第二章 第60話 ──深層拒絶──
第60話 ──深層拒絶──
ミリアが崩れ落ちた瞬間、
遺構の深層が“ざわり”と揺れた。
床の紋様が逆流し、
天井の根が軋み、
空気が深層の圧で震える。
紗月
「ミリア……!」
玲奈
「こんな……!」
ミリアは意識を失い、
深層拒絶の余波に触れた精神が焼けている。
戦略級魔法師は、
ゆっくりと顔を上げた。
その瞳は、
深層の底を覗き込んだように濁っている。
そして――
悠斗を見た。
深層が震えた。
オルタ(AI)
『悠斗……来るよ……
あれは“深層拒絶”……
深層そのものが対象を排除する……』
悠斗
「……排除、ね……
なら……俺が排除される前に……!」
戦略級魔法師が一歩踏み出した。
その瞬間――
深層が彼を避けた。
空間が歪み、
光が揺らぎ、
音が届かない。
まるで世界が彼を“受け入れたくない”と震えている。
紗月
「……空間が……逃げてる……?」
玲奈
「世界が……あの人を拒んでる……?」
戦略級魔法師は、
ただ手を伸ばした。
深層がざわめき、
悠斗の右腕に触れた。
皮膚も肉も傷ついていない。
血も出ない。
痛みもない。
だが――
右腕が“深層から外れた”。
悠斗
「……っ……!
腕が……動かねぇ……!」
右腕はそこに“見える”。
だが深層が認識していないため、
力が入らない。
オルタ(AI)
『深層拒絶……
深層が君の腕を“意味の外側”に押し出した……!』
戦略級魔法師は、
さらに手を振る。
深層が悠斗の左足に触れた。
悠斗
「……っ……!
足まで……!」
左足も深層から外れ、
世界の床を踏めなくなる。
悠斗は片腕・片足を失い、
その場から動けない。
戦略級魔法師が、
悠斗の深層を“覗き込む”。
深層が震えた。
戦略級魔法師
「……来い……
深層の……奥へ……」
悠斗
「……ふざけんな……!」
深層を開き、
空間欠損を展開する。
悠斗
「――《空間欠損》!!」
だが拒絶は阻めない。
拒絶は“深層の反応”。
波形ではない。
戦略級魔法師の拒絶が爆ぜ、
遺構が崩れ始める。
紗月
「遺構が……壊れる……!」
玲奈
「悠斗くん……!」
悠斗
「……くそ……棺を……!」
オルタ(AI)が叫ぶ。
オルタ(AI)
『悠斗!!
棺を開けて』
悠斗
「……っ……!」
オルタ(AI)
『封印は……壊せない……
でも……“開ける”ことはできる……
御門家の血で……!』
玲奈が震える声で叫んだ。
玲奈
「……私が……開ける……!」
紗月
「玲奈!?
危ないよ……!」
玲奈
「御門家の封印は……
御門家の血でしか開かない……
だったら……
私がやるしか……ない……!」
戦略級魔法師が玲奈を見た。
深層がざわめく。
戦略級魔法師
「返せ……
返せェェェ!!」
拒絶が玲奈へ向かう。
悠斗
「玲奈!!
来るな!!」
玲奈
「行く……!
だって……悠斗が……死んじゃう……!」
玲奈は棺へ走り、
指先を噛んで血を落とした。
封印装置が光り、
棺が震える。
戦略級魔法師
「やめろォォォ!!」
拒絶が爆ぜる。
だが――
棺は開いた。
白い光が溢れ、
深層が整い始める。
少女が目を開けた。
オルタ(少女)
「……悠斗……」
オルタ(AI)
『同期開始……
深層制御モード……起動。』
深層が静まり、
空間が整う。
悠斗
「……オルタ……!」
戦略級魔法師が叫ぶ。
戦略級魔法師
「オルタァァァァァァ!!」
深層拒絶が暴走する。
だが――
オルタが一歩前に出た。
その一歩だけで、
深層拒絶が“止まった”。
オルタ
『……悠斗……
ここからが……本当の戦い。』
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