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婚約破棄されたので離縁裁判所で働き始めたら、壊れた関係の“理由”が見えるようになりました  作者: すずり


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第36話 それでも選ぶ理由

 静寂が、残っていた。


 部屋を出た後も、空気はすぐには変わらない。


 リシェルは廊下を歩きながら、ゆっくりと息を吐く。


 ——終わった。


 最後の案件。


 結果は変わらなかった。


 だが。


 何かは、確かに変わっていた。


「……満足か?」


 後ろから声。


 レオンだった。


 足音もなく、隣に並ぶ。


 リシェルは、少しだけ考える。


 そして。


「……わかりません」


 正確に答える。


 レオンは、小さく笑う。


「正直だな」


 一拍。


「だが、結果は同じだ」


 淡々と続ける。


「最初から解消でよかった」


 その言葉。


 正しい。


 否定はできない。


 だが。


 リシェルは、静かに言う。


「……過程は違いました」


「意味があるのか?」


 即座に返される。


 リシェルは、立ち止まる。


 そして。


 レオンを見る。


「あります」


 はっきりと。


 迷いなく。


 レオンは、わずかに目を細める。


「説明しろ」


 短く言う。


 リシェルは、少しだけ考える。


 言葉を選ぶ。


 そして。


「……関係は、結果だけではありません」


 一拍。


「そこに至る過程も含まれます」


 レオンは黙って聞いている。


「結果が同じでも」


 リシェルは続ける。


「過程が違えば、残るものが違います」


 一歩、踏み出す。


「理解があれば」


 一拍。


「後悔は減ります」


 その言葉。


 静かだが。


 確かだった。


 レオンは、しばらく沈黙する。


 そして。


「後悔は、非効率だ」


 淡々と返す。


 予想通りの答え。


 だが。


 リシェルは、すぐに言う。


「それでも、存在します」


 一拍。


「存在する以上、無視はできません」


 レオンの視線が、わずかに変わる。


 ほんの少し。


 だが。


 確実に。


 リシェルは、続ける。


「私は」


 一瞬、言葉を止める。


 そして。


「理解を選びます」


 その言葉。


 静かに落ちる。


 だが。


 重い。


 レオンは、何も言わない。


 ただ、見ている。


 リシェルは、視線を外さない。


「結果が変わらないとしても」


 一拍。


「それでも、意味があります」


 その言葉。


 完全な否定ではない。


 だが。


 譲らない。


 レオンは、やがて小さく息を吐く。


「……非効率だ」


 もう一度言う。


 だが。


 その声には、わずかな変化があった。


 完全な断定ではない。


 リシェルは、わずかに頷く。


「はい」


 認める。


「ですが」


 一拍。


「それでも、選びます」


 その言葉。


 それが。


 結論だった。


 レオンは、しばらくリシェルを見ていた。


 そして。


 ふっと笑う。


「面白いな」


 短く言う。


「結果を変えられるかは、まだわからない」


 一拍。


「だが」


 視線を逸らしながら。


「意味がないとも言い切れない」


 その言葉。


 初めての。


 完全否定ではない評価。


 リシェルは、静かに受け取る。


 そして。


 ゆっくりと息を吐く。


 胸の奥にあった迷いが、少しだけ晴れる。


 正しさでもない。

 結果だけでもない。


 ——理解した上で、選ぶ。


 それが。


 自分の答え。


 リシェルは、前を向く。


 廊下の先。


 光が差している。


 そして。


 静かに歩き出す。


 今度は、迷わない。


 見逃さない。


 そして。


 ——選び続ける。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


ついに主人公が「何を選ぶのか」を明確にしました。


正しさでもなく、結果だけでもない。


“理解した上で選ぶ”という答えに辿り着いています。


次話でいよいよ最終話となります。


この物語がどこに着地するのか、

ぜひ最後まで見届けていただけると嬉しいです。


ブックマークや評価も、とても励みになります。

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