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騎士団から追放されたので、冒険者に転職しました。  作者: 紫熊
第1章 初心者冒険者
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第十七話


 Cランク冒険者との競争となってしまったワイルドボアキング討伐。

 しかし急いでミスをすることは、あってはならない。

 ケインたちの逸る気持ちは分かるが、着実に進ませる。


「ほら、これがなんだか分かるか?」


 俺は皮が剥がれた木を指し示す。


「えっと……何でしょうか?」


 レイナが代表して答えるが、皆が分かっていない様子である。


「これはワイルドボアが牙を研いだ形跡だ」


「へぇー、ということはこの近くにワイルドボアの縄張りということですか?」


「ああ、そうだケイン。だが……」


「どうかしたのですか?」


「いや、何でもない。ここからは気を引き締めて進もう」


 ケインたちは気を引き締めながら先に進み出した。

 しかし俺はもう一度、皮が剥がれた木の周辺を見渡す。


「やはり、無いか……」


 本来は近くにあって欲しかった、ワイルドボアキングの研ぎ跡が無いのだ。

 それがあれば標的の大きさと強さが推測出来るのだが、無いとなると出会うまで分からない。

 しかし俺はこの時気付いていなかっただけだった。

 近くに砕け散った大岩があることを。

 森の中を進み、幾度かのワイルドボアとの戦闘を経てさらに進むと、聞き覚えのある声が響いてくる。


「バ、バケモンだ」

「に、逃げろ」

「こんなの聞いてないぞ!」


 茂みをかき分けて現れた彼らに、どうしたのか聞こうとするも答えは直ぐに現れる。


「プギャァァァア!!」


 地響きのような足音と共に現れたワイルドボアキングは、想像を遥かに超える大きさだった。

 キングの証で黒色に変わったその牙だけで、その辺の木と同じぐらいの太さをしている。


「なんだよこれ! に、逃げろ!!」


 ケインが踵を返し、アジンたちの後を追うように走り出す。

 それにつられて他の三人も逃げ出そうとするも、俺がそれを呼び止める。


「まて、お前ら。逃げてどうなる?」


 もし倒せないぐらい強い相手であるなら、逃げた所で追いつかれるだろう。

 敵と認識された段階で既に手遅れである。

 しんがりを務める者がいなければパーティーは崩壊するだろう。

 そして冒険者が逃げるということは、被害が増大する可能性があるということだ。

 怖いからといって簡単に逃げ出して良いはずがない。


「ですがあんな化物を倒せるわけないです!」


「なんでそう思うんだ?」


「何でって……そんなの見れば分かるじゃないですか!!」


「そうか? 俺にはただデカいだけにしか見えないがな」


 確かにこの大きさは想定外ではあるが、ただそれだけだ。

 力は強くなっているかもしれないが、そもそも攻撃を受ける予定は無い。

 前もって心の準備が出来なかったのでケインたちは面を食らっているが、落ち着いて対処すれば戦えないことはないだろう。


「あ、危ない! 逃げ──」


 ワイルドボアキングが突進を仕掛けてきたので、ケインが思わず声を上げる。

 もちろん交わすことは出来るが、それではケインたちは落ち着きを取り戻せないだろう。

 なので俺は仕方がなく剣を抜き、そしてワイルドボアキングを真正面から受け止める。


「ほら、問題ないだろ?」


 更にそのまま剣を振るい、ワイルドボアキングを弾き飛ばす。

 すると四人とも開いた口が塞がらず、そして驚きながら突っ込まれる。


「いやいやいや! いやいやいや!! そんな……一体どうやって!?」


 確かにこのワイルドボアキングは通常より遥かにデカいが、ただそれだけだ。

 魔力で強化された羽付きのトカゲどもと比べると、遥かに非力である。


「魔力で剣を覆ってしまえば、ケインでもいつかは出来るさ」


「そんな馬鹿な!?」


「さぁ、お喋りはここまでにして、戦闘の準備をしろ。もう怖くはなくなっただろ?」


「確かに……なんだかいけそうな気がしてきました」


「よし、それならここからは手を貸さないからな。お前たちだけで戦うんだぞ!」


「「「「はい!!」」」」


 こうしてCランク冒険者も見ただけで逃げ出すワイルドボアキングと、駆け出しの初心者冒険者との戦闘が始まるのであった。

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