第12話 この村で
朝、大和は知識蔵で、昨日描いた板を見直していた。端に書いた自分の名前だけは読める。一文字ずつ確かめてから棚へ戻し、外へ出た。
「ヤマト!」
後ろから声がして振り返ると、レティが両手に籠を持って走ってきた。
「おはよう」
「おはよう!」
籠を持ったまま手を振ろうとするので、大和は片方を受け取った。
「何持ってるの?」
「朝ごはん。ヤマト、昨日の夜ここにいたでしょ」
「見てた?」
「ノルアが言ってた」
「情報回るなあ」
レティが笑って籠を開く。中にはパンと、卵に似たもの、焼いた野菜が入っていた。二人は知識蔵の前に座った。大和がパンを一つ取り、少し眺める。
「これ、水車で挽いた粉?」
「うん!」
食べてみると、昨日より少し滑らかだった。
「お。良くなってる」
「ドランが石臼直したの。それと、粉をふるって細かいのだけ使った」
「なるほど」
もう一口食べる。
「うまい」
レティの尻尾がさらに動いた。大和は自然に笑った。
「本当、分かりやすいな」
「何が?」
「何でもない」
二人で朝食を食べながら、動き始めた村を眺める。アキトが鍬を持って通りかかった。大和がパンを持った手を上げると、向こうも軽く頷いた。
「ヤマト、今日は何するの?」
レティに聞かれ、大和は少し考えた。最近は水車や知識蔵を勝手に始めていたが、今日は特に予定がない。
「何しよう」
「普通に働く?」
「普通に?」
「うん」
大和は少し笑った。
「それもいいな」
◇
午前、大和は畑で鍬を持っていた。隣にはアキトがいる。
「絶対に力を入れるな」
「信用ないなあ」
「斧」
「分かってます」
大和は慎重に鍬を土へ入れた。軽く持ち上げると、土がほどよく返る。
「お」
もう一度。同じようにできた。
「できるじゃん」
「普通だ」
「褒めてくださいよ」
「鍬を使っただけだ」
「俺には成長なんです」
アキトが少し笑った。二人で畑を耕していく。大和の身体なら、本気を出せばもっと早くできる。しかし今日は、あえてアキトと同じくらいの速度で動いた。
「これ、何植えるんです?」
アキトが作物の名前を言う。大和には分からない。
「食べたことある?」
「ある」
「どれ?」
形を説明されて、昨日のスープに入っていたものだと気づいた。
「ああ、あれか。うまかった」
「なら働け」
「はい」
しばらくして、今度はアキトが聞いた。
「大和。元いた場所では、こういうことはしなかったのか?」
「全然」
「畑は?」
「見たことはあります」
「また見ただけか」
大和は思わず笑った。
「俺、本当に何も作ってなかったな」
食べ物は買った。服も買った。道具も買った。家は誰かが建て、電気は勝手に来て、水は蛇口を捻れば出た。
「俺、作る側じゃなかったんですよ」
アキトがこちらを見る。
「何をしていた?」
「人と話したり、決めたり、進めたり……そういう感じ」
自分で言っていて、妙に説明しづらい。アキトも首を傾げた。
「よく分からない」
「俺も今、説明してて思いました」
大和は鍬を見た。
「でも、こっちに来てから初めてやることばっかりです」
「嫌か?」
少し考える。森で一人だった頃。怪物に追われたこと。
「最初は嫌でした」
「今は?」
大和は畑を見る。土があり、アキトがいて、少し離れた場所でも村人たちが働いている。
「今は、まあまあ」
「まあまあか」
「かなり」
言い直すと、アキトは満足したように頷いた。
「ならいい」
それだけだった。大和もまた鍬を動かした。
◇
昼になると、今度は子供たちに捕まった。
「ヤマト!」
一人の子供が木の棒を持っている。大和は警戒した。
「ばきっ、は禁止だからな」
子供たちが笑う。
「今日は違う!」
「今日は、って言い方が嫌なんだけど」
差し出されたのは、布の中に何かを詰めた丸い物だった。大和は受け取る。
「ボール?」
「ぼーる?」
「丸いやつ」
「遊ぶ!」
「何して?」
子供たちは顔を見合わせたあと、一人が球を蹴った。別の子が追い、さらに蹴る。
「サッカー?」
もちろんルールは違った。向こう側に置かれた二つの石まで球を持っていけばいいらしい。足だけではなく手も使う。かなり何でもありだ。
「ヤマトも!」
大和は少し迷った。力の加減を間違えれば危ない。
「軽くならな」
棒を振っていた子が球を抱えて走り出すと、なかなか追いつけなかった。追いつきかけたところで別の子へ渡され、今度は細かく方向を変えて逃げられる。
「お前ら速いな!」
「ヤマト遅い!」
「本気出したら危ないんだよ!」
球が来る。軽く蹴る。ぽん、と狙った相手の方へ飛んだ。大和は少し嬉しくなった。
「おお。力加減、うまくなってる」
今度は犬耳の子供が球を奪おうと身体ごとぶつかってくる。大和は反射的に踏ん張った。子供の方が跳ね返り、尻餅をついた。
「あっ。大丈夫!?」
一瞬ぽかんとしていた子供が、すぐに笑う。
「硬い!」
「俺のせい?」
「もう一回!」
「やめろ!」
周囲が笑った。そこへアビナが現れた。
「何してるニャ!」
「遊んでる」
「私もやるニャ!」
当然のように入ってくる。アビナは速かった。しかも子供相手なのに一切手加減しない。
「お前、大人だろ!」
「取れるなら取るニャ!」
「子供泣くぞ!」
「泣かないニャ!」
本当に誰も泣かない。むしろ必死でアビナを追いかけている。そのうちレティまで加わった。
「何で増えてるの!」
「楽しそうだったから!」
レティも速い。
「待て!」
大和は笑いながら追う。力を少しだけ使う。それでもレティがついてくる。
「速っ!」
「ヤマト遅い!」
「だから手加減してるって!」
「じゃあ本気!」
「危ないから嫌!」
横からアビナが球を奪う。
「隙ニャ!」
「お前!」
大和も走る。笑う。途中で、ふと気づいた。同じ身体で、少し前まで怪物から必死に逃げていた。今は誰かを追いかけて笑っている。その違いが妙に可笑しかった。
午後まで子供たちに遊びへ誘われ続けたが、大和は何とか逃げ出した。
「仕事!」
本当に仕事があった。
◇
倉庫ではシェルドが待っていた。
「遅い」
「子供に捕まって」
「言い訳」
「本当です」
「知っている。声が聞こえていた」
大和は少し恥ずかしくなった。
「楽しそうだったな」
「そう見えました?」
「見えた」
「まあ……楽しかったです」
シェルドはそれ以上何も言わず、いつもの記録板を出した。麦。入った数。出た数。残り。大和は昨日より少しだけ文字を読めるようになっていた。
「これ、麦?」
「そう」
「これは塩?」
「違う。乾燥肉だ」
「似すぎだろ」
「全然違う」
「初心者には同じです」
覚えて、書いて、間違えて、直される。そこへノルアが来た。
「ヤマト」
「助けて」
大和が即答すると、ノルアが少し笑った。
「何を?」
「これ。覚えられない」
ノルアは横へ座った。
「これは、こう」
手本を書いて見せる。大和も真似する。
「こう?」
「違う。こっちを先に」
「なるほど」
向こうで作業しているシェルドが言った。
「遊ぶな」
「勉強です!」
「手を動かせ」
大和は小声でノルアへ言った。
「先生怖いな」
ノルアが笑う。
「シェルドだから」
シェルドがこちらを向いたので、二人とも板へ目を落とした。大和は書きかけの文字を、ノルアの手本と見比べた。
「ノルア、字得意?」
「普通」
「俺には先生だな」
「いいよ」
「本当? じゃあ毎日」
返事を待つ間に、大和は付け足した。
「暇な時でいいから」
「……うん。教える」
ノルアは小さく笑った。
◇
その夜、村はいつもより騒がしかった。食事へ向かうと、料理も人も多い。
「何かあるの?」
レティが答える。
「今日はみんなで食べる日!」
「そういう日あるんだ。何のお祝い?」
「別に」
「別に?」
横からアキトが言った。
「収穫が一段落した」
「それ、お祝いじゃないですか」
「そうとも言う」
広場には火が焚かれ、料理が並び、酒らしいものまであった。大和は器を見た。
「酒あるの?」
アキトが差し出す。
「飲むか?」
「少し」
匂いからして強い。一口飲むと喉が熱くなった。
「うわ、強っ」
アキトは平然と飲んでいる。
「弱いのか」
「俺の知ってる酒より強い気がする」
アビナが横から匂いを嗅いで顔をしかめた。
「まずいニャ」
「飲んだことない?」
「嫌いニャ」
「匂いだけでそんな顔する?」
「ヤマトこそ、よく飲めるニャ」
大和は笑った。レティは酒を飲まず、料理を配っている。シェルドは普通に飲み、ルシアンは少しだけ。ノルアも小さな器を持っていた。大和はアキトと横並びに座り、火を眺める。
「こういうの、よくやるんです?」
「昔はもっとやった」
「今は?」
「怪物が増えてから減った」
大和は少し黙った。
「夜に外へ集まるのが危ない?」
「それもある」
アキトは酒を飲み、それから続けた。
「人も減った」
大和は知識蔵に使っている空き家を思い出した。
「……そうなんだ」
「気にするな」
「いや」
大和は火を見た。
「俺が怪物を減らせたら、こういう日もまた増やせます?」
「増やせるかもしれない」
「じゃあ、やります」
アキトはすぐにこちらを見る。
「無理はするな」
「分かってます」
「本当に?」
「多分」
アキトがため息をついた。
「そこが信用できない」
大和は笑った。
「でも、俺が怪物を倒したい理由、増えました」
アキトは何も言わない。大和は周囲を見る。
子供たちが走り、大人たちが笑っている。レティは料理を運び、アビナは誰かの皿を狙ってシェルドに止められている。ルシアンは少し離れたところからそれを眺め、ノルアは笑っていた。
「こういうの、無くならない方がいい」
アキトは静かに頷いた。しばらくすると、今度はレティに腕を引っ張られた。
「ヤマト!」
「何?」
「こっち!」
火の近くでは、木を叩く簡単な楽器に合わせて誰かが歌っていた。大和は嫌な予感がする。
「踊るの?」
「うん!」
「俺、無理」
「なんで!」
「踊ったことない!」
「みんな適当!」
本当に適当だった。ある程度決まった動きはあるらしいが、好きに身体を動かしている者も多い。大和はその中へ連れ込まれた。下手だった。子供たちが笑う。
「ヤマト変!」
「分かってる!」
少し酒が入っているせいか、恥ずかしさは薄かった。レティが手を取って回る。
「うわ!」
「ほら!」
「速い!」
反対からアビナが腕を取る。
「こっちニャ!」
「待て待て!」
完全に遊ばれている。周りも笑っている。でも、嫌ではなかった。むしろ楽しかった。
しばらくして、大和は何とか輪から逃げ出した。
「休憩!」
身体は全く疲れていない。ただ精神的に疲れた。少し離れた場所へ座ると、隣にはルシアンがいた。
「逃げたか」
「お前も踊れよ」
「嫌だ」
「即答」
「見る方がいい」
大和は少し笑う。
「ノルアと似てるな」
「どこが」
「見る方が好き」
ルシアンは火を眺めたまま言った。
「あいつは考えすぎる」
「ルシアンは?」
「必要なことだけ考える」
「自分で言う?」
ルシアンが僅かに笑う。大和は気づいた。最近、ルシアンが笑うことが増えた。
「なあ」
「何だ」
「俺、最初より信用された?」
ルシアンは少し考える。
「最初から妙だった」
「最初から?」
「安心はした」
大和はルシアンを見る。
「信用とは違う?」
「安心することと信用することは違う」
大和は器を持ち直した。
「何で安心した?」
「分からない」
またそれだった。
「匂い?」
「かもしれない」
大和は少し考える。アビナも匂いを嗅いだ。ノルアは「なんとなく」と言った。村の者たちも自分を妙に早く受け入れた。
「猫と犬って、そういうものなのかな」
ルシアンが大和を見る。
「お前はそう思う?」
「多分」
大和はそう答えた。ルシアンは少し黙ったあと、「そうか」とだけ言った。大和も深くは考えなかった。そこへノルアが来る。
「ここにいた」
「逃げてきた」
「踊らないの?」
「見てた」
「やっぱり」
ルシアンが立ち上がる。
「俺は戻る」
「踊る?」
「違う」
「分かってる」
ルシアンが去り、ノルアが大和の横へ座った。少しだけ距離を空けて。
「楽しい?」
「楽しい」
「踊るの嫌って言ってた」
「嫌だった」
「でも笑ってた」
大和は少し止まる。
「そうだった?」
「うん」
火を見る。
「まあ、楽しかった」
ノルアも笑った。しばらく二人で人々を眺めていると、ノルアが静かに聞いた。
「ヤマト。帰れる方法が見つかったら、帰る?」
大和の表情が少し変わった。前にも似たことを聞かれた。その時は、帰れるなら帰りたいと答えた。今も、元の世界が気にならないわけではない。母親。父親。自分が眠ったあとのこと。帰れるなら帰りたい。
その気持ちはある。それなのに、今度はすぐに答えが出なかった。
「……分からない」
ノルアが大和を見る。
「前は帰りたいって言った」
「言った」
「今は?」
大和は少し考えた。
「帰りたい。でも……」
言葉が止まる。ノルアは待った。
「ここも、捨てて帰るのは嫌かもしれない」
自分で言って、大和は少し驚いた。捨てる。そんな言葉が出るとは思っていなかった。
「村を?」
「みんなを」
ノルアが僅かに目を伏せる。
「そっか」
「何?」
「別に。嬉しかっただけ」
大和は少し照れた。
「そういうの普通に言うんだ」
「言ったら駄目?」
「駄目じゃない」
再び火を見る。少しして、大和が何気なく尋ねた。
「ノルアは? 俺が帰ったら」
ノルアはすぐには答えなかった。ノルアは持っていた器を膝へ下ろした。火の方を見たまま、指で縁をなぞっている。
「嫌」
ノルアが言った。大和が少し驚く。
「そんなに?」
ノルアは困ったような顔をした。
「今は、理由あるから」
「今は?」
「うん」
「最初は?」
「なかった」
「……?」
「なんとなく」
また、その言葉。大和の中に少しだけ引っかかる。しかしノルアは続けた。
「今は一緒に話したから。ヤマトのこと、少し知ってる。だから」
「今は、なんとなくじゃない?」
ノルアが頷いた。
「うん」
大和は少し笑った。
「それなら、俺も同じかも」
「何が?」
「来たばっかりの頃は、飯と寝床があればいいと思ってた」
大和は村の者たちを見る。レティの笑い声が聞こえる。アビナがまた誰かに怒られている。アキトは酒を飲み、シェルドは片付けを手伝い、ルシアンは子供に何か聞かれていた。
「帰ったら、明日の字の勉強もなしだな」
「まだ、名前しかまともに書けないのに」
ノルアが笑った。大和は反論できず、器に残った酒を飲んだ。
◇
夜も遅くなり、人々は少しずつ家へ戻っていった。大和も寝床へ向かう途中、知識蔵の前を通った。まだ灯りがついている。
「誰?」
中へ入ると、シェルドが一人で板を整理していた。
「まだ仕事?」
「今日増えた」
地図。収穫。在庫。水車の修正。料理。大和は少し笑う。
「嫌だって言ってたのに」
「誰のせいだ」
「俺?」
「お前以外にいるか」
大和も手伝い、板を棚へ並べていく。その途中で、ふと思ったことを口にした。
「シェルド。この村、もっと大きくできます?」
シェルドの手が止まる。
「なぜ」
「いや。怪物を減らして、使えなくなった道を使えるようにして、水車みたいなのを増やして、食べ物ももっと作れて……他の村とも行き来できたら」
言いながら、大和自身もどんどん先の話になっていることに気づく。
「人が増えたら、どうなるのかなって」
「増やしたい?」
「まだ分からない。でも、できそうな気がして」
シェルドはすぐには答えなかった。
「大きくなれば、問題も増える」
「食料?」
「食料。水。争い。守る場所。決めること」
大和は頷く。
「村は小さいから顔が見える。誰が何をしているか分かる」
シェルドは知識蔵の棚を見た。
「大きくなれば、それができなくなる」
大和も在庫記録や地図を思い出す。
「だから書く?」
シェルドが少し笑った。
「そこへ戻るのか」
「結構重要かも」
「もし本当に大きくするなら、一輪車や水車だけでは足りない」
「何がいる?」
「決まり。役割。食料。守る者。決める者。それを皆が納得する形にする必要がある」
大和は黙った。一瞬、国という言葉が頭に浮かんだ。だが、まだ遠い。今は村だ。
「大変そう」
「大変だ」
「やめとく?」
「お前が始めた話だ」
「想像しただけです」
大和は笑った。それでも、胸のどこかが少し動いていた。この村がもっと安全になる。もっと暮らしやすくなる。人が集まる。悪くない。
「まあ、そのうち」
「そのうち?」
「まず俺、文字覚えます」
シェルドが頷いた。
「それが先だ」
「そこまで言う?」
◇
寝床へ戻り、大和は横になった。今日は何をした。畑を耕した。子供と遊んだ。倉庫で文字を覚えた。酒を飲んだ。踊った。話した。大きなことは何もしていない。それなのに、妙に満たされていた。
目を閉じると母親の顔が浮かぶ。帰りたい。会いたい。その気持ちは消えないし、消えてほしくもない。でも同時に、今日ここにいて良かったとも思う。二つが一緒にある。
「……困ったな」
大和は小さく笑った。異世界に来た。そう思っている。帰る方法は分からない。だったらここで生きる。最初は仕方なく、そう考えていただけだった。今は少し違う。明日は何をするだろう。そう考えてから眠るようになっていた。
翌朝。大和が外へ出ると、いつもの村が動き始めていた。アキトは畑へ向かい、レティは料理を運んでいる。シェルドは誰かに指示を出し、ルシアンは道具を確認している。ノルアは知識蔵にいた。そしてアビナは、なぜか木の上にいた。
「何してんの?」
見上げると、アビナが枝の上から答えた。
「見てるニャ」
「何を」
「村」
大和はアビナの見ている方へ顔を向けた。
「いいな」
「登る?」
「木、折れない?」
アビナが笑う。
「ヤマトなら折るニャ」
「じゃあやめる」
大和はそのまま村を見渡した。小さな家々。畑。川。森。遠くには怪物がいる。危険もたくさんある。それでも、昨日までとは少し違って見えた。知らない世界の、知らない村ではない。
「……俺の村」
口から出て、自分で止まる。
「いや」
少し考えて言い直す。
「俺たちの村、か」
木の上から声が返った。
「そうニャ」
何でもないことのように答える。大和は少しだけ笑った。
「そっか」
今日も、ここで一日が始まる。




