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元・社畜系女子が人生フルベットで運命ガチャを回したら~傾国の美女の人生は一度でいい~  作者: いづかあい
第5章 主人公(仮)VSヒロインにさせられそうな主人公

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第46話 「運命」はその手の中に


「しかし小さくて細いなあ…ちゃんと食べてるのか?孫よ」

「あ ああの」


すっかり身体は硬直してしまって、動けない。されるがまま肩に乗せられた私は、とりあえず振り落ちないようにしっかりと頭にしがみついた。


「もう、あなた。こんなに小さくても、うら若き10代の娘さんでしょう?おろしてあげて」

「おお!そうだったのか…それは、驚かせてしまったなあ」

「い。いいえ」


ストン、と下ろされて改めて見上げると…本当に大きい。


「あのお…孫って…?」

「ん?知らぬのか?!…こらこら、婿殿。俺のことを黙ってるなんて、随分と人が悪いじゃないか?」

「……いや、ううむ」


ええと、婿って、婿よね。

じゃあお嫁さんて…もしかして。


「リア―ネは、俺の17番目の娘だ」

「?!!!」


どうしよう、人生で二度目…いや、三度目の驚きだ。

眼が飛び出るとはまさにこれ。え?何よそれ、どういうこと??

口に出せずにいると、先ほどのいい匂いのする女性の方が私の頬に触れ、ほほ笑んだ。


「ああ…瞳の色はレイドックのものだけど、この黒髪と顔立ちは、あの子によく似ているわ」

「あ。あああの、お、おかーさまって お、おうじょさま??」

「あらあ、本当に知らされていなかったの?ランザは一夫多妻の国。なんとあなたの従弟は上が40代でしたが0歳まで28人いるのよ!」

「に、にじゅうはち…にじゅうはちにん???」


私の驚きようがさぞ面白かったのだろう。

奥様(?)はころころと鈴のように笑うと、私の目をじっと見て、言った。


「そう、で、私はあなたのおばあちゃん」

「…っ……」


そうか。

思い返してみれば…お父様との話を素敵だなーと聞いてはいたけど、ただの踊り子さんが高額な月一の他国との定期便に飛び乗りで乗れるわけないよな。

17人以上もいる一国のお姫様だったら、普通にできちゃうことだけど。

もう何と言葉にするべきかも分からず、私はただただお父様をにらみつけた。


「何っで!教えてくれなかったんです?!」

「いや、…すまん、その…」

「言い訳は結構です!!……しんっじられない…」


すると、パチン、と誰かが両手をたたいた。

…カシオス様だ。


「うん、これは全面的にレイドックが悪い。…陛下、応接室を二人に貸してあげてほしいのだけど」

「はいよ!じゃあ、ちゃんと仲直りしてから来いよ!二人とも!!待ってるからなー」


ああ、身体も大きいと声も大きいのね。

なんだろう、頭にガンガン響く。そして、あの人が私の「おじいちゃん」って…こと?


「…済まない、シャル。ちゃんと、話すよ」

「……わかりました」


別にお父様を責めるつもりもない。

でも、でも急すぎて。

…このランザに来てからというもの、毎日毎日驚かされてばかり。


(心臓が持たないんじゃないかってくらいよ……)


「シャル…」

「……はい、お父様…」


振り返ると、直角でビシッと謝るお父様の姿があった。


「あ……」

「結果的に、お前を騙してしまうようなことばかりしている。この通りだ」

「え?!いや、あの…べ べつにそんな風に謝るというのは…ちょっと ちがくて!」

「だが…」

「その……なんていうか」


ダメだ、言葉にするのが難しい。

寂しい、とも違う…仲間外れ、に似てるけど。


(あ、そっか。地に足がついてないっていうか…ずっとふわふわしっぱなしっていうか)


頭で色々理解しているつもりでも、どこか置いてけぼりのような…自分自身の行動と、言葉と、状況がかみ合っていないんだ。


「心と、頭がちぐはぐで…混乱してます」

「シャル…」

「でも!嬉しくないわけじゃないの!お母さまの家族がいたことも、その…急に身内がいっぱい増えたのも……だから、謝らなくていいんです、お父様」


ちょっとだけ、昔のことが頭をよぎる。

私は、()()()割とずっと一人でいて、家族との縁とかも希薄で…どこか寂しい子供だった。

あのルドヴィガの邸でもお父様は不在がちだったし、ルドヴィガの先代様も早くに亡くなってるから、私はあったことがない。

ひとりでいるのが平気だったから、そうじゃなくてもいいんだって思ったら。

なんか、急にくすぐったくなってしまった。


(それで逆切れてちゃ…なんか、どんどん子供になっていくみたいで、少し恥ずかしい)


冷静になってみれば…色々見えてくるものがある。


「お父様と、お母様の出会いは、色んな人の運命を動かしたんですね」

「…え?」

「一つの想いが周りを巻き込んで大きな流れを作るって…その流れがなかったら私もここにいないわけだし。だから、ちょっとびっくりしました」

「そんな、大層な物じゃない。あー…その」


お父様は言葉を濁して、やや気まずそうに視線を逸らす。


「?」

「お前は、昔からランザの王国に興味があっただろう」

「あ…は、はい」


そりゃあ、故国(?)に似ていたし、私が知っている場所によく似ていたから、懐かしさもあった。

それに、リア―ネの故郷だということも聞いていたし…まあ、ロザベーリの一件も、結果的にランザ王国を知るきっかけになった。


「だからその……リア―ネの家族のことを話したら……」

「…?話したら??」

「……こちらの国に行きたいと言い出しそうで… …」

「え つ、つまり」

「……」


お父様は一度ぐっと何かをこらえるような表情をしたが。

ややしばらくの後、ぽつりと呟いた。


「寂しい、じゃないか。……お前は私の娘なのに」

「!!!」


え、何てこと。

お父様の口からそんな言葉が出るなんて…?!


「さびしい……って あ、だから」


だから、ずっとランザ王国に行きたいと言っても、渋っていたの?!

なんだか私はつい感極まって、お父様に抱き着いてしまった。


「!シャル……」

「ふふ、お父様ってば。私がお父様を置いていなくなるわけないじゃないですか!」

「しかしだな…こちらに来れば、家族もいるわけで」

「それはそうだけど、お父様だって私の大事な家族でしょ?!」

「……当たり前だ」

「へへ」


(リア―ネとレイドック…二人の出会いは、アズレアの王様を動かして、ランザ王国のかけ橋を作った)


そしてルドヴィガ家は救われて、たくさんの居場所を追いやられた職人たちは、このキアルーンにやって来た。そこで新しい産業と文化を創り出し、今また…そのアズレアの王様の遺児が新時代を作ろうとする。


(周りを巻き込む程の大きな時流を作ったのが私の父と母だなんて、これが運命と言わずして、何だっていうの?)


「話は終わった?」


すると、タイミングよくカシオス様が部屋にやって来た。

抱きしめ合う私とお父様を見て、一言。


「……いいな、レイドック」

「親子ですから」

「カシオス様」

「…シャル?」

「決めました」


私にできることがあるなら…二人のつなげた糸をもっと広げることができるなら。


「カシオス様は、アズレアとランザにとって、とても良いことをするつもり…ですよね」

「……ああ。勿論」

「なら、私も協力します!」


すると、見る見るうちにカシオス様の顔は輝きだしてきて…私の手をさっと握った。


「じゃあ!まずは」

「ひとまず、同じ目的を志す同志として!!仲良くしましょう!!!」

「……っ う うん」


…いや、別に、他意はない。

偉そうなことを言える立場でも、選べる立場でもないけれど、でも線引きはしておきたい。


(か…過度な好意は正直、重い)


カシオス様の様子をちらりと伺ってみると…あ、苦笑してる。


「……わかった、なら、僕はこれから君の相棒だ」

「相棒?」

「そう。だって、同志なんだろう?」


そう言うとぎゅっと私の手を引いて、歩き出した。

拾い白亜の廊下を超え、大きな扉を開いた先には…ランザ王国の王・キアロ陛下が、大きな広間の一番立派で豪華な椅子に足を組んでこちらを見ている。


「ふふん。…アズレアの使者であり、未来の一端を担う新時代の風の申し子、カシオス=セレスト。そして、我が孫でありアズレアの宝石たるリッハシャル=ルドヴィガよ。お前達の望みは何だ?」


(玉座で見ると、圧倒される…本当に、キアロ陛下ってすごい方なんだ)


あ、そう言えば…私は、カシオス様がこれから何をしようとしてるのか詳細を知らない。

思わず彼の方を見ると、一度こちらを見て不敵に笑った。


「キアルーンの名を冠する、ランザの太陽王カイロ陛下。我が望みはアズレアにおいて誰よりも高い地位たる頂きの座。若輩ながら、私はその地に座ることを悲願としています」


ぎょっとなる。

だって、この発言は…今の王政を完全に敵とみなしている、アズレアに対しての究極の宣戦布告だ。

改めて自分が今いる場所に、少しだけ(おそれ)を感じてしまう。


「ほお、よく言う。…だが、理想だけなら誰でも口にできる。そのための算段はあるのか?」

「はい。この自然にあふれ、天上まで続くキアルーン山脈に抱かれた色彩豊かなこの鸞坐王国の状況は、大勢の商人たちと、とある立場の者たちによって故意に偏った情報がアズレアに溢れております。」

「ふむ。……確かに、アズレアにわたった我が国の民の言葉を聞くと、胸が痛む。こちらがどれだけ敬意を示していても、あちらは我々を下賤とみなすからなあ」


(やっぱり…そう言う政治的な力はあると思っていたけど)


だとしたら……敵は見えてくる。そう、ヴァラモ公爵家だ。


「おっしゃる通り、まずはその格差を払拭すべく、キアルーンのマーケットをそのままアズレアに輸出することを考えております」

「簡単に言うな?いかにしてこの広大な我が国の市場を輸出する?」

「はい。……私だけの新たな『青』を、彼の地へ嵐と共に運びます」

「嵐、だと?」

「現存する『青』が赤が混じった不純な海の色だとするならば、私がキアルーンから運ぶ『嵐』は、黎明の空に広がる澄み切った『青』……キアルーンの技術と叡智が詰まった市場をかの地へと運び、認可制度へと組み込みます」


(認可制度って…キアルーンの技術と市場を、アズレアで公式に認めさせるってこと?!)


「アズレアの流通の主導権を塗り替え、新しい空を広げる、これが私の『青』―――鸞坐の太陽を、その地に昇らせて見せましょう」



読んでいただきありがとうございます。精進します!

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