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【連載版】結婚すれば君を一途に愛すと誓うから、今だけは許してくれ?赦せるわけないじゃないですか。  作者: 織子


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Episode10ー私も行きます!


公爵邸に戻ると、公爵と夫人が心配そうに出迎えた。


「街歩きは楽しめたか?」

公爵が不自然な笑顔で言うので、ヴィオレッタは正直に言った。


「お父様。先ほどベルナントと伯爵にお会いしましたよ。彼らが来るのでしたら言ってくだされば良かったのに」

「なぜそれを?」

慌てる公爵に、ルーカスが申し訳なさそうに告げる。


「街で遭遇してしまいました」

「な、何かされなかったか?」

「されそうになりましたが、ルーカスが阻止してくれました」

「……なんだと?何をされそうになったんだ?」

公爵が拳を握りしめぶるぶると震える。


「お嬢様に手を上げようとなさいました。脅したらすぐに引き下がりましたが……今からでも閣下のお許しをいただければ、ベルナントに二度とお嬢様に近づかない様、制裁を……いえ更なる説得に向かいますが」

ルーカスが淡々と言いながら、手をボキボキと鳴らした。

「許そう」

公爵が頷くので、ヴィオレッタは慌てて止めた。

「落ち着いてください二人とも。もういいのです」


「しかしヴィオ……」

「そうですよ。お嬢様。私があの時すぐに引いたのは、改めて制裁を加えに行こうと思っていたからなのですが」

しょんぼりする大の男二人を、呆れた目で見据える。


「あの場には他にも貴族の方がたくさんいたので、放っておいても社交界でベルナント様の評判は落ちるはずです。婚約破棄の賠償金も多めに請求なさったのでしょう?もう十分です」


婚約者ではなく、別の女性を優先していたベルナントは元々社交界での評判は悪かった。加えて、今回の婚約破棄と、元婚約者へ暴力を振るおうとしたのだ。彼に、もうまともな縁談が来ない事は目に見えている。それに、ベルナントにこれ以上時間や気力を使いたくない。


「もうベルナント様のことは良いのです。何の遺恨もありません」

きっぱりと言った。公爵と夫人はぽかんとしているが、その隣でルーカスがほっとしたように微笑んだ。


「お嬢様が、そう言うのなら」


ルーカスの微笑みを見て、ヴィオレッタの頬が熱くなった。パタパタと扇で仰いで熱を冷ます。

夫人が目ざとくその様子を見て、ヴィオレッタとルーカスを交互に見た。

「ヴィオレッタ。貴方、まさか」

母はするどい人だ。ごまかせる訳がないことは分かっている。


「お母様」

私は視線で訴えた。

(今はまだ何も言わないでくださいませ)


夫人は大きく頷いた。

「分かっています。今は何も言わないわ」


公爵とルーカスは二人のやり取りに首を傾げた。


「分かった。ヴィオが良いなら、もうこの話は仕舞いにしよう。然るべき賠償金はいただくがな」


話が落ち着いたところで、公爵が懐から手紙を取り出した。

「ルーカス。お前に手紙が届いているぞ。お父上からだ。先ほど届いたのだが、急ぎのようだから開けてみなさい」


("お父上"と言うことは、隣国からかしら)


ヴィオレッタは気になったが、人様の手紙をじろじろと見るわけにはいかない。


ルーカスが受け取り封筒を開く。すばやく文面を読み、表情を曇らせた。


「急ぎの文は珍しいな。よくない知らせなのか?」


ルーカスは頷き、手紙を公爵へ渡した。


公爵は手紙を読んで眉を顰める。

「これは……一度、国へ戻った方が良さそうだな?」

「……はい」


(え?ルーカスが隣国へ戻るの?)


口を挟んで良いものか変わらず、狼狽える。公爵に視線で訴えると、眉を顰めたまま思案していたが、ヴィオレッタにも教えてくれた。


「ルーカスの……親族のお兄さんは、元々身体の弱い方なんだが、最近更に病状が悪化したらしい。見舞いに来いと書いてあるのだよ」

「まぁ……!」

それは大変だ。しかしルーカスの表情を見ても、"行きたくない"と顔に書いてあるようだ。

その親族のお兄さんとは不仲なのだろうか?ヴィオレッタはルーカスの裾を引き、小声で聞いた。

「その方のことが苦手なの?」


ルーカスは目を瞬いた。そして困ったように口を開く。

「いいえ。その方の事はとても尊敬しています」


そうなのか。無粋なことを聞いてしまった。ヴィオレッタが反省していると、ルーカスは続けた。


「ただ父に、何を言われるだろうかと……長い間帰らず、手紙も無視しておりましたので」

「えっ」

なんてことだ。お父上と不仲だったとは。


ヴィオレッタの顔が蒼白になったのに気付き、ルーカスは否定するように言った。

「そんなに深刻なものではありません。お互い意地を張っているだけと言いますか」

「つまり、お父上に会うのが億劫なのね」

「……」

ルーカスが無言で返事をする。


ヴィオレッタは唐突に閃いた。

「ルーカス。私も一緒に行きます。お父上に会う時に、背中を押してあげるわ」


聞き耳を立てていたらしき夫人が同意する。


「あら。それはいいじゃない。ちょうどアカデミーも長期休暇に入ったことだし」


「ですが……」

ルーカスが言葉に詰まる。そして公爵へ視線を向けた。

公爵は考え込んでいる。


「うーん、そうだな……。しばらく婚約破棄の件で騒がしくなりそうだからな。しばらく隣国へ行くのもいいかもしれないな」







読んでいただきありがとうございます。


たくさんの方に読んでいただき、更に構想が広がりました。隣国でのお話も少し書こうと思っております。


毎日の更新は難しかもしれませんが、引き続きヴィオレッタとルーカスの応援をしていただけると嬉しいです!

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