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〜イサム海賊編〜
2年B組
「俺は海賊王になるぜ!」
クラスのお調子者、尾田っちが途方も無い夢を語っている。
おやおや、これはいかん。非現実を望む事は、異世界転生モノではある意味伏線なのだ。
イサムは尾田っちに話しかける。
「海賊だけはやめておくべきだ」
イサムが否定から入るので、尾田っちも流石に怒っていた。
「おい、お前に俺のROMANCEDAWNは理解出来ないだろ?」
おやおや、やばいやばい。周りの理解を得られない夢を語ると、実現出来てしまうのが創作の世界の要であるのだ。こいつは異世界転生をしてしまう。
「まぁ、落ち着け、海賊は諦めろ」
イサムは知っていた。海賊が主人公の作品は、この市場ではもう芽ぶかないのだ。かろうじて宇宙海賊が周期的にブームになるくらいである。
「じゃあ、山賊になれと?」
「そうだな、そうだ。山賊が似合うさ」
イサムに宥められ、尾田っちは山賊を目指す事になり、その日の放課後、尾田っちはお風呂の中で異世界へ転生された・・・
「まぁ、転生は阻止出来なかったけど、山賊じゃあ主人公にはなれないからいいだろう」
イサムは安心した。
あの日転生した尾田っちが、走れメロスに登場する山賊になったというのは、また別のお話である。




