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第三十六話


 魔物を倒し、そして魔物を倒す。

 ドワーフ兵とも協力しながら里の中に蔓延る魔物を片っ端から倒していき、至る所に死体の山が築かれていった。

 そして大きな混乱が起こることもなく、めぼしい魔物は倒しきった所でコンフラットの元に向かう。


「──コンフラット、討伐は順調か?」


「レックス様! そうですね……みんなは疲弊していますが、大きな被害は出ていません。ドワーフの鍛えた防具は優秀ですからね」


「そうか、それは良かった。消耗戦になるが、怪我人は下がらせながら引き続き戦ってくれ」


「はっ!」


 コンフラットの前から立ち去り、そしてケインたちと散り散りになっているドワーフ兵にも同様に声を掛けていく。

 一度は鉱山に引いたことで里の中に入り込まれた魔物は倒しきっても、周囲から呼び寄せられた魔物が未だに里の中へと向かってくる。

 それでも徐々に集まってくる魔物の量が減って行き、何度となく繰り返される戦いが終わりに近づいてきたその時、里中に地響きのような足音が轟いてきた。


「──なんだこれは!?」


 まわりにいる他のドワーフ兵も狼狽えているが、その原因が分からない。

 状況を確認するためにも音の発生源である里の外へ向かうと、既にコンフラットが到着していた。


「──コンフラット! 一体、何が起こってるんだ!?」


「レックス様、あれを!」


 コンフラットに言われ森の奥の方を見ると、木々を押し倒しながら進む巨大な姿が見えてきた。


「オークキングだと……あんな奴まで引き寄せるのか」


「どうされますか、レックス様?」


「もちろん倒すが、あの巨体を里に入れるわけにはいかない。こちらから出向くがキングがいるとなると──」


「当然にその下のハイオークやオークロードもいるでしょうね……」


「なるべく逃さずに倒してくるが、討ち漏らすかもしれん。悪いが──」


「ええ、任せてください。里は我々で守ります」


 コンフラットの後ろでは、いつのまにか集まったドワーフ兵がコンフラットの声に呼応するように頷く。

 そしてケインたちも到着しているので一声をかける。


「……すまんが頼んだぞコンフラット、それにケインたちも」


「「「「はい!」」」」


 皆の頷きを確認し俺は森へ、ゴブリンキングの元へと向かう。

 そしてたどり着いた先にいたのはオークの集団とそれを率いるオークキング、そして──。


「まさか……オークエンペラーなのか!?」


 オークキングの前を悠然と歩く巨躯なオーク。

 オークキングより強者の雰囲気と洗練された雰囲気から間違いないだろう。


「オマエはオデのことワカル……オデもオマエのことシッテル……トッキセンリョクだろ?」


「……そうらしいな」


 ゴブリンエンペラーと違い、オークエンペラーの大きさは人のそれではない。

 そのせいなのか、知能の方も人のそれでは無いようだ。


「オデはこのドワーフのサトをツブすのがシゴト。ジャマするならオマエをコロす」


「……何故にこの里を狙う? 一体お前たちの狙いは何なんだ?」


「カミがオウトでフッカツするトキはチカい。そのタメにクモツがヒツヨウ。このサトだけではナイ」


「供物? 一体何のことだ?」


「オマエはシらなくてもいい。これからシぬのだから」


「死ぬのなら教えてくれてもいいんじゃないのか? 冥土の土産に教えてくれないか?」


「……それもそうダな。カミはヒトのカンジョウをクらう。オマエらがキョウフにシズめばシズむほどチカラをエる。だからオマエらはミナゴろしで、ここでオワリ」


「そうだな……そろそろ終わりにしようか──」


「ハッ!?」


 まだまだ聞き出したいことはあるのだが、このままむざむざとオークの進行を見逃すわけにはいかない。

 愚鈍なオークキングを一振りで両断し倒すと、倒れ込んだその衝撃にオークが巻き込まれる。


「色々と教えてくれた代わりに俺も教えてやるよ、オークエンペラー。お前らの企みは必ず失敗する」


「ナンだと?」


「お前らは色々と甘く見過ぎだ。人もドワーフも、そして俺のこともな」


 オークエンペラーはここだけでなく他の場所でも血を流させていると言っていたが、それをみすみす許す騎士団と冒険者たちではないだろう。


「ウルサい、ウルサい、ウルサい。オマエらはメシだ──マジン、そしてオデたちの!」


「はっ! やってみろ、オークエンペラー!!」


 オークエンペラーが無骨な大鉈のような曲剣を振り下ろしてくる。

 それを正面から受け止め、オークエンペラーとの戦いの火蓋が切って落とされたのであった。

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