奈
「悠斗のこと……どう思ってる?」
紗月は一瞬固まった。
紗月
「ど、どうって……
そ、それは……その……」
玲奈
「好きなんでしょ?」
紗月
「っ……!」
紗月は慌てて口を押さえた。
紗月
「ちょっと玲奈ちゃん……!
声……!
起きちゃうでしょ……!」
玲奈
「起きないよ。
あの人、今は死んだように寝てる。」
紗月
「……それはそうだけど……」
玲奈は少しだけ笑った。
玲奈
「……私も、好きだよ。」
紗月
「……うん。知ってた。」
二人は同時にため息をついた。
紗月
「こんな逃亡生活の中で……
なんで好きになっちゃうんだろ……」
玲奈
「逆だよ。
こんな状況だから……だと思う。」
紗月
「……そっか。」
玲奈
「でもね、紗月。」
紗月
「なに?」
玲奈
「今は……争ってる場合じゃないよね。」
紗月はゆっくりと頷いた。
紗月
「うん。
悠斗くんがあんなに頑張ってるのに……
私たちがケンカしてたら……バカみたい。」
玲奈
「だから……停戦しよ。
一段落するまで。
軍から逃げ切って……
悠斗がちゃんと笑えるようになるまで。」
紗月は手を差し出した。
紗月
「……停戦協定、ね。」
玲奈はその手を握り返した。
玲奈
「うん。
今は……一緒に悠斗を支えよう。」
紗月
「……うん。」
二人は眠る悠斗の方へ視線を向けた。
紗月
「……ちゃんと生きてよ、悠斗……
明日も……一緒に逃げるんだから。」
玲奈
「ほんと……無茶ばっかりするんだから……
少しは私たちの心配も考えてよね。」
二人の声は、
眠る悠斗には届かない。
だが――
その想いは確かに、
彼を支える力になっていた。
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