70話 epilogue
二人の恋愛は大きな山を駆け上がったり、下ったりとする日々が続くであろう。二人の恋愛は鴨の親子のように険しい道のりも、険しい水流も共に進んでいくであろう。
どこに行っても二人は助け合い、日常を共有し、壮大なスケールの人生を歩んでいくであろう。
藍野と亜子は時を経て結婚式を挙げた。
大勢の人に囲まれて祝福された。
藍野にとって、全てはヒデとの再会がきっかけであった。
Love Duckを舞台に藍野は一つ、幸せを掴み取ったのである。
そして・・・橘美姫は今でもアイドルとして活動している。
時には辛い時もあるが、藍野と橘ななみに救われた手紙を読んでは
立ち上がる強い女性になっていた。
ヘイヘイはすべての経営を手放し、帰国して自分と見つめなおすことに。
実家で自分と向き合う日々を送っている。
そばにいるテンテンは末期と言われた命さながら、なんと病を克服しヘイヘイと兄弟の時間を大切にしている。ヘイヘイとテンテンは実家で笑いあう姿が垣間見えた。珍しくも、なつかしい二人で笑いあう時間を大切にしあっている。
ストーカーをしていた明日香は池神と恋愛相談、どうでもいい話をする仲に。ダーリンノートはごみ箱に捨てていつの間にか忘れ去るほど、ストーカー行為を絶った。
そして、亜子がLove Duckを退職する日がやってきた。
「店長、今まで大変お世話になりました。私はLove Duckのことを一生忘れません」
「亜子ちゃんには今まで本当にお世話になったよ。私は亜子ちゃんがいつかお客さんの藍野くんと結婚するんじゃないかと予想していたんだよ。本当に結婚するなんてね」
店長は遠くから亜子の将来を見守っていた。
店長の一言で、亜子はどれだけ大事にされていたかを、思い出すように痛感する。
「店長さん、私は今度お客さんとしてこの店に来ます。その時はまた、美味しい合鴨料理を食べさせてください」
亜子のお願いを聞いて店長はにっこりと笑った。
「当り前じゃないか。亜子ちゃん、またこの店に来てくれることを楽しみにしているよ。次はお客さんとしてね」
こうして亜子はLove Duckの従業員としての最後を迎えたのだった。
深々と店長にお辞儀をして店を出ていった。
次はお客さんとして合鴨料理を食べに行くことは亜子にとって当たり前と言えるほど、強い繋がりを持っていた。
亜子が振り返りLove Duckの店を見渡す。
「今までありがとう。そして、これからもよろしく」
そして、花宮心美はオーナーとしての生活がもう始まっていた。
毎日は覚えることばかりで仕事に追われる日々。
ヘイヘイとの電話通話で移動を受けながら日々薫陶する。
家に帰るとヒデがいる。
支えあっている二人はまた将来のことを明るく語り合うのであった。
「心美、今度一緒にデートに行こう。どこか行きたいところある?」
心美はその質問を待ち望んでいたかのように間髪入れずに即答した。
「一緒に合鴨料理食べに行こう!!」
End…




