第二章 第62話 ──深層の底──
第62話 ──深層の底──
深層が開いた。
光でも闇でもない、
“意味のない空間”が広がる。
そこは魔法では説明できない領域。
物理法則も、概念も、形もない。
ただ――
深層の“反応”だけが存在していた。
玲奈
「……ここが……深層の奥……?」
紗月
「違う……“奥”なんて概念はない……
でも……“中心”に近い……そんな感じ……」
二人の声は届かない。
深層は音を“意味”として扱わない。
だが、悠斗とオルタには届いていた。
オルタ
『悠斗……手を離さないで。
深層は“あなた”を認識していない。
私が繋いでいないと……消える。』
悠斗
「……わかってる。」
深層の底に、
黒い“穴”があった。
戦略級魔法師の深層拒絶が、
深層そのものを侵食して生まれた“核”。
戦略級魔法師
「返せ……返せ……返せェェェ!!」
彼の声はもう言語ではない。
深層に飲まれ、
“意味”を失った叫び。
オルタ
『……もう戻れない。
あなたは深層に“意味”を奪われた。
だから……拒絶が暴走してる。』
戦略級魔法師
「オルタァァァァ!!」
拒絶が爆ぜる。
深層が悲鳴を上げる。
悠斗
「来るぞ……!」
オルタ
『悠斗……“欠損”を開いて。
拒絶の核を削る。
私が深層を押さえる。』
悠斗
「――《空間欠損》!」
深層の穴が開き、
拒絶の核を削り取る。
だが――
深層拒絶は完全には消えなかった。
黒い残滓が、
深層の流れに逆らうように震え、
遺構の方向へ“逃げていく”。
悠斗
「……逃げた……?」
オルタ
『違う……“戻った”んだ。
拒絶は深層の反応。
深層の外――遺構に残った“形”に引かれてる。』
悠斗
「遺構の深層構造が……歪んでるってことか。」
オルタ
『うん。
拒絶の核は壊した。
でも……残滓が遺構に残ったまま。
あれが暴れれば……遺構が崩壊する。』
深層が揺れる。
戦略級魔法師の身体が、
深層の底へ沈んでいく。
オルタ
『……終わりだよ。
あなたはもう……深層に“意味”を持てない。』
戦略級魔法師
「……オ……ル……タ……」
深層が閉じ、
彼の姿は完全に消えた。
悠斗
「……戻るか。」
オルタ
『うん。
急がないと……遺構が壊れる。』
深層が開き、
二人は遺構へ戻っていった。
だが――
遺構はすでに“歪み始めていた”。
床の紋様がひび割れ、
深層の光が不規則に脈動している。
紗月
「……まだ揺れてる……!」
玲奈
「深層拒絶の……余波……?」
オルタは静かに首を振った。
オルタ
『違う。
深層拒絶の“残滓”が……遺構に残ってる。
深層の形が……壊れたまま。』
悠斗
「……修復しないとダメか。」
オルタ
『うん。
深層核の私と……
空間欠損のあなたでしか……できない。』
深層が再び開く。
オルタ
『行こう。
私たちの現実を救うために。』
――
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