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第三十三話


 ドワーフの里でノモマ教団の男が騒いだ場所へと向かう。

 多くのドワーフが行き交う道なのだが、その中心を通る者はいない。

 血が染み込み黒ずんだその場所には誰も近づかないのだ。


「ガルドフ、ここがその例の場所なんだな……」


「はい……見ての通り後処理も終わっていなくて、気味悪がって誰も近づきません」


「そのようですね……」


 手掛かりになりそうな物は何も残ってはいないのだが、微かに残る魔力。


「その男がここで何をしていたかは分からないのか?」


「はい……マントを羽織ったその男がここに立ち止まり、そして叫び始めたことしか」


 何か良からぬことが起こる気がするが、それが何なのかが分からない。

 それを確かめる為にも、やはりもう一つの場所も確かめるべきだ。


「ガルドフ、男がドワーフの里に忍び込む前に潜んでいた場所にも連れて行って貰えるか?」


「はい、勿論です。ですが少し里から離れますが、問題無いでしょうか?」


「当然だ。コンフラットも俺もいつでも魔物とは戦える準備は出来ている」


「……分かりました。それではご案内致します」


 ドワーフの里を出てノモマ教団の男が、潜入するにあたって根城にしていたと思われる場所に向かう。

 そこはドワーフの里の様子を伺える小山であり、そして案内された場所にあったのは雨露を避けられるだけの大きな木の祠だった。


「ここがそうなのか?」


「はい。普通は誰も近づかない場所なので発見が遅れましたが、形跡から数日をここで過ごしたみたいです」


「ここで数日もか……」


 祠の中には僅かばかりの食料と、小さな魔石の破片が転がっている。

 おそらく遭遇した魔物を倒しながらここで過ごしていたのだろうが、魔物がいつ襲ってくるかも分からないこの場所で数日も待機していたなど正気の沙汰ではない。


「詳しくは分かっていませんが、ここを拠点に我々が隙を見せる瞬間を伺っていたのでしょう。しかしいつ、どうやって侵入したのかまでは分かっていないのです」


 ガルドフが事前に調べている内容を教えてくれる。

 しかしドワーフの目では無いからこそ疑問に思うこともあるのだ。


「ガルドフ、これが何か分かるか?」


 俺は床に散らばった食料らしきものを指差す。


「えっと、それは非常食ですね。それがどうかしたのですか?」


 ドワーフのガルドフにとっては至って普通の物のようだが、食べられるすら怪しい黒い塊は俺たち人には馴染みのない食べ物だ。

 だからこそノモマ教団の男も手を出さずに残してあるのだろう。

 しかしそれは一つの憶測を呼ぶ。


「わざわざ食べ方が分からない物を自分で買うと思うか? それも何日もここで過ごさなくてはならないのか分からない状況でだ」


「……何がおっしゃりたいので?」


「共謀者がドワーフの里の中にいるということだ。おそらくそいつがここに食料を運び、里への侵入の手助けをしたのだろう」


「共謀者ですか……」


「ああ、間違いない。だとするとまだドワーフの里で何かが起こる可能性がある。急いで──」


 ドワーフにとっては普通に食べるからこそ疑問に思わなかったのかもしれないが、恐らく間違いない。

 しかしそれを解き明かした所でガルドフの態度が一変する。


「ふふ、そんなことで気付かれますか。やはり特記戦力──」


「一体、何を──」


「──まだ時間が早いですが、構わないでしょう。裁きは皆に平等に訪れなければならない」


「まさか、お前はノモマ教団の一員──」


 ガルドフに問おうとするのだが、笑みを浮かべるのみで答えはしない。そして祠の外に出て、叫びだした。


「魔神よ、我らに救いを与え給え!!」


 ガルドフは叫びながら懐から血に濡れた魔石を取り出し、自分の魔力を注ぎだす。

 すると魔石に圧縮された魔力が爆発し、ガルドフもろとも周囲を吹き飛ばした。

 俺とコンフラットは祠の中にいたので入り口を塞ぐことで爆風を防げたが、爆発が起こった周囲には高濃度の魔力が渦巻いている。


「おいおい、これはまさか──」


「ええ、そのまさかでしょう。恐らく擬似的にスタンピートを引き起こしたのかと」


 コンフラットが肯定し俺の懸念を確証に変える。

 魔石から放たれた高濃度の魔力は魔物を引き寄せるのだ。

 普通の魔石ではそうはいかないが、ノモマ教団にはそれが出来るだけの高ランクの魔石を沢山確保してある。

 少ない魔力では破壊することは難しいが、魔石へ加工を施すことで破壊が可能となるらしく、ここに散らばっていた破片はその証拠だろう。


「──ちっ、直ぐに魔物が集まってくるぞ。コンフラット、戦闘準備!」


「はい!」


 渦巻く高濃度の魔力に周囲の魔物が集まってくるが、集団となった魔物は通常ならざる行動をとる。

 魔物が近づかないようにドワーフの里に張られた結界をも乗り越えてしまうのだ。

 ここで叩かなければ、間違いなくドワーフの里へと向かってしまうだろう。


 こうしてこの場所でひたすらに魔物を倒すことになったのだが、それが足止めであることに気付いたのはドワーフの里から煙が上がってからであった。

シリアス展開が続きます( ゜д゜)

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