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語られる物語

土煙がゆっくりと晴れ、再び静寂が訪れる。

空中を漂う砂塵の一粒一粒が、

まるで残留した力を帯びているかのように微かに震えていた。

ほとんど電流にも似た気配だった。


センは立っていた。

身体を震わせながら。

全身の筋肉を張り詰めたまま。


腕は、岩が砕け散った方向へと突き出されている。

その腕の周囲では、

電気のようなエネルギーが弾け、脈打っていた。


ケイリンは驚きに目を見開き、一歩後ずさる。

センは荒い息をつきながら呼吸を整える。


涼司は眉をひそめた。

ケイリンはセンのもとへ歩み寄る。


ケイリン

「まだだ。」


セン

「……は?」


ケイリン

「少し揺さぶられただけで、お前の静寂は崩れる。」


一拍置く。


ケイリン

「瞑想だけなら模範生だ。」


さらに一歩近づく。


ケイリン

「だが、その中身は傷ついた子供のままだ。」


***


重い軋み音を立てながら、金属製の扉が開く。

シェイドがアジトへ入る。

ミナはまだ目を覚まさない。


シェイドは静かに数歩進む。

機械の発する低い駆動音だけが沈黙を乱している。


その時――

彼の身体が不意に硬直する。

何かがおかしい。


シェイドはさらに一歩踏み出す――


だが、その直後。

膝が崩れる。

彼は膝をつく。

衝撃が金属の床に響く。

呼吸が乱れる。

無理やり姿勢を保とうとするが、その身体には痛々しいほどの緊張が走っている。

それでもミナを落とさないよう注意している。


やがて彼は立ち上がる。

そしてミナを小さな部屋へ運ぶ。

独房だ。

シェイドは扉を閉める。


そして手袋を外す。


皮膚の下に青白い光が浮かび上がる。

脈動。


それは不安定な電流のように血管の中を走っている。

光は脈打ち、

強くなり、

そして再び収縮する。

まるで何かが外へ出ようとしているかのように。


あるいは――

解放されようとしているかのように。


シェイドの手が強くこわばる。

彼は耐える。

一言も発さずに。


やがて少しずつ光は消えていく。

皮膚は元の状態へ戻る。

シェイドは数秒間その場に立ち尽くす。

呼吸を整えながら。

再び自らを制御するために。


_


半ば転用された古い設備区画。

壁沿いには無数のケーブルが走り、

モニターには監視映像、不安定なデータ、断片的な映像が映し出されている。

照明は弱く、青白い。

どこか無機質な雰囲気を漂わせている。


セイラムはモニターの近くに立っている。

腕を組み、

動かない。

だが、その身体には緊張が走っている。


中村義は部屋の中を行ったり来たりしている。

明らかに落ち着かない様子だ。

場違いなほど整ったスーツ姿が、この場所の荒れた空気と対照的だった。


中村義

「何とかして止める方法を見つけないと。」


セイラム

「放送局のシステムをハッキングするとか。」


中村義

「無理だ……」


沈黙。


その時――

金属音。

扉が開く。


シェイドが入ってくる。


シェイド

「何があった?」


中村は一瞬だけためらう。


中村義

「酒井が記者会見を開いた。」


沈黙。


セイラムはリモコンを手に取る。

ボタンを押す。

モニターの一つが切り替わる。


映像が安定する。


記者会見場。

記者たち。

カメラ。


そして――


酒井隼人が映し出される。

完璧なまでに冷静で、

揺るぎない。


中村義

「大臣には話を通した。

世間が正しい疑問を持ち始めたら、少しの失敗でも政治生命は終わるってな。

だが酒井は許可なんて求めなかった。」


画面の中で隼人が話し始める。

フラッシュが絶え間なく光る。

隼人は真っ直ぐ立っている。

両手を前で組みながら。

その声は落ち着いている。

どこか安心感すら与えるほどに。


酒井隼人テレビ

「ここ数か月、我が国では一連の事件が発生してきました。

それらをテロ行為だと呼ぶ者もいれば、演出された出来事だと主張する者もいます。」


間。


酒井隼人テレビ

「その人たちは正しい。」


会場にざわめきが走る。


酒井隼人テレビ

「これらの事件は、一人の人間によるものです。

影に潜み、人を操り、潜入し、破壊を繰り返す男。

その男は――シェイドと名乗っています。」


間。


酒井隼人テレビ

「今夜、一つの映像が公開されます。」


記者たちが身を乗り出す。


酒井隼人テレビ

「それは警察と私のもとに届けられた映像です。

脅迫の一環として送られてきたものであり、その真正性は当然ながら確認済みです。

そしてその映像の中で、シェイド本人が自身の犯行を認めています。」


間。


酒井隼人テレビ

「私は今夜、ABMニュースの生放送に出演します。

皆さんのあらゆる質問に直接お答えしましょう。」


映像が終わる。

部屋の誰一人として動かない。


沈黙。


シェイドは画面に映る隼人の顔を見つめている。

微動だにせず。


そして――

冷たく、計算し尽くされた声で言う。


シェイド

「放送は何時からだ?」

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