第二十三話
突然やってきたエルフのディアとドワーフのコンフラットをレオが経営している宿を紹介する。
ちょっとした騒ぎになってしまったが、皆が無事に受け入れてくれて本当に良かった。
そして翌日になってからゴブリン討伐に向けて出発する。
「さあ、行こうか」
「「はい!!」」
「「「「はぁい……」」」」
ディアとコンフラットは元気だが、ケインたちは未だに眠そうである。
今日向かう場所は街の近くでは無く、かなり離れた山の中だ。
ギルドの調査によれば山の中腹にある洞窟にゴブリンの拠点があるらしい。
そこにたどり着きゴブリンを倒して街まで戻ってくるのにはかなりの時間が掛かる可能性が高いので、日が昇りきる前の早朝から出発することになったのだ。
「お前ら、移動中でも魔物に襲われる可能性があるんだからな。さっさと目を覚ませよ……でないとディアに──」
「「「「だ、大丈夫です。目が覚めました!!」」」」
「そうか? それなら少しペースを上げるからしっかりとついてこいよ」
昨日は軽い訓練にしろと忠告したにも関わらず、ケインたちはディアに相当に扱かれたみたいだ。
既に新たな師弟関係が築かれている……というよりは鬼教官に怯える新人団員か。
「ディア、それにコンフラット、彼らが遅れないように後ろで見守ってくれるか」
「「はい、わかりました」」
まだ距離があるが、このままでは厳しい戦いをする上で不都合しか生まない。
義務感で動くのと本当に信頼し合って動くのとでは、連携に雲泥の差がある。
早くもっと溶け込んで貰うためにも会話をする機会を増やすことにした。
時折こちらを見て笑い声が聞こえるが、仲良くなるためなら話の種にぐらいは甘んじてなろう。
そんなこんなで幾度かの魔物との戦闘はあったものの、無事に目的の洞窟がある山に到着した。
「ここからはケインたちに先導してもらう。俺は基本的に手出ししないから、お前たちだけで対処してくれ」
「えっ、私たちも戦っていいんですか?」
想像していなかったのか、驚いた表情でディアが聞いてくる。
「ああ、勿論だ。だがあくまでもサポートには徹しろよ」
当然に第一はケインたちの成長を促したいのだが、ディアとコンフラットとの共闘も早く出来るようになってもらいたい。
それにディアとコンフラットがサボらず訓練を続けていたか確かめておきたいという思いもある。
「わかりました。ならケインとゴルドフは先頭に! リアーナとレイナがその後ろに立つ! 私たちはその両端に立つから」
さっそくディアが指示をだし、皆がそれに従う。
コンフラットも戦闘においてはディアのことを認めているので、文句は言わない。
「ディア、今の段階で指示をするのはいいが、戦闘になったらケインたちに任せろよ」
「はい」
「コンフラットもまわりに合わせて戦ってくれよ」
「わかりました」
ディアが余りにも仕切ってしまっては、ケインたちの成長には繋がらない。
そしてコンフラットの戦いは自作の剣で豪快に戦うので、周りを気にせずに戦われたらケインたちは巻き込まれてしまうだろう。
そう最後に指示を出してから俺は少し距離を取り、そして少し離れた後ろから見守りながら付いていく。
ゴブリンの拠点があるだけあって山の中にもゴブリンが出歩いているので幾度かの戦闘を行ったが、大きな問題は無く洞窟にまで到着した。
「着きました、ディアさん」
「ええ、そうね。ここからは何が起こるか分からないから、警戒を怠らないように」
「はい!」
ケインたちは緊張と警戒を交えながら洞窟の中に入っていく。
魔法で照らすことも出来るが先んじてゴブリンにこちらの存在を伝えることになるので、松明を燃やして周囲を照らす。
ここからは流石に距離を取りすぎることも出来ないので、ケインたちのすぐ背後に付くことにした。
「近くにゴブリンがいるよ。周りの警戒を続けて!」
鼻の利くディアが皆に警戒を促す。
「これは……どうやら囲まれているみたいだ」
コンフラットが地面から伝わる振動からゴブリンの位置を特定し、さらに伝えてくる。
どうやらどこかに抜け道があったのか、後ろからもゴブリンが迫って来ているみたいだ。
「ああ、後ろから来られたら見守るにも都合が悪い。後ろの奴らは倒しておくから、お前たちは前から来るゴブリンに集中しろ」
「分かりました。みんな戦闘準備!」
いよいよ本格的な戦闘が始まるということで、ケインが皆に指示を出していく。
そして暫くするとゴブリンの集団が姿を現し、戦闘が始まった。
しかしその中にホブゴブリンはいないので前方の戦いは安心して任せる。
そして俺は後方にいるゴブリンを薙ぎ払いに向かった。




