第四十一話
おそらく最終章です。
ファスタの街に帰ってきたのも束の間、翌日には騎士団からの招集に応じる為にコンフラットとディアと共に王都へと向かう。
そして辿り着いた騎士団本部は、それほど長いあいだ離れていた訳ではないのにも関わらず既に懐かしい場所のように感じる。
「レックス様!?」
「おお、クルツじゃないか。元気にしてたか?」
騎士団本部に到着するやいなや門番として働いていた顔見知りに話しかけられる。
「もちろんです! レックス様の教えを守り、日々の鍛錬も欠かしていませんよ!! それにしても今日はどうされたのですか?」
「ああ、そうだった……これを貰ったので来たんだ」
懐にしまっていた招集令状を取り出してクルツに渡す。
「レックス様は冒険者になられていたのですね! それにこの招集がかけられるということは上級……流石ですね。既に多くの冒険者が集まっていますので、そちらまで案内致します」
先日にジャンをはじめ各ギルド長が集められ此度の一件に協力する冒険者が推挙されたようで、俺たち以外のAランクを超える冒険者はもう何人か既に到着しているらしい。
クルツに連れられ騎士団内にある講堂に向かう。
勝手知ったる騎士団内部ではあるが、今は部外者であるので自由に彷徨くことは出来ないのだ。
「こちらです……ってご存知でさよね。それでは御武運を!」
「ああ、ありがとう」
入り口でクルツとは別れ、そして扉に手を掛ける。中に入ると既に話し合いが始まっていたらしく、注目を一手に集めてしまう。
「ああ……すまん、俺たちに気を使わずに続けてくれ」
しかしその提言も虚しく部屋の中にいた者が冒険者と騎士を問わずにザワつき、そして顔見知りの冒険者が駆け寄って来た。
騎士の中にも同じように駆け寄ってきたそうにしている者もいるが、上官の目があるので出来ないでいる。
「お前ら、元の位置に戻らぬか! 指示に従えぬ奴はギルドに報告し、階級を落としてやるぞ」
「まぁまぁ、落ち着けよグラン。騒がせてすまなかった、すぐに静かにするさ」
俺のせいで他の者が罰せられるのは気が重いので、仕方がなく矢面に立つべく前に出る。
「レックスか……何をしにここへ戻った。お前はもう騎士団と関わりがないはずだが?」
「聞いていないのか? ……その騎士団の長に呼ばれてここに来たのだ。何か問題があるのか?」
「ダグラス様がだと? ……ふん! ならそんな場所に立っていないで早く席に付け!」
「ああ分かったから、そう気を荒立てるなよ」
横柄なグランの態度にコンフラットとディアが怒っているが何とか抑え、指示に従い空いている席に向かう。そしてグランから冒険者への説明が続けられた。
当然に初めから説明をし直してくれることは無いので全容は聞けなかったが、要するにこれからノモマ教団の拠点を叩くらしい。
「──以上で説明は終わりだ。この話を口外することは許さん。もし情報が漏れるようなことがあれば大逆の咎でお前たちは処刑だ。作戦は明日に結構するから、それまで準備をしておくのだな」
グランは言うべきことはいい終わったとばかりに、この場を去ろうとする。
しかし連絡を伝えにきた者に引き止められ、そしてこちらに向かって来る。
「お前たち三人は……ダグラス様がお呼びだ。直ぐに向かうように」
「そうか……分かった。わざわざすまないなグラン」
「フン、戦場に顔を出さぬから死んだと思っておったが……お前がいない戦場はつまらん、引退しておらぬならさっさと戻ってこい」
「──ああ、その為にも早くこのつまらぬ戦いを終わらせないとな」
グランもまた戦馬鹿であり、よくドラゴン討伐で一緒になったものだ。
根は悪い奴ではないのだが、いかんせん単細胞すぎて気難しい所がある。
だがそんな奴でも久しく会わなければ、寂しさを感じるのだと思うと笑みがこぼれる。
「何がおかしい?」
「いや何でもない……それより伝言ありがとう、また戦場でな」
「ハハハ、もしお前が使えぬ奴に成り下がっていたのならば俺がお前を切り捨ててくれよう」
「はは……」
グランは冗談らしきことを言い残して去っていく。
意外に酒を酌み交わせば面白い奴なのかもしれんが、しばらく会うのは戦場だけで充分だ……本当に冗談だよな?
「レックス様、そろそろ」
「そうだな……気がすすまないが、ダグラスの元に向かうか」
案内をしてくれるのであろう者たちが、まだなのかとこちらを見ている。
気が進まないが彼らも仕事を終えるまでは帰ることが出来ないだろうから仕方がない。
こうして三人は騎士団長ダグラスの元へ向かうのであった。




