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第二十九話


 ゴブリン討伐を終えた街に戻った俺は真っ先にギルドへ戻り、洞窟内で起こった出来事についてギルド長のジャンに報告をする。


「まさかそれは……」


「ああ、おそらく魔物崇拝をしている奴らだろうな」


 ゴブリンキングが発生したこともだが、問題はそれを全て裏で手引きした存在がいるということだ。

 魔物が自然発生的に進化して集団を作ったことは考えられない。

 魔物が話していた[あの人]が誰なのかは分からないが、何者かの手が加わった事には間違いない。

 そしてその存在の筆頭として考えられるのが、魔物こそが世界を救う神であると崇める集団だ。


[ノモマ教団]


 彼らは俺が騎士団に所属していたころから調べてはいたのだが、その全体像は不明なことが多く、構成している人の数も何をやっているかすらも掴めていなかった。

 これまで何度か小さな小競り合いの報告はあったが、大きな実被害がもたらされていなかった。

 なので長年のあいだ放置されていたが、何かのキッカケがあり遂に動き出したのかもそれない。


「しかしドラゴンまで手なづけているとなると……」


「まぁ普通の冒険者だけで対処するのは難しいだろうな。だから早く騎士団へと報告を上げておいてくれ」


「……レックスさんは戦わないんですか?」


「俺か? まぁ協力を要請されれば考えるが、俺は一介の冒険者だからな。わざわざ首を突っ込まなくても、ダグラスが対処するだろ?」


「そうですか……いや意外というか何というか」


「俺なら真っ先に戦いに行くとでも思っていたのか?」


「まぁ…….はい」


 そりゃあ昔から強敵がいれば率先して向かって行っていたが、いつもそうだと思われるのは……まぁ否定は出来ないか。


「だがエンペラー級の魔物と戦うのはSランク……最低でもAランクからだろ?」


「それはそうですが、依頼とは関係なしに行きそうですし」


「いや、それはいけないだろ? 今の俺にはその資格がないんだから」


「……意外ですね。レックスさんなら、そんなこと気にしないと思っていました」


「いや、俺にどんな印象を持ってるんだよ。俺が規則を破ってる所を見たことあるか?」


「それもそうですね……」


 仮にもこれまでは規則を守らせる側に立っていたのだ。

 守るべきものは守らなければならない。


「俺はあくまでもDランクの冒険者だ。だから冒険者ギルドの決断には従うし、ジャンの言うことは聞く。だが、自ら事を荒げるようなことはしないさ」


 全ての状況が分かっていないにもかかわらず戦場に飛び込むのは愚かなことだ。

 それに今、俺が守るべきはここにある。


「分かりました。騎士団への報告と総ギルド本部には私から報告をしておきます。ですが、いつ要請があっても良いように武器は用意しておいて下さい」


「……それもそうだな」


 俺が用いていた剣は先の戦いでボロボロになってしまった。

 この剣をくれたコンフラットには怒られるだろうが、頼んで新しい武器を用意してもらわなくてはならない。

 そんな話をしていると、扉が叩かれて人が入ってくる。


「失礼します! ……ってあれ? 何故、レックスさんがここに?」


「何故って、いたら駄目なのかベル?」


 入ってきたのは慌てた様子の受付嬢ベルであった。


「駄目というか、何というか……早く外に来てください」


「?」


 よく分からないが付いて行くと、焦った様子で俺の救出を要請しているケインたちがいた。


「……何やってるんだお前たち?」


「なっ、レックスさん!?」


「お、おう、そうだが、一体どうしたんだレイナ?」


「なんでここに……」


「いや普通に帰ってきて、ギルドへの報告をしていただけ……というか今着いたのか? てっきり先に着いているものだと……」


 かなり先に帰路へと付いたにも関わらず、いつのまにか追い抜いてしまっていたみたいだ。

 戦闘の疲労もあって、行軍速度がかなり遅くなってしまったのかもしれない。


「はぁ……いやもういいです」


「……なんか、すまん」


「もういいですよ……それよりあの後にどうなったか教えて下さい」


「わかった、わかったが、ついでに飯にしよう。直ぐに行ってもいいが、まずは体を洗ってこい。みんなひどい格好だぞ?」


 幾度となく行ったゴブリンとの戦闘からなのか、身体中が傷と汚れでまみれている。


「それもそうですね……ならまた後で集まりましょう」


「ああ、そうだな。ゆっくりで良いから、着替えてこい。ディアとコンフラットも、話したいことはあるだろうが後にしてくれ」


「分かりました。ですがレックス様の奢りですからね?」


「ああ、それで構わない。それに後で頼みたいこともある」


「……分かりました。それでは後ほどに」


 こうして皆は一旦は散り散りになり、辺りは完全に暗くなったなかで、身なりを整えて再度集まる。

 そして皆の労をねぎらいながら、皆に今回の騒動について分かっていることを伝えるのであった。

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