第20話 内部
翌朝、大和が村の入口へ行くと、昨日より荷物が増えていた。縄、灯り、食料、水。帰り道の目印に使う布、何かを書き写すための板と筆記具。それに、昨日は持っていかなかった大きな袋が二つある。大和は袋を持ち上げた。
「これ何です?」
「持ち帰れる物があった時に使う」
シェルドが答えた。
「遺跡荒らしみたいになってきたな」
「使える物があるなら調べる」
「まあ、そうなんだけど」
昨日見ただけでも、遺跡には大和たちの村では作れない材料が大量に使われていた。持ち帰った薄い板一枚だけでも、ドランはかなり興味を示している。そして今日は、そのドラン本人も同行することになっていた。大和は工具を背負った大男を見る。
「本当に行くんです?」
「材料を見たい」
「中に怪物いるかもしれないですよ」
「だからお前たちも行くんだろう」
「正論」
今日の調査隊は五人。大和、アキト、シェルド、ルシアン、そしてドラン。内部で見つけた物が何なのか、大和には分からない可能性が高い。少なくとも、加工や構造についてはドランの方が見る目がある。問題は、アビナだった。
「何で私は駄目ニャ!」
後ろから不満の声が飛んできた。アビナだった。昨日より明らかに機嫌が悪い。
「今日は中に入るから」
大和が答える。
「だから行くニャ」
「逆だよ」
「ドランは行く」
「仕事だから」
「私も仕事するニャ」
「何するの?」
アビナは少し考えた。
「見つける」
「何を」
「面白いもの」
「それ仕事じゃないだろ」
大和の横でルシアンが言った。
「アビナがいると、触るなと言った物を触る」
「触らないニャ!」
全員が黙った。アビナの耳が伏せる。
「何で誰も信じないニャ」
「実績」
大和が答える。
「ヤマトに言われたくない!」
「俺は触るなって言われたもの触ってないぞ」
シェルドが横から言った。
「昨日、遺跡へ少し入りたそうにしていた」
「あれは入ってないからセーフ」
「止めたからだ」
「結果が大事です」
「次はお前も置いていくぞ」
「ごめんなさい」
レティが横で笑っている。ノルアは、昨日持ち帰った板を包んだ布を大和へ渡した。
「持っていく?」
大和は少し迷った。
「何で?」
「同じものがあるかもしれない」
「ああ」
確かに、同じ材質や記号、形のものがあれば比較できる。
「借りる」
「なくさないでね」
「遺跡より先に俺が怒られそうだな」
大和は板を荷物へ入れた。出発前に、もう一度村を見る。少し前なら、大和たち五人が抜ければ村の守りにも影響した。今は違う。カダ村との交流が始まり、人の行き来が増えた。
見張りの仕組みも少し変わった。怪物の出現記録が増えたことで、危険な方向も以前より分かる。何より、全部を大和がやる必要がない。そのことが、大和には少し嬉しかった。
「じゃあ行ってきます」
アビナがまだ不満そうに言った。
「変なの持って帰るニャ」
「安全そうなのがあったらな」
「頭とか」
「怪物から離れろ」
◇
遺跡までは昨日と同じ道を使った。途中で怪物の姿は見なかった。昨日倒した個体がいた場所も静かだ。昼前には、あの奇妙な道路へ出た。白灰色の地面、黒い繊維を含んだ断面、一定間隔で並ぶ用途不明の柱。
二度目に見ても、大和には何なのか分からなかった。むしろ、昨日より不思議に見える。ドランは道へ出た瞬間、その場にしゃがみ込んだ。
「行かないの?」
大和が聞く。
「待て」
ドランは路面の割れた部分を見ている。指で触り、軽く叩く。今度は持ってきた小さな金属工具を当てた。
「硬い」
「昨日もそう思った」
「だが石じゃない」
「それも思った」
ドランは破断面へ工具を差し込もうとした。入らない。かなり力を入れている。それでも表面が少し削れるだけだった。
「村の道具より硬い?」
大和が聞く。
「ずっと」
ドランが立ち上がった。
「これを道に使っていたのか」
「みたいですね」
ドランは長く続く路面を見る。しばらく無言。それから言った。
「無駄だな」
大和は予想外の言葉に振り返った。
「無駄?」
「こんな硬いものを、地面全部に使う必要があるのか」
「それだけ物があったんじゃない?」
「それか」
ドランは路面を見る。
「簡単に作れた」
大和は止まった。その発想はなかった。自分たちにとって貴重に見える材料でも、作った文明では普通だった可能性がある。今の世界で木の板を見ても、いちいち驚かない。この道路も、これを作った者にとっては、その程度だったのかもしれない。
「……それ、すごいな」
「何が」
「俺、これがすごい材料だから使ったと思ってた」
大和は地面を見る。
「普通の材料だった可能性もあるんだ」
ルシアンが言った。
「分からない」
「はい」
最近、その言葉が嫌いではなくなってきた。遺跡へ着く。昨日見た巨大な構造物。やはり大きい。大和は改めて見上げた。
自分の時代にも巨大建築はあった。それでも、形が全く違う。壁と屋根がどこで分かれているのか曖昧で、白い外殻がそのまま建物全体を包んでいるように見える。窓らしき黒い部分も、ガラスとは思えない。森の中に、自分の知らない文明だけが取り残されている。
そんな感じがした。
「古代文明か」
大和は呟いた。言葉にすると、妙にしっくりきた。異世界に存在した、自分の時代より高度な文明。今は滅びている。今日はその中へ入る。
大和は少しだけ興奮していた。シェルドには気づかれたらしい。
「勝手に先へ行くな」
「まだ何もしてないでしょう」
「顔に出ている」
「そんなに?」
アキトも頷いた。
「出ている」
「二人とも俺を何だと思ってるの」
ルシアンが答えた。
「すぐ触る奴」
「アビナと一緒にしないで」
「似ている」
「嘘だろ」
ドランまで少し笑った。
◇
昨日見つけた入口から内部へ入る。先頭は大和で、少し後ろにルシアン、その後ろにドランが続く。アキトとシェルドが周囲を警戒する中、灯りを点けた。
暗闇の中へ光が伸びた。大和は最初の一歩で足を止めた。
「……広い」
入口の向こうは、大きな空間になっていた。天井は、大和の時代の建物なら二階分ほどの高さがありそうに見える。だが上階の床はなく、全体が一つの巨大な空間になっていた。
壁には何かを取り付けていたような窪みが連続している。床も昨日の道路とは違い、黒に近い灰色で、足音が妙に響かない。大和は一歩歩いた。
「柔らかい?」
もう一度踏んでみる。石やコンクリートの感触ではなく、わずかに沈む。それでも土や木のような柔らかさではない。ドランもしゃがみ込んだ。
「床まで違う」
「何のためでしょうね」
「知らん」
入口付近には植物が入り込んでいた。しかし十メートルほど進むと急に減る。内部は乾燥している。大和は壁を触った。昨日見た外壁より滑らかで、継ぎ目がほとんどない。
「どうやって作ったんだ、これ」
ドランが答える。
「削ったようには見えない」
「じゃあ固めた?」
「分からない」
大和は笑った。
「ドランまでそれ言うようになった」
「分からないものは分からない」
「ルシアンが二人になった」
ルシアンは無視した。少し進むと、壁に大きな黒い面が現れた。高さは大和の胸くらいから頭の上まで、横幅は数メートル。光を当てると、わずかに反射する。
「窓?」
大和が近づく。向こう側は見えず、表面は黒い。触れてみると冷たかった。
「ガラスっぽいけど……」
指で軽く叩くと、普通のガラスとは違う音がした。かなり厚そうだ。その横には、指先ほどの丸い窪みが並んでいる。
「ボタン?」
押してみる。何も起きない。シェルドの声が後ろから飛ぶ。
「触ったな」
大和が振り返った。
「いや、これはどう見ても押すところでしょ」
「何が起きるか分からない」
「ずっと昔の物ですよ」
「だから安全だという理由にはならない」
「……ごもっとも」
大和は手を引いた。それでも黒い面を見ていると、何かを表示する装置のようには思える。大和の時代なら大型ディスプレイを連想するが、薄さも材質も取り付け方も違い、電線らしいものも見えない。
「やっぱり俺の時代より進んでるな」
大和が言う。アキトが聞いた。
「これも?」
「俺のところにも似たものはあったんです。でも」
黒い面を指す。
「こんな壁そのものみたいなのは、少なくとも俺は知らない」
本当に画面なのかは分からない。それでも、全く理解できない物の中に、自分の知っている発想と似たものが見えるのは少し嬉しかった。
「昔の人も画面見てたのかな」
「画面とは何だ」
「絵とか文字を出すもの」
「今は出ない?」
「多分、動いてない」
大和は少し残念だった。もし今も動かせれば、何か手掛かりが得られたかもしれない。だが、そんな都合のいいことは起きない。さらに奥へ進むと、奇妙な扉らしきものを見つけた。壁と同じ素材の板が一枚あるだけで、取っ手も蝶番も見当たらない。
横へ開くのか上へ動くのか、それすら分からなかった。
「どうやって入るんだ?」
大和が周囲を探していると、ルシアンが扉の前にある薄い円形の線を指した。大和がその上へ立ってみるが、何も起きない。
「昔なら勝手に開いたとか?」
「どうやって」
アキトが聞く。
「人が近づいたら」
「なぜ分かる」
「そういう扉、俺のところにもあったんですよ」
大和は少し得意になった。
「自動ドアって言って、人が来ると勝手に――」
言いかけて止まる。大和には、この古代文明が自分の時代より明らかに進んでいるように見えた。なら、人が近づくだけで反応するという単純な仕組みとは限らない。
「……もっとすごかったのかな」
大和が呟く。
「何がだ」
「いや」
大和は扉を見た。
「俺の知ってるものを基準に考えるの、違うかも」
この文明は、大和のいた世界より先へ進んでいた。自分が「こういう物だ」と思った瞬間に、間違える可能性がある。ルシアンが少しだけ大和を見る。
「珍しく慎重」
「最近みんな俺への評価低くない?」
◇
建物の中は、思っていた以上に複雑だった。広い空間から、複数の通路が伸びている。通路も大和の知っている建物とは感覚が違い、妙に広く、天井も扉らしきものも大きい。
「ここ使ってた人、背高かったのかな」
大和が言う。アキトが隣を歩く。
「なぜ」
「全部ちょっと大きい気がする」
「大きな荷物を運んでいたのかもしれない」
「ああ、それもあるか」
すぐに一つの答えへ決めない。最近、それも少し覚えた。通路の途中には、何のためにあるのか分からない突起や溝がある。壁の一部は半透明。灯りを近づけると内部に細い線が無数に走っている。
大和は見入った。
「これ電線かな」
ドランが聞く。
「でんせん?」
「力を送る線」
「細すぎる」
「俺の時代より進んでるなら、これで足りたとか?」
言いながら、自分でも分からない。大和は軽く笑った。
「俺、古代文明の専門家じゃないからな」
「誰もそう思っていない」
シェルドが答えた。
「そこはちょっと期待してよ」
その時、ルシアンが突然手を上げた。全員が止まる。大和の表情も変わった。
「いる?」
ルシアンが通路の奥を見る。
「何か動いた」
ドランがすぐに下がる。シェルドが位置を決める。
「ドラン、中央。アキト、左」
大和は右腕へ意識を向けた。骨刃が伸びる。ここは森と違って狭い。長い刃を大きく振り回す場所ではない。大和は自分の腕を見る。
「これ、ちょっと長いな」
そう思った途端、骨刃の伸びがいつもより短いところで止まった。大和は少し驚いたが、新しい形ではない。以前使った刺突型に近い。身体が場所に合わせて、すでに覚えている形を選んだだけだった。
「便利」
シェルドが睨む。
「集中しろ」
「してます」
暗闇の奥から、爪が床を擦る音が近づいてくる。次の瞬間、曲がり角から四脚の怪物が飛び出した。通常個体で、身体そのものは大きくない。それでも狭い通路では十分に邪魔になる。怪物の目が大和へ向いた。
「やっぱり俺か」
怪物が突っ込んでくる。大和はいつものように横へ避けようとして、すぐに止めた。通路が狭く、森と同じ動きはできない。
「アキト!」
アキトの槍が横から怪物の肩へ入り、突進の向きが少しずれた。大和は一歩だけ外へ逃れる。怪物はそのまま壁へぶつかったが、鈍い音がしただけで、壁にはほとんど傷が付かない。
「建物硬っ!」
「大和!」
「はい!」
怪物が反転する。今度は大和が前へ出て骨刃を刺すが、浅い。怪物が首を振り、大和も身体ごと壁へ叩きつけられた。すぐに立ち上がる。シェルドが後脚を攻撃し、アキトが正面を押さえる。
ルシアンが叫んだ。
「下!」
大和は怪物の胸の下に、比較的柔らかそうな場所を見つけた。身体を低くして前へ入り、骨刃を突き込む。今度は深く入った。怪物が暴れたため大和はすぐに刃を抜く。しかし、狭い通路で巨体を押し付けるように迫られ、避ける場所がほとんどない。
「うわ!」
大和は両腕で受け止めた。身体ごと押されるが、この床は滑りにくい。新しい変化を使う必要もなく、そのまま足を踏ん張れた。
「重い!」
アキトとシェルドが左右から入り、怪物の身体がわずかに浮く。その隙に大和は距離を作り、胸の同じ場所へもう一度深く骨刃を入れた。黒い変色が広がる。怪物から力が抜け、狭い通路をほとんど塞ぐように倒れた。しばらく待ってから、ルシアンが確認する。
「死んだ」
大和は息を吐いた。
「外より戦いにくい」
シェルドが頷く。
「次から場所を考える」
「逃げる場所もないし」
アキトが怪物の死体を見る。
「奥にまだいる可能性がある」
大和も見る。
「今日はどこまで行く?」
シェルドは少し考える。
「一つ確認したら戻る」
「何を?」
ルシアンが答えた。
「この建物の形」
大和は意味が分からなかった。
「形?」
ルシアンは持ってきた簡単な外形図を見せる。昨日、外から描いたもの。
「今どこにいるか分からなくなってきた」
大和は通路を振り返った。何度も曲がり、分かれ、また別の通路へ繋がっている。自分たちの村の家とは複雑さがまるで違う。
「迷路だな」
「だから」
ルシアンは壁を見る。
「地図があるかもしれない」
大和は止まった。
「ある?」
「大きな建物なら必要だろう」
大和の世界でも、駅や商業施設のような大きな建物には案内図があった。
「確かに」
そう考えると、急に探すものができた。
◇
見つかったのは、それから二十分ほど後だった。大きな空間の壁に、他とは違う巨大な図が残っていた。黒い面の上に、白や薄い色の線が何本も走り、大小さまざまな形が配置されている。文字らしいものもあるが、大和には読めない。
「これ……地図?」
ルシアンも近づいた。
「建物の中だけじゃない」
確かに、規模が大きすぎる。中央に大きなまとまりがあり、そこから何本もの線が別のまとまりへ伸びている。端には川のように曲がった線まであった。大和は昨日歩いた道を思い出した。幅、方向、遺跡までの位置関係。
図の一本を指で追う。
「これ、俺たちが来た道じゃない?」
シェルドが図と外から写してきた位置関係を見比べる。
「可能性はある」
その線の先には、今いる建物らしい大きな形がある。そして、その周囲には同じような形がいくつも並んでいた。大和は少し黙った。
「この遺跡、一個じゃないんだ」
さらに図の中央を見る。そこには、周囲とは比べものにならないほど多くの構造物が集まっている。
「ここ、街だったのかな」
「まだ分からない」
ルシアンはいつも通り答えたが、視線は図から離れなかった。大和の胸が高鳴る。自分の時代より進んだ文明が、この森のどこかに巨大な都市を作っていた。今見えている遺跡は、そのほんの一部かもしれない。ドランも珍しく長い時間、黙って図を見ていた。
「全部残っているのか」
「分からない。でも、場所は探せそう」
ルシアンの言葉に、大和は笑った。点だった遺跡が、線で繋がった。
「これ、持って帰れないかな」
シェルドが壁を見る。
「無理だ」
「ですよね」
持ち帰れないなら写すしかない。大和たちは、分かる範囲で図を板へ移していった。ルシアンが全体の形を取り、大和とドランが線や大きな構造物の位置を補う。シェルドは方角を確かめ、アキトは周囲を警戒した。大和が一本の線を少し曲げて描くと、すぐにルシアンが直した。
「そこは真っ直ぐ」
「大体でいいだろ」
「地図だぞ」
「はい」
作業には時間がかかったが、戻って検討するには十分なものができた。大和は板を見ながら笑う。
「アビナ連れてきたら喜んだだろうな」
「次も連れてこない」
シェルドが即答した。
「まだ何もしてないのに」
「この建物だけでも触る物が多すぎる」
「否定できない」
◇
村へ戻ったのは夕方だった。知識蔵にはすぐ人が集まった。最初に飛び込んできたのは、当然アビナだ。
「何あったニャ!」
「地図」
「地図?」
大和が板を広げると、ノルアとレティも覗き込んだ。ドランは別に持ち帰った小さな黒い破片を机へ置き、さっそく工具で調べ始める。
「それで何か作る?」
「先に調べる」
「どうやって」
「叩く」
「それ昨日もやってなかった?」
ドランは気にせず破片を見ていた。一方、シェルドとルシアンは村周辺の地図と、遺跡から写してきた図を並べる。向きを合わせる。大和たちが歩いた古い道と、図の線を重ねる。完全に一致するとまでは言えない。
それでも、方向と位置関係はかなり近かった。
「やっぱり地図っぽいな」
大和が言う。
「可能性は高い」
ルシアンが、その先へ続く線を指した。森の向こう。まだ誰も調べていない場所。そこにも、いくつもの大きな形が描かれている。ノルアが聞いた。
「これ全部、遺跡?」
「多分」
大和は地図を見たまま答えた。最初に遺跡を見つけた時は、巨大な建物一つだけでも十分に驚いた。だが今は、その一つが大きな都市の端に過ぎない可能性が出てきた。この世界には、自分が知っていた文明より進んだ何かが存在し、そして消えた。
「何があったんだろうな」
アビナが地図を覗く。
「調べれば分かるニャ?」
「分かるかもしれない」
「じゃあ次は私も行くニャ」
「話が早い」
知識蔵に笑いが起きる。大和はもう一度、遺跡の図へ目を戻した。特に気になるのは中央部だった。大小の構造物が密集し、何本もの太い線が集まっている。今日見た場所より、はるかに大きい。
「ここ」
大和が指す。ルシアンが見る。
「遠い」
「うん」
「怪物の記録もない」
「誰も行ってないから?」
「多分」
大和はしばらく中央部を見てから、その手前へ指を移した。
「じゃあ、まずここまでの道を調べよう」
シェルドが頷く。
「順番にだ」
「分かってます」
今度は本当に分かっていた。いきなり一番奥へ行く必要はない。道を確認し、遺跡を調べ、怪物の位置を記録しながら少しずつ進めばいい。その夜、知識蔵の地図には「遺跡」の印がいくつも増えた。まだ誰も見たことのない場所ばかりだ。
大和には、それが宝の地図に見えた。金銀ではない。この世界の過去へ続く地図だった。




