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来客

「貴様には世界の半分をくれてやろう!!」

 突然訪問してきた可愛いお客様のいきなりのお言葉ですぐにその正体が判明した。

 ゲームでは2本角を生やしていて、身丈以上の大きな衣を纏った大男のような「真っ黒い影」・・・ラスボスの〝魔王〟である。

 まさかこっちではこんなかわいい幼女になっているなんて、マルシカクちゃんに会ってなかったら・・

「ふぇっ?えっ!?」「なになに♪」

 いきなりの発言にみのりさんは驚いていて、千ちゃんは楽しい事があるのかと期待している

「・・あー… 貴様・・お前には特別に世界の半分をくれてやる・・・な?」

 色々考えていて何も答えなかったのが気に障ったとみたか、ただ気まずかったのかさっきより優しい言い方で言い直された・・・かわいい

 ・・・それにしても、出会うのはもちろん『魔王のお城』の不動の魔王様が来るなんてね。 この問いにはなんて答えるのがいいのだろうか?

『いりません』? 『世界の半分って?』とか? 『あなたは誰ですか?』、『何が目的ですか!?』なんても!・・・なんか恥ずかしい……なんて相手が魔王様だからとあれこれ考えてたら袖を引かれた

「おねえちゃん…ないちゃうよ?」

 マルシカクちゃんに言われて魔王様も見たらフルフルと身震いしているではないか! やばい!?

「あ、あ、ごめんね!?」

「な、泣くわけなきゃりょー!」

 ギリギリだ!? ホントにごめんよ!

「世界の半分だったね? 詳しく教えて?」

 咄嗟に優しく近寄って姿勢を低めて手を握った

「・・・スン(腕で目元を一撫で)

 クハハハハ! よく聞くがよい!!

余はな!この世界の全てを手中におさめるのだ!」

 ゲームでの魔王の存在理由だね。

 頷いておくと魔王様は気分良くしたみたいに『ふふん♪』とドヤ顔をしたのだが、それも一瞬のことでちょっと暗い顔になってしまった

「だがな? 妾の邪魔をする存在が現れたと家来が言ったのじゃ…」

 はいはい、勇者様だね

「妾はそれは先に排除すべきだとすぐに命令したのじゃ!」

 そりゃそうだろうとみのりさん以外は同意して頷く。語り方が上手いから聞いてて楽しい

「その者は『勇者らんだむ』と仲間一団といってな? 妾すらも脅かす力を秘めてるらしいんじゃ!」

 予想外の名前にみのりさんから驚きの声が漏れる。もちろん私とマルシカクちゃんは白ける場面だよ、一団って仲間も1人しか・・ねぇ?

「心配でどう向かい討つべきか悩んでいた、その報告結果がな・・・!」

 ここが大事と溜めている緊張の瞬間

「「勇者一団弱いぞ?」・・・だったのじゃ…」

 千ちゃん大笑いである、ネタかよ!?って話だ、魔王様がこちらに視線で返事を期待していたので悩んで勇者は弱いことに同意しておいた

「何度も倒した報告を聞いておって『もう脅威でもなんでも無い』と無視しようとした時に『もう一つ気を付けた方がいいかもしれないことがある』と聞いたんじゃ!」

 そこで私を威厳たっぷりに見上げた・・・かわいい

「ククク! 我が最強の家来が負かされたと言う、しかも無事に帰された!」

 そこからは楽しそうに語る

 四天王たちの報告が愉快だったらしい、実力があるのに殺意はなく魔王様への敵意すら無いと確認された存在

「そうじゃ!貴様なのじゃ!」

 指を差して『決まった』と聞こえてきそうだ。拍手したくなったけどさすがに我慢だ

「はい、襲われなければ気にしないですよ」

「ウムウム! そこで!・・・そこでな? 世界の半分をやろう!」

 理由が違い過ぎて質問の繋がりが見えない、そもそもまだ手中に入れて無いだろね

「家来になれってことですか?」

 1番もっともらし予想の理由かと問えば魔王様は顔を赤らめてそっぽを向く

「・・・まぁ、いや・・そうじゃ…ないんじゃがな」

 なんか煮え切らないが否定はしたが肯定も一度はしたね

「魔王ちゃん!」

「ほへ!? ま、魔王ちゃん!?」

「仲良くなりたいんでしょ♪」

「なぬ!? な、何故それを!」

 乱入してきた千ちゃんの言葉にたじろぐ魔王様、当たりなのか・・・とここでtrue endの結末が思い起こされる。


 3周目以降に条件達成して視聴可能なエンディングでは魔王が世界を支配しようとした本当の理由が描かれる、それが友達エンドである。

 普通のエンディングでは魔王を倒して止めて世界が救われた。 2周目以降では追加マップ攻略で最後選択肢が増えて説得エンドのgood endになる。

 最後にgood endを見ていての周回以降では特定のアイテムと隠しキャラ(倒したはずの四天王たち)を見つけて最後まで攻略することで真のエンディングを見れたりした。


「千と似てたからです

 一緒に遊ぼう?」

「わ、妾は…、フン!対価はなんじゃ! 貴様らにまだ差し出せるものが無い」

 あ、案外すぐに認めたね、やっぱり独り寂しかったから世界の半分で『いーれて!』をしたかったんだ。見た目から恐れられて孤独に、更に力もあったから闇に堕ちて支配をしようとしたんだよね! 今の姿は可愛いけど、それでも恐れられてたのかな?

「ユウナちゃんいいよね?」

 仲間に、ということだろうけど多分それは入らないと思うよ?

「うん、いいよ

 対価は何も要らないよ」

「・・・ふ、フン! 感謝せよ! 妾が直々に遊んでやろう!!・・・~~~っ」

 素直に言えずに高圧な態度になってしまったことを自分で悔いて悶え落ち込む魔王様に気づかないフリをして皆で遊んだ。


・・・。

 魔王様が帰っていったのはお空がまっ暗になってから、「クハハハハ♪ また次も愉しませてもらおうではないか・・・・・感謝する…」と最後は照れながらボソリ呟き去る姿には少しニヤけてしまったね。

「みのりさんは魔王様どう思った?」

「はぃ…、、、、人と変わらないと思い…ました…」

 みのりさんは真面目だね

「千ちゃんは?」

「楽しかったよ! あ!名前きいてなかったね」

 うんうん、お友達が増えてよかったね

「えへへ♪」

「ふふ♪」

 マルシカクちゃんがよかったと笑顔を向けてくる、私のお嫁さんは何も知らないのに完全にこっち(・・・)側で驚きだよ。

 呼び名は『まおー様』で呼んでたから次に会う時には名前もきいてみよっか。 自慢してた四天王たちも連れてくるかなー?


・・・。

 待ちに待った〝夏〟の方へ行くよ! 残念ながら千ちゃんは今日は「王子様(ヴェルちゃん)に呼ばれる日」とか言ってたので来てない、かなり気になるけどあの事件(こと)についてだろう。

 〝春〟と〝夏〟の段々暖かくなっていく繋ぎ道の途中、通行人が誰一人として見向きもしない分かれ道に到着する、一斉に私に視線が集まる

「行ってみよっか?」

 ちょっとした寄り道。町中なら危険もないし、知らない道なんて行って下さいって言われているもんだもんね、ワクワクだよ!


 真っ直ぐの道を歩き出すとすぐに風景に変化があり地面が町外のように土の道になって草木が目立つようになる、更に進んでいくと遠方四方に山が聳えているのが確認出来た

 いつから見えてた? 方角的に町の中心の空洞部のはずだけど?

 相変わらずの不思議現象は楽しみを増幅させるスパイスで決して恐怖ではない、2人も散策として観察しながら楽しんでいるし問題無し!

「おねえちゃん!」

 マルシカクちゃんが反応したのは先に見え始めた大きな湖、何で!?は忘れたツッコミである。 桜の木に囲まれた景色がキレイだ、30分くらいだったので程よい運動になる、人もいないし魔王様と来るのにいいかもしれない。

「(桜かぁ・・・もしかしたら)」

 思い付いた事を頭の隅に寄せているとマルシカクちゃんが抱いて欲しいと求められる・・こういう場所で抱っこしてると感覚を共有しているみたいで嬉しく弾む

「良い場所だから、はやいけどご飯にしよう!」

「うん♪」「はい♪」

 食事を済ませて来た道を帰ったのだった。

・・・。

 〝夏〟の町中は緑で溢れていた、気温は暖気(といっても真夏日手前くらい)でちょっと暑いなぁくらい、馴染みある光景にあまり新鮮味が無いかも

「暖かくなったり不思議ですね」

「ほんと、〝秋〟の場所にいったら寒くなりそうだね」

 ここの家も買えるなら買っておこうと思う、ゲームでは『四季の町』で一つだったからあるか分からないけど。


・・・買えました。

 家は〝春〟で買った家とほぼ変わらないし、もろもろの建物の場所も〝春〟の町を90度回しただけで分かりやすかった。

「リンピオには3日毎くらいで家を(住み移り)回ってもらおうか」

「へぅ? そ、それは…大変ではないでしょうか?」

 みのりさんは本当に優しいねぇ、離れた町の家管理なら(やれそうだけど)頼めないけどね。


・・・ピーンポーン


「誰か来た?」

 家のチャイムが鳴ると自然と口に出して言っちゃうよね?

「まおーさまかな?」

 買ってすぐの家に居るなんて分かる人なんて他にいないだろうから十中八九そうだろう。

 なんでも魔王様の特技が〝思い浮かべると場所が分かる〟だって話してくれたんだよね。だから、勇者の行く先々に刺客を送れたんだねって納得出来たもん。千ちゃんが「物を無くさないでいいね!」なんて言って魔王様が「ぬっ!?」っと思いっきり衝撃を受けてたのには笑っちゃった。

 なんて、みのりさんが迎えに行ったのをマルシカクちゃんを膝に乗っけたままに待っていたら「ユ、ユウナ様~!?」と呼びに来たではないか、何事かと玄関に出ると〝あやしいマント〟を装備してスタイリッシュな鞄を持った人が立っていた

(こわっ!?)

 あやしい商人さんのどちらかだろうが状況的に怖いよ!

『はぁーい♪ こんにちは♪ 御新居おめでとうございます♪』

 ・・・寂しかったのかな? またキャラを偽ってる

『わたしは旅の旅人人(たびびとにん)でお祝いを差し上げまーす♪』

 旅の旅人人ってなんだ!? 後ろでみのりさんがオタオタしてるけど、マルシカクちゃんは私の手を握ったまま頷いているので怪しい人じゃなく知っている人と気づいた様子、てか分かりやすい声の特徴で誰でも分かるよね?

「何をくれるのですか?」

『こちらのレシピ本でーす♪』

 おー!!嬉しいやつだ!

 しかし受け取ろうとしたら『たーだーし♪』と人さし指を前で振る旅の旅人人さんは唐突にその本を抱え込んでそのまま座る。

『誰か素敵な歌でもきかせてくれないかなー?』

 何か始まった…。チラチラと私の後ろに視線が送られる

「なぜ歌なのでしょうか…?」

 ボソリと背中に聞こえたのでいつも通りに全く気づいていないのだろう。ならその疑問は尤もだね。

『わたしの趣味が歌を聞くことなんですが、最近まったくですねぇ~、ききたいなぁ?』

 みのりさんに任せて2人で喋らないでいたら、みのりさんも黙りだったのであからさまな呟きが増えてくる。

『もう1人いないのは残念だけど、聖女様の歌声とか1回はきいてみたいな~』

 隠す気ない呟き、これには自分が求められたのだと(やっと)反応する

「わ、わたくしでよろしければ、う、歌っち・・」

 盛大に噛んだ…

『ほんとですか♪ ごめんなさい、そんなつもりはありませんでしたけれど…』

「無理があるよ!?」

 ツッコミを入れずにはいられませんでした… マルシカクちゃんも笑ってくれたのでよかった。


 無事、満足してレシピをくれた旅の旅人人さんは正体を明かさずに静かに帰っていきました。

「はふぅ~…お役に立てたのならよかったです」

 みのりさんの思考回路をちょっと覗いてみたいかも

・・・。

 レシピ本には、最近で(・・・)手に入れたけど用途の分からない素材を使うもののだった。 そして、パラパラと見ていたら最後のページには『ホットケーキ』の作り方が載っていた。

 お察しの通り『ホットケーキ』はゲームでは存在してなく(半)自動で作れない。

 私も色々まざって売ってる(モト)的なものがあればいけるかもしれないけど一から作るやり方・素材なんて分からないの。 魔王様に会った時にふと自分も食べたく思っちゃったしマルシカクちゃんや魔王様に振る舞いたいと願ってしまった。

 これが原因で追加してくれたのだろう! ありがとう!!


 フムフム・・・。材料は・・・『バター』『小麦粉』×3『重曹』が必要で、これまた存在しなかった『重曹』の作り方は『塩』×2だそうです。重曹の材料に何で塩!?と疑問を抱き、さすがゲームの一部(の適用)と無理矢理納得しました。

「次に魔王様来たら作ってあげるからね♪」

「わーい♪」「た、楽しみです♪」

 魔王様は次はいつ来るかなぁ♪

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