〜イサム虚無僧編〜
ぶっちゃけ寺
イサムとデュラ田は学校帰り、暇なので寺に来ていた。創作産まれファンタジー育ちの2人には、目新しい建物だ。
「あっ、君たちは」
と話しかけてきたのは、同級生の無双くんだった。彼はこの寺の後継で、万年坊主である。
「やぁ、無双くん」
「ここは君の寺だったのか」
「そう、父さんのお寺で、僕は一人息子なんだ。嫌でも、寺を継がなきゃいけないんだ・・・」
なにやら無双くんは将来に不安を抱いているらしい。いまや高齢化社会である。お坊さんは儲かるであろう。
「はぁ・・・寺のこどもなんかに生まれてこなければよかった・・・」
もしやこれは、転生パターンなのでは?
「ほら、宗教的にクリスマスも無いしさ・・・」
無双くんは、なんだか悲しそうだ。
もはや現状に不満のある人間が異世界で自由になれるパターンである。坊主の無双くんが洋風な世界に転生されたら、それはそれで面白いではないか!
「そうだ、鐘を鳴らしに行くんだけど、君たちも来ない?」
無双くんが提案する。間違いない!
鐘を鳴らしたら無双くんは転生されてしまうのだ。お寺的な技を駆使して、異世界で無双する設定だ!
「今日は鐘って気分じゃないなぁ」
イサムがそれとなく話題をそらす。
「無理にとは言わないけどさ」
「それよりさ、なんかして遊ぼうよ」
デュラ田は機転を利かせ、話をそらそうとする。
「ごめん、いつもの時間に鳴らすのが決まりなんだ」
「わかった、俺が鳴らしに行くよ」
デュラ田が提案した。ナイスだ、とイサムは思った。すぐにデュラ田は鐘を鳴らしに行き、無双くんは異世界転生を免れ、代わりにデュラ田は異世界で無双した。
帰ってきた頃には、念仏を唱えられるようになった。




