第三十話
後日、ゴブリンを討伐しその拠点を破壊したことをギルドが調査し終わり、正式に報酬を貰うことになった。
事の経緯はどうあれゴブリンキングを倒したことは、ギルドとして高く評価しなければならないらしい。
ケインたちは断ろうとしたが一段階の昇格を果たすことになり、俺たちは全員がCランクになった。
そしてゴブリンキングが発生したばかりで、被害が拡大する前に未然に脅威を防いだことで褒賞金も授与される。
「こんなに私たちが貰っていいんでしょうか?」
レイナが驚くのも無理はない。
ゴブリン討伐の報酬が金貨十枚、それでもゴブリン討伐にしては多い額なのだが、褒賞金はそれぞれに聖金貨が一枚ずつ配られたのだ。
聖金貨は普通の生活ではまずお目にかかる事のない代物で、その価値は金貨百枚分に相当する。
「いいに決まっているだろう。それにこれから武器を揃えるんだから、お金がないと何も買えないぞ」
「そうですよね……なんたってドワーフの武器ですもんね……」
ゴブリン討伐後にコンフラットに武器の相談をしたら、皆の装備も一新すべきということになったのだ。
報酬を受け取ったことで依頼もひと段落ついたので、これで再び街を離れることが出来る。
「俺はまだジャンと話すことがあるから、お前たちは今日も訓練をしておくように」
「「「「はい!!」」」」
「ディアとコンフラットもよろしく頼むな」
「「分かりました」」
一度、困難な状況を乗り越えたからケインたちはディアとコンフラットとかなり仲良くなった。
そして更に研鑽を積むことで、連携もしっかりと取れるようになっている。
それにディアとコンフラットも、かなり実力差が離れた冒険者を教えることで自分のことを見直すことに繋がったようだ。
「さてジャン、話を聞かせてくれるか?」
「はい。あれから色々と情報が集まってきていますよ」
「で、やはりノモマ教団が主犯なのか?」
「はい……幾つか把握してあるノモマ教団の拠点は全てもぬけの殻だったそうです。それにレックスさんが気に掛けていた魔石ですが、ここ数年で高ランクの魔物の魔石がかなり売られているみたいです」
「やはりそうか……」
主犯格の正体がわかったところで、その組織の実体が掴めていないので意味はない。
だが全くの未知の相手ではなく、言葉で表せられると人の恐怖心は和らげられる。
「そのことも騎士団に伝えてくれているんだよな?」
「はい。レックスさんがゴブリンエンペラーに襲われたのと同様に他の人も何人か襲われたようで、既に騎士団にも被害が出たそうです。なので彼らも必死でノモマ教団の足取りを追っていますよ」
「……騎士団は大丈夫なのか?」
「何人か死人が出たみたいですが、レックスさんの配下として働いていた人は皆んな無事みたいですよ」
「そうか……いや喜んでは駄目だな。それでダグラスは俺に手助けを求めてきたか?」
「いえ、何も……ただ死ぬなよと」
「はは、あいつらしいな。なら俺は予定通り、ドワーフの里に向かう。しばらくはこの街から離れるが大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です。それにレックスさんに言われた通り冒険者を鍛え上げていますからね。彼らも順調に育っています」
「そうか……だが最近の魔物の異常はノモマ教団が関わっている可能性もある。事前の調査は気をつけて行えよ」
「はい、分かっています」
「どこからその自信がくるんだ…………心配だから、俺も一度調べるが問題ないか?」
「ええそれはもちろんです」
「ならエルサを補助につけてくれ。今日中に確認できるだけ確認しておく」
「わかりました。よろしくお願いします」
こうして俺は全ての準備を終わらせて、ケインたちと共にドワーフの里へと旅立つのであった。




