迷子の館
カナカナの町の北東の方角に進んだ先は木で埋め尽くされて通れないようになっている。
『西の方はモンスターが強くなっているから気を付けなさい』
『東の方はモンスターが強いモンスターが住み着いているから行くなら気を付けろ』
これは王様の側に付いてる騎士様の会話である。
これを聞いた時に1回「??」と疑問に思う(人もいる)。 この町から進む方向は南の海方面で来た方角は東であった。
そこで、『西のモンスター』はこれより先のマップのモンスターのことを表しており『東に住み着くモンスター』がストーリー上直前に戦っている『魔王四天王の2人』と結び付いてしまうのである。
優那はここで徹底的にここの付近のマップを一マス一マス全てを練り歩きポチポチと調べまくった。
そしてその結果が、町の西北西部の地面のある一マスにて『宝の地図』を発見し、東北東部の一マスで必ずモンスターと遭遇するマスを発見出来た。
重要なのは後者でそのマスで連続2回(四天王がいた数)を行うとただのオブジェの木々の一部が開いて道が出来るのだ。
ちょっと分かりにくいが、王様やメイドなど城の人たちは『四季の町イベントクリア時』でセリフが変わる者が大半・・にも関わらず、その言葉を喋っていた騎士様のセリフはいつまでも変わらない(〝王側近の騎士〟は重要なポジションのモブでもあるのに)のがポイントで誰でも何かあると分かるようになっていた。
・・・・・
「千ちゃんはお化けとか幽霊とか大丈夫?」
「『お化け』はわからないけど〝ユーレイ〟は大丈夫です! 〝ゴースデット〟も〝ママミィ〟も相手したことあるよ♪」
それは心強い、でもモンスター的な意味で言ったんじゃないんだよ…、洋館にも出る死霊系モンスターは見た目が可愛いんだよね。まぁ千ちゃんなら大丈夫ってイメージが強いけど!
「ユウナちゃん!もしかしてあっち行くの?」
町の家の中にいるのにピタリとこれから向かおうとしている場所を指差したよ!
「よく分かったね」
「はい、あっちの辺は夜になると出るってヴァルちゃんにききました♪」
たしかに近辺で注意することがあれば千ちゃんならきいているか
出るの?マジで? ゲームでは洋館にしか出なかったよ?
「近付いちゃいけないとか言われてない?」
「いいえ」
うん、なら行くしかないよね!
「ごめんね、マルシカクちゃんがんばろー!」
「うん♪ おねえちゃんおねがいします♪」
「うん、ずっと抱いてる♪ あとはみのりさんに託します」
急に振られたみのりさんは返事で舌を噛みみんなで笑いました。
ゲームでの行き先はこれで全てだ。ゲームには無いがその場所から先へと続く道は色々あったしささやき樹の森のような知らない謎もいっぱいだったから時間をかけてじっくりと回ってもいい、物作りや食事も作れるから移動しながら商売して回ってもいい。
終わったらどうするか話し合おうね、ひとくくり終わったとしてマルシカクちゃんと家に帰って挨拶しておくのも忘れないようにしなくちゃ。
・・・。
知識を信じて敵を倒しながら進んでいく、今回千ちゃんの武器を新たに用意しています
『怠魔のアイス+』
(死霊系モンスターへのダメージが1.64倍になる(がSPDが大きく下がる))
ネタ武器みたいな名前だけどちゃんとした武器で何故か短剣の部類に入っている。
物理攻撃が難しい幼なじみ殺しのこの場所だけど攻撃面の弱い盗賊のぬすっと少女がこの場所で使うとかなり活躍出来る優れ物であった。
どんな見た目なのかなと製作して出来たのは渦多めのミルクソフトクリーム。食べ物が出来て千ちゃんが口に入れようとしたのを止めたりもしたよ…
木々の中へと続く道を発見しました!
「隠されてなかったね、ここを通った覚えある?」
「い、いえ、無いです…」
記憶してないだけかもしれないけど、お兄様にこの先まで連れていってくれて別れた、という可能性も考えられる。
「雲が出て来たりはしないんだ」
このマップに入ると曇りになって遠くで聞こえるような小さな雷音があるのだけど晴天なり! よかった!多分怖くないよ!
更に歩いていると塀が見えてきていよいよ感が出てくる
「見て!大きい家があるよ!」
「あ、見た記憶があるかもしれません…?」
崖山のすき間を歩いていたあの時にはまだ記憶あったはずなのにもうすっ飛んでいるっぽい。
更に入り口付近に来ると目立つ場所が…
「石が一杯あるよ?」
「そ、そうでした! 通った記憶があります」
玄関口正面の道の左右に無数に建つお墓を見て記憶が甦ったみたいだ
今進んでいる道だがゲームなら柵で通れなくなっていて強制的に館へと踏み入れるしかないのだが、やはりみのりさんが簡単に通れたように障害は皆無だ。
・・・カシャン
「ひやぁ!?」
変な声出ちゃった、恥ずかし!!
門は閉まっていて錠が付いていたが私たちが着いた瞬間に外れて落ちてとっても驚いてしまった
「おねえちゃん…」
「うん」
予定よりはやいけどすぐに察知してくれたマルシカクちゃんを抱くと落ち着く
「千ちゃん、みのりさんお願いします」
「おねがいします」
「「はい!」」
やっぱり明るくても怪奇現象は怖い、やだ!
・・・。
ゲームでは館の入り口へと続く道の両脇にあるお墓にも当然イベントが用意されている
墓石は全部で8つあるのだがそれぞれに名前と一言が刻まれていて、その言葉の方がそれぞれの村・町のどこかで聞いたことがあるような何気ない台詞になっている。 なので、『はじまりの村』で聞いた言葉から順番に調べていくと最後の調べてないお墓が一マスズレて下り階段が現れる。
ここで注意!現れた階段にすぐに入ってしまうと『真っ暗だ、!!、何かに捕まれてのみこまれてしまった…』とゲームオーバーになってしまう。
忘れてはいけないのは8つ目のお墓はまだ調べていないこと!
ズレたお墓を調べると元はフェイクの『最近、モンスターがいっぱいいるな』と刻まれていた言葉が『ここは王のお墓』になっている。 〝王〟から王様に話すと全く知らないことだったようで
「勇者よ、調べてみてはくれないだろうか?
これを持っていくがよい」
と〝退魔のお札〟を貰えてそれを使って調べられるようになる。 暗闇を根気よく調べると〝魂のナイフとフォーク〟が手に入りお城の食堂で上級料理のレシピと交換してもらえるというイベントだった。
お墓調べてもらう? 無理!止めて! 何か用意してくれてたとしてもパスします、ごめんなさい。
・・・。
千ちゃんに扉をノックしてもらう、いつもは私の役割だから任されて張り切っちゃってるね・・・ちょっと迷惑くらいに強い音…。
・・・キキキキィ
「っ!」
古びた扉でもないのに軋み響く開く音に抱く手を強める
「おねえちゃん♪」
柔らかい頬でスリスリされて怖さが和らぐ。正直厳つい人とか危険な状況よりこっちの方が
怖い、けどマルシカクちゃんが居るから乗り切れる、自分一人だったら、見たさゆえに来るだろうけど足が石化したように動かない自信があるね!
深呼吸して待ってくれてる2人に入ろうと言った。
・・・。
館の中はどこかの高級ホテルのようになっていてゲームとは全く違っていた・・がそれよりもおかしい状況である。
「いらっしゃいませ♪ 当ホテルへようこそだよ!」
見た目30歳くらいの女性が土色と白のチェックのスーツで迎えてくれる・・声で分かる毎度おなじみのあの方だ
「宿泊ですか? 1泊、、聖女様の1歌唱ですよ♪」
「ふぇ!?」
ブレないねぇ、泊まれるのか。おかげで怖かったのは吹っ飛んだけど
「ユウナちゃん、泊まるの?」
すっかり戦う準備をしていた千ちゃんも状況から緩んでいて、どうしようか悩んでしまう
「あの、神の「敏腕ボーイちゃんです」・・敏腕ボーイちゃん」
「はい♪」
ボーイちゃんって何?
「ここはホテル・・宿ですか?」
「腕試しの出来るホテルですね♪」
ホテルって通じないから言い直したのに。 みのりさんなんか得体のしれないお店の認識だよ?
「フフン(キランッ)」
敏腕ボーイちゃんの目が光ると説明してくれる。
ここは普通の宿としても使えるけど、500Gプラスで宝探し(ホテル探索)も行えて見つけたお宝は持って帰っていいという、注意しなければならないのは弱いのからボス級までモンスターが出るということ。ホテル内装は特殊になっている。
完全に私たち用の施設じゃないですか!
「いえいえ、勇者様も(当ホテルを)見つけてくれれば参加説明しますよ♪」
あー、弱いのもいるから上手くいけばいいレベル上げになるのか。
「出口に着けなければ死に戻りですけどね♪」
・・そうですね、でもモンスター配置がランダムなのは優しいと思います
「ちなみにですけど、中は暗くなってたりしませんか…?」
「みなさんにはしませんね! 雰囲気を楽しみたいなら別ですよ」
うん、有難い。この洋館で探索なら怖くないかな?
千ちゃんやる気だからやるよ! 面白そうだしね!
「みのりさんお願いします」
「何をでしょうか?」
お金じゃない方の支払いです
・・・。
「今日の歌もかなりよかったです♪」
「は、はふぅ、ありがとうございます!」
毎度毎度、新しい登場キャラなのに何度もきいている風になっているがばがば設定はよく分からん。
フロントの左右にある扉の左側の前に立って「こちらがスタートです」と開いて脇に立った。
入ってすぐは廊下で数歩で次の扉がある不思議な空間、一応調べてみるけど何も無いので次の部屋へ
今度は横に並んだ3つの扉が並んだだけの狭く短い廊下である、なんかワクワクしてきたよ!
「マルシカクちゃんどれがいい?」
「んー、右」
最初はもちろんマルシカクちゃんに決めてもらい入った部屋にあったのは木の宝箱、罠の可能性もなくはないけど素直に開けると『愛の詩』と書かれた紙切れだった
「外れかな」
『違うよ!私の所に持ってきたら聖女様に歌詞をプレゼントだよ』
神の声さんかな? そのまま敏腕ボーイちゃんに渡したらダメかな?
尚、今の声はマルシカクちゃんと私以外には聞こえていない様子なのでみのりさんに「必要になるかもしれないから持っていて下さい」と渡しておいた。
その部屋には他には何も無かったので部屋を出る、この館の趣旨は分かりやすくていいね。
再び横並びの扉、繰り返し何回まであるのかな。
「千ちゃんいってみよう」
「はい! 真ん中です!」
そのまま千ちゃん先頭に入っていくと再び部屋の中央に宝箱が、運良いな…
『〝失礼の詩〟を手に入れた』
「外れだね」
『違うよ!私の所に持ってきたら聖女様に歌詞をプレゼントだよ』
知ってました。 もしかしてこれ全部手に入れるまで(本来なら)当たり部屋しか選べないとかじゃなよね? 萎えてくるんだけど…。
「みのりさんお願いします」
「は、はうぃ! では…。・・・。す、スミマセン…」
「ゆっくり決めていいよ」
「あ、ありがとうございます・・・
はい、右で・・お願いします」
さあ、右へ!と思ったその時だった!
『右でいいのかな?』
「ふぇ?」
『本当に・・右で・・・いいの?』
神の声さん? もしかして…そういうことだよね?
「や、やっぱり、左にしましゅ…」
『真ん中とかどうかな?』
間違いないね、お宝部屋へ誘導しているんだね。
ってことはマルシカクちゃんも千ちゃんも運で引き当てたんだ、すごい!
「みのりちゃんの行きたい所いくです!」
『ちょっと、最後の部屋だよ!?』
「誰か分からないけど次はみのりちゃんが選ぶ番だから!」
千ちゃん強い! 神の声さん、全員に声掛けしたのは間違いだったんだよ
「さあ、右に行こうね!」
「は、はいっ!」
千ちゃんはみのりさんの手を引いて右の扉を開いていた。 カッコイイね、みのりさんも良い顔してる。
『あー、最後にボス部屋選ぶとここのボスだから2人は気を付けてね!』
そう残った私たちに言って神の声は途切れた。
「ボスかぁ、ここは『吸魔の王』、吸血鬼だね
正直、みのりさん一人で余裕だと思うよ」
「うん!はやく追いかけよー♪」
マルシカクちゃんを下ろすか悩んだけどそのまま抱っこして扉をくぐるのだった。
・・・。
「暗いなんて止めてよ…」
初めての深海ほど暗くはなかったけど部屋の中の視界は悪かった。 外と違って建物の中、しかも洋館の中で暗いというのは本当に、本当に!恐ろしく怖い。
「マルシカクちゃん大丈夫だよ、そのまま顔を伏せててもいいからね!」
「ありがと♪ おねえちゃんもギュッとしていいからね♪」
怖くなったら止まってギュッとし合おう!
「ユウナちゃんたちは千が守るです!」
「はい!何もにゃいということはモンスターですよね!」
モンスターはモンスターでもボスを選びましたよ
・・・キュキュキュキュキュ(何かが鳴く)
・・・バサバサバサバサ(何か羽ばたく音)
・・・ゴーン、ゴーン(振り子時計の音)
突然、様々な音が室内に同時に響き渡る
「ひゅぁ!?」「っ!?」
マルシカクちゃんの押し付ける顔力が入って、私もギュッとちょっと力が入った。ドクドクと心拍数が上がったのが分かるくらいにビビッた!
「っ!明るくなりました!」
光が通らない窓があったのか、そこから月明かりが差し込んできて室内がさっきより明るくなった
「何か回ってる!」
部屋の中央で蝙蝠の大群が渦巻を作るように旋回してただごとでない様子に2人は戦闘態勢をとる!
薄目を開けてチラリと見るが戦闘ウィンドウは出てない、まだまだ演出があるのだろうと再びソッと目を閉じてマルシカクちゃんに神経を寄せた。
再び時計の音が響くとそれが合図だったかのように蝙蝠たちが部屋中に散開、声が煩い!
「きたです!」「ヘブンズジャッジ!」
いきなり部屋中が敵だらけの状況に2人はシステムを忘れて戦闘に入った!
しかしみのりさんが放った魔法で倒した蝙蝠は無し、千ちゃんがソフトクリームで当てた敵も地面に落ちてすぐに復活してしまう。 絶望的な状況でも怖がる私を頼ろうとはしないでとにかく私たちを守るように立って蝙蝠を近付けないように頑張っていた。
そしてすぐ気付いた、蝙蝠は縦横無尽に飛び回っているが一匹たりとも接触してきてはいないことに!
気付いて落ち着いたことが合図だったのか再び時計の音が響く。
すると、蝙蝠たちがいつの間にか開いていた窓から出ていきガシャンと閉まる。
「ふぇ?どこか行ってしまいましたね…」
「油断はダメだよ!」
頼もしいね、声だけで2人が頑張っているのが分かる、ポンポンとしたらマルシカクちゃんも顔を上げて確認する。
ゲームでは蝙蝠たちが集まったらすぐに吸魔の王へと姿を変えて戦闘だったけど、どこか行っちゃったし誰が相手なの?
・・・カチャリ、キキキキィ
先にある扉が開くとコツン、コツンと足音が聞こえてくる。
ヤダ!これホラーだよ!マルシカクちゃん!
皆、固唾をのんでその時を待っているとカシャンという音と共に電気が点いた
「・・・くす、ようこそ♪ ごめんね?」
立っていたのはあやしいマントを着けていないリリンちゃんだった
「リリンちゃんだ!どうしたの?」
「・・・くす♪ボスだからここにいる
でも、戦うつもり無いから。決まり守っただけ、だからホントにごめんね?」
まさかのリリンちゃんが迷子の館のボスなの!?
スススと私に近付くとマルシカクちゃんの背中を撫でる、マルシカクちゃんが頷くと今度は私の背中に手を当てた。 かなり申し訳ないと思っているらしい。
「・・恥ずかしい思いは好きだけど怖い感情は不要」
私だけ理解出来る言い方だ、リリンちゃんはサキュバスであった。サキュバスといっても所謂〝サキュバス〟とは違う。ここでは彼女の揶揄いによる恥ずかし目が大好物と載ってた。だから不本意な演出なのだろう、まぁ勇者相手なら喜んでやって蹴散らすだろうけど。
「・・・ドロップ、どうぞ♪」
保留リザルトが入る。それとサービスなのかリリンちゃんが普段しないようなとびっきりの笑顔を見せてくれた・・かわいい!
「マルシカクも負けないよ♪」
トントンと下ろして欲しい合図して正面に立つと両手を広げてにぱぁっと笑う、このツーショットは最強過ぎる、けどやっぱりマルシカクちゃんが愛おしいって思うから自分は大丈夫だ!
「マルシカクちゃんかわいい♪」
ギュッとしたらそのままキスされた、最高です!
「・・くすくす♪ 負けちゃった」
リリンちゃんは嬉しそうに微笑むとそのまま出口を指して案内がてら付いて来るらしい、お客様が来ないから普段は商売人や門番?をやってやれるのだろう
「みのりさんも千ちゃんも私たちを守ってくれてありがとね♪」「ありがとう♪」
「「はい♪」」
お部屋は二段ベッドが二つある部屋で2人ずつその内一つ使ってお泊まりました。




