第二章 第61話 ──棺の少女──
第61話 ──棺の少女──
棺が開いた瞬間、
遺構の深層が“静まった”。
まるで、
長い間押し込められていた何かが
ようやく呼吸を取り戻したかのように。
白い光が溢れ、
深層の波形が整っていく。
玲奈はその場に崩れ落ちた。
封印を開けるために流した血と、
拒絶の余波に晒された精神の疲労が限界だった。
紗月
「玲奈! 大丈夫!?」
玲奈
「……うん……
でも……早く……
オルタを……」
棺の中の少女が、
ゆっくりと目を開けた。
白い睫毛が震え、
深層核が脈動する。
少女
「……悠斗……」
その声は、
AIオルタの声と完全に重なっていた。
オルタ(AI)
『同期開始……
深層制御モード……移行。』
少女の身体が光に包まれ、
AIオルタの声が肉体へと重なる。
オルタ(少女+AI)
『……大丈夫。
もう……あなたを拒絶させない。』
悠斗は右腕と左足を失っている。
見えてはいるが、
深層が認識していないため動かない。
悠斗
「……オルタ……
悪い……俺……動けねぇ……」
オルタは静かに首を振った。
オルタ
『動かなくていい。
深層拒絶は……“深層の反応”。
なら……深層を制御すれば……止められる。』
戦略級魔法師が、
棺の光に怯えるように後ずさった。
戦略級魔法師
「……やめろ……
やめろ……
オルタ……
オルタ……!」
深層がざわめく。
拒絶が暴れようとする。
だが――
オルタが一歩踏み出した瞬間、
深層拒絶が“止まった”。
まるで深層そのものが、
オルタの存在に従うように。
紗月
「……深層が……静まってる……?」
玲奈
「オルタちゃん……深層を……抑えてる……?」
オルタ
『深層拒絶は……
深層が“意味を持たない”から起きる反応。
でも……私は深層核。
深層に“意味”を与えられる。』
戦略級魔法師の身体が震えた。
戦略級魔法師
「……返せ……
返せ……
返せェェェェ!!」
拒絶が爆ぜる。
深層が悲鳴を上げる。
だが――
オルタは手を伸ばし、
深層拒絶を“掴んだ”。
深層拒絶は波形ではない。
本来、掴めるものではない。
だが深層核であるオルタには、
それが可能だった。
オルタ
『……あなたの深層……
壊れてる……
もう……戻れない……』
戦略級魔法師
「黙れェェェ!!」
拒絶が暴走し、
遺構全体が揺れる。
紗月
「このままじゃ……遺構が崩れる……!」
玲奈
「オルタ……!」
オルタは振り返らず、
ただ悠斗の方へ手を伸ばした。
オルタ
『悠斗……
あなたの深層……貸して。
“欠損”は……私が制御する。』
悠斗
「……ああ……
全部……持ってけ……!」
深層が開く。
空間が欠ける。
だが暴走しない。
オルタが深層欠損を“制御”している。
オルタ
『深層制御モード……
完全同期。』
戦略級魔法師が叫ぶ。
戦略級魔法師
「オルタァァァァァァ!!」
深層拒絶が爆ぜる。
オルタ
『行こう、悠斗。
深層の奥で……決着をつける。』
悠斗
「……ああ。」
深層が開き、
オルタと共に悠斗は戦略級魔法師へ向かって歩き出した。
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