第十三話
朝一に再び冒険者ギルドに向かう。
しかし今日の目的は依頼を受けることではなくて人探しだ。
初日に共に依頼を受けた四人のケイン、ゴルドフ、リアーナ、レイナを探す。
ジャンにもお願いしたが、初心者冒険者は朝一か、他の冒険者が依頼を選んだ後にやってくるらしい。
実績のある冒険者の邪魔にならないようという配慮からだそうで、その時間に待っていれば会えるはずなのだ。
「何をされているんですかレックスさん?」
「って、なんだベルか……」
「なんだって……いやそうではなくて、ここで何をされているんですか?」
「何って、人待ちだよ。ジャ、ではなくてギルド長から聞いていないか?」
「聞いていますが、ここでそんな威圧感ある目で冒険者を見られると迷惑です。既にクレームが入っているのでやめてください」
通る人を確かめるように見ているから、不審者扱いされてしまったらしい。
「そうなのか……それはすまなかった」
「外で待たなくても、中で待っていてください。彼らが来たら呼びますから」
「わかった、それならよろしく頼む」
まだ来ていないギルド長の部屋に通される。
そしてしばらく待っていると、彼らがやってきたそうでロビーに呼ばれた。
どうやらあの後も四人で行動することになったらしく、全員集合している。
「レックスさん、おはようござます。一体話とはなんですしょうか?」
「いやその話もそうなのだが……まずその装備はなんなんだ?」
ケインが着ている防具もそうだが、ゴルドフもリアーナもレイナも着ているというより防具に着られている。
完全に不釣り合いな物を身につけてしまっているのだ。
「何って、レックスさんに頂いたお金で全員分の装備を新調したのですよ。これですぐに強くなって、レックスさんに追いつきますよ!」
「……色々と言いたいことはあるが、他の皆もケインと同じ理由か?」
「そうですが、何か間違っていましたか?」
「なら逆に聞こう、それで本当に良いと思っているのか? あの後、お前たちだけで何か依頼を受けなかったのか?」
「……受けました。失敗に終わりましたけど、それは連携がとれていなかっただけで──」
ケインたちが受けた依頼の内容を聞く。
ワイルドボアの討伐という平凡な依頼だが、動きがあわず連携が取れずに逃がしてしまったそうだ。
「違う、連携の問題ではない。装備に罪は無いが、お前たちには不釣り合いだ。装備の性能を上げても自分の力が上がるわけでは無いんだぞ」
「でも、店員もオススメしてきたのに……」
「それはカモにされただけだ。良い装備は当然高いからな。おおかたお金を見せびらかしながら店にでも入ったんだろ?」
「それは……その通りです」
本当に彼らには基礎の基礎から教えていかないといけないのかもしれない。
「まったく、まずはそこからだな」
「何がですか?」
「ああ、まだ話していなかったな。君たちさえよければなんだが──」
ケインたちにギルド長のジャンと取り決めた計画について説明する。
「本当に良いんですか?」
ケインたちは驚き、喜びの表情を見せる。
「俺から提案してるのだから良いに決まってるだろ」
そして顔を見合わせて頷く。
「ぜひお願いします!」
「よし、それなら早速だが……装備を元に戻してこい。話はそれからだ」
合っていない装備を使う意味など無い。
値段の高い装備の良いところはもちろんあるが、基礎も無いのに使っても無駄に消耗させてしまうだけだ。
「前の装備は売ってしまったのですが……」
「はっ!? 全員ともにか?」
「……はい」
「元の装備を買うお金も残ってないのか?」
「それぐらいならあります」
冒険者になりたての彼らがそこまでお金を持っているはずがない。
俺が譲った報酬も四等分し装備を買ったら殆ど残っていないだろう。
だがここでお金を渡して買って来させるのは違う。
本気で考えて、自分にあった装備を選んできてもらいたい。
「分かった。なら何をするかはこっちで決めておくから、昼にギルドまで戻ってきてくれ」
「はい、わかりました」
こうしてケインたちと一旦別れ、訓練の準備を進めるのであった。




