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第三十一話


 ドワーフの里──そこはまわりを山で囲まれた場所にあり、里と言うには余りある発展を遂げた炭鉱の街でもある。

 独自の文化を持ち、ドワーフ王を頂点に治政を行なっているのでもはや国と言っても相違ないのかもしれない。

 しかし我ら人の国が本質的にはドワーフの自治を認めていないので、国と呼ぶわけにはいかないのだ。

 優れた武器を作る組織として暫定的に認められるようになった自治も、何かのきっかけで取り消され人の介入が行われるかもしれない不安定なものである。


 ドワーフの里はファスタの街からかなり離れた南の土地にあるので、馬車を乗り継ぎ近くの町まで行く。

 そしてさらに、そこから徒歩で幾つかの山越えをしなければならず、鍛えられているケインたちでも死にそうな顔をしている。

 だがここを乗り越えればこの数日に渡る旅も終わりを迎えるので頑張って貰うために励ます。


「ほら、ここを乗り切ればあと少しだから頑張れ」


 単なる移動だけならまだしも、魔物はどこでも現れる。

 ディアとコンフラットが手を貸しているとは言っても、追い込まれながらもケインたちは頑張っているほうだ。

 だが硬い魔物が多いこの付近では、その対処方法でケインたちの経験不足が露呈している。


「マルマジロは殻は硬いが腹は柔らかいから狙っていけよ。あとどんな魔物でも弱点はあるから、しっかりと見極められるようになるんだ」


 こうしてケインたちに経験を積ませながら移動する。

 そして遂に、ドワーフの里へと到着した。

 そして到着するや否や、門番がこちらに気付き慌ただしくなる。

 そして一人がこちらに駆け寄ってきた。


「コンフラット様! それにレックス様! どうしてこちらに……と、そちらの方々は?」


「冒険者のケイン、ゴルドフ、リアーナそしてレイナだ。あとこっちにいるのは……あーエルフのディアだ」


「エルフなのですか……」


 ドワーフとエルフは仲が悪い。

 自然と共に生きるエルフと、自然を破壊して物を作って生きるドワーフ。

 根本的な生き方の違いが種としての嫌悪感に繋がっているのだ。


「大丈夫、何も喧嘩をしに来たわけではない。今日はカザフ……ドワーフ王にお願いと、武器を作りにきたんだ」


「そうですか……いや、わかりました。ただお二人はともかく他の方々を自由に移動させるわけにはいきません。使いの者を呼びますのでしばらくお待ちください」


「わかった、それで問題ない」


 ドワーフの里は他の種族との争いごとを避けるために、ドワーフ王の許可が無い者は受け入れていないのだ。

 門番の詰所に移動して、使いの者が到着するのを待つ。


「大丈夫なのですか、レックスさん?」


「問題無いよ。ただドワーフの決まりは守らなければならないからね」


 ケインたちが不安に思うのは仕方がないだろう。

 ここは冒険者でさえ簡単に足を踏み入れることの出来ない場所だ。

 強力な武器を求め訪れる冒険者は同時に災いを運んでくる。

 信用のある人間の紹介があっても、簡単には入ることすら許されない場所なのだ。

 そしてしばらく待っていると、武装したドワーフたちがやって来た。


「動くな!」


 ドワーフたちに囲まれて包囲されてコンフラットが怒る。


「何だお前たち、無礼だぞ!」


 しかしその言葉に、兵たちの誰も応えようとしない。

 そしてケインたちは狼狽える。


「レックスさん、どうすれば……」


 しかしその言葉にも答えず、コンフラットを腕で制し、ドワーフの集団の先頭にいる完全武装をした男に声を掛ける。


「悪ふざけが過ぎるぞ……カザフ」


「フハハハ! これで気付きよるか。久しいなレックス!」


 顔を覆った防具を取り外したカザフとハグをする。


「ああ、色々とあってな。しかしこれは何の冗談だ?」


「いやなに、最近は何かと良からぬ者が訪れてきていたのでな。御主であるという確証を得るには、ワシが直接見に来るのが一番じゃろ? 兵たちはいらんと言ったのだが、アトラが許してくれなくてな」


「相変わらずだな……しかし今日は、その良からぬ者についても相談したいことがある」


「そうか……しかしここでは何だな。我が家に来るが良い」


 ドワーフ王が兵士たちに視線を送ると、直ぐに包囲は解かれ道が出来る。


「レックスの友たちも驚かせてしまってすまなかったな。だがその分、歓迎はするので許してくれ」


「いえ、そんな」


 突然謝られケインたちはさらに狼狽えるのだが、しかしそのことは気を止めずに今度はコンフラットに顔を向ける。


「変わりないか、コンフラットよ」


「はい、父上」


「そうか……なら良い」


 言葉を聞きカザフは直ぐに踵を返して行く。

 久し振りに再開した父子としては少ない会話ではあるが、しかしそれは信頼をしている証でもある。

 ドワーフと人の架け橋を作った俺に仕えるように命じられてから、コンフラットは本当に頑張ってきた。

 直接話すのが照れ臭いのであれば、それは後で俺から伝えておこう。


 こうして話すべきことは多くあるのだが、まずはドワーフ王の館へと移動するのであった。

少し投稿ペースが落ちていますが、頑張ります…….

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