第十四話
再び集合してきたケインたちは、しっかりと身の丈にあった装備を揃えてきた。
「身軽になったようだな」
「はい……着てみたらやっぱり、こっちの方がしっくりと来ます」
「まぁ必要な時に必要な物を身につけるべきだ。無理に格好をつける必要はない」
「はい、それは身に染みてわかりました」
「まぁそれが本当に分かるように、鍛えるからな」
不敵に笑うとレイナが心配そうに聞いてくる。
「……一体何をするつもりですか?」
「君たちは何をするにも足りないものがある。もちろん経験もだが、それ以前の話だ」
「?」
四人とも頭を傾げる。
「なんだ自覚が無いのか……答えは基礎体力だ。筋力にしても魔力にしても、君たちは足りなさ過ぎる。ちなみに普段はどれほど鍛えている?」
「それは──」
四人ともに話を聞くが、誰もが鍛錬不足としか言いようがない。
実力も経験も足らないのに、努力すらしていないなら、強くなれるはずがないだろう。
「ならまずは最初の訓練だが……」
皆は生唾を飲み込み、真剣な表情でこちらを見てくる。
だがそんなに真剣に聞かなくても、初めは至ってシンプルな内容だ。
「装備を身につけた状態で、街の外周を走り続けろ」
「えっ!?」
聞き返して来ても変わらないのだが、もう一度は教える。
「だから装備を身につけたまま、俺がいいと言うまで走り続けるんだよ。簡単な話だろ?」
「それはそうですが……ねぇ?」
ケインは明らかに不服そうだ。
そして他の四人も納得していない様子である。
「嫌なら辞めてもいいんだぞ? 他にも冒険者は沢山いるんだ。別に君たちは特別では無い」
彼らとは縁があったとはいえ、深い繋がりがあるわけではない。
そして彼らに代えのきかない才能があるわけでもない。
まず第一に俺のことを信じることが出来ないのなら、無理をしてもらう必要はないだろう。
「私はやるよ。だってこんな機会、普通はないんだよ? それにレックスさんが間違ってることを言ってるはずがないもの」
先陣をきってレイナが宣言する、そして走り出す。
「他の奴はどうするんだ? やりたくなければ、別に構わないぞ」
「私もやる。レイナを一人にさせられない」
少し遅れてリアーナも走り出す。
「よし、後は男どもだけだぞ。どうするんだ?」
「僕も……やる」
「ああ、頑張ろうなゴルドフ。さぁ後はケインだけだぞ?」
なかなか喋らないゴルドフも了承し走り出す。
そして残るはケインだけだ。
「ああもう! やれば良いんでしょ、やりますよ!!」
「そうか、なら行ってこい!」
ケインも了承し、そしてその宣言と共に走り出した。
冒険者をやっていれば理不尽なことなど幾らでもある。
これぐらいのことで音を上げていては、どうすることも出来ないだろう。
「さて……俺は準備でもしとくかな」
毎回するつもりはないが、お金を使い切った彼らは訓練の後に満足に食事を取れないかもしれない。
だがしっかりと食べることをしなければ体を作りは出来ないのだ。
せっかくなのでレオに存分に腕を振るってもらおう。
こうして初心者冒険者たちの訓練が始まったのであった。




