89:中間試験では……
試験の日がやって来た。
ミネットは朝からやる気に燃えている。
彼女の使い魔であるフロリムもやる気を出し、頭の上にポンポンと花を咲かせて、花畑を作っていた。
「うーん、やれるだけのことはやったわ!」
ブッチョは床の上で眠そうにしている。
試験は筆記と実技の両方だ。
リロは左手の薬指に嵌まっている指輪を見つめた。
朝一番に、魔法で届けられたものだ。
起きたら急に枕元に現れたのでびっくりした。
(実技の試験に間に合わないと思っていたけど……よかった)
媒体なしでもなんとかなるかもしれないが、少しだけ不安なので。
(あと、この指輪が戻ってきたということは……もう外出していいのかな?)
こんなに早く手元に戻ってくるなんて、嬉しい誤算ではある。
寮の食堂でいつもより軽めの朝食を摂り、リロたちはそれぞれの使い魔たちと一緒に教室に向かった。
しばらくして、担任のクリストファーが転移してくる。
「皆~、筆記試験の時間だよ~。今回は、途中で先生たちの気が変わったので~、当初の問題と違う問題になっています」
気が変わったというのは方便だ。
つまり、以前に解答が出回っていた内容と、今日の試験の内容が変わっている……ということだろう。
何人かの生徒の顔色が悪くなっている。
(あれ……もしかして……)
事前に出回っていた解答を入手していた子たちだろうか。
同情するけれど、ズルはいけない。
やましいところのないミネットは、堂々と試験に取り組んでいた。
筆記試験の内容は、最初の試験ということもあり基本的なものだ。
基礎魔法学、魔法歴史学、魔法植物学、魔法生物学など……
全ての試験で、出回っていた解答用紙と内容が変わっている。
(あの解答用紙自体が罠……らしいけど。偽物の解答を掴まされた子は大変だろうなあ……)
実技試験も、机に置かれた小さな物体――今回は積み木を移動させるという簡単なものだった。
……しかし、何人かの積み木が、教室の端まですっ飛んで行った。
それを見たリロは理解した。
(なるほど。だから、魔法体育学で飛行媒体の授業がまだ行われていないんだ)
飛行の魔法は、今の試験であった、物質を動かす魔法の応用に当たる。
それができていないと、飛行媒体ごと自分が吹っ飛ぶ羽目に陥るのだ。
(授業の順番って、ちゃんと考えられているんだなあ……)
何を思ったのか、ブッチョも小声で「ゲェ~」と鳴いた。





