表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
86/108

裏切りの血

アサ

「誰が引き起こしたか知ってる?

崩壊を……」


ミナ

「綾柳一族です。」


アサの口元に、かすかな苦笑が浮かぶ。

ミナはそっとファイルを引き寄せると、鞄の中へ滑り込ませる。


アサ

「正確には、そうじゃない。」


ミナは眉をひそめる。


アサ

「確かに、綾柳一族が最後の一撃を与えた……」


沈黙。


アサ

「でも、あいつらだけじゃない……」


アサは立ち上がり、ミナへ歩み寄る。


アサ

「継神一族の一人が、綾柳を手助けして崩壊を引き起こしたの。」


アサは足を止める。

ミナの目の前で。


アサ

「継神一族が今、どんな苗字を名乗っているか知ってる?」


沈黙。

ミナは身動き一つしない。

アサの言葉に釘付けになっている。


アサ

「原。」


ミナの目が揺らぐ。

悪寒が全身を走る。


その時――

ドンドン。


日野

(ドアの向こう)

「アサ……俺だ。話がある。」


アサは勢いよくドアを開ける。


日野が入ってくる。


緊張した表情を浮かべている。


そしてミナを見る。

彼女の目には涙が浮かんでいる。


日野

「ミナ?

どうしてここにいるんだ!?」


ミナは俯き、感情を隠そうとする。

鞄を手に取ると、足早に玄関へ向かう。


日野

「ミナ。今すぐ答えるんだ。」


ミナは父親を完全に無視する。

一瞥すらくれず、その横を通り過ぎる。


ドアの前で立ち止まる。

そしてアサを振り返る。

その目は暗い。


ミナ

「嘘です。」


沈黙。


日野

「何だって?

何を言ってるんだ?」


やがてリクは察する。

そしてアサへ振り向く。


アサ

(リクに向かって)

「真実を話しなさい、リク。」


日野

「余計なことをするな、アサ。

行こう、ミナ。」


ミナ

「嫌!」


ミナはアサへ歩み寄る。


ミナ

「お母さんが仲間を裏切るはずない!」


アサは思わず笑いを漏らす。


アサ

「タミは、私たち全員を破滅に追いやったのよ。」


暖炉の火が大きくはぜる。


アサ

「酒井をアエノラの神殿まで案内したのは、彼女だった。」


ミナは一歩後ずさる。

混乱している。


ミナ

「酒井……?」


テーブルの上のカップが震える。

木材が軋む。

空気が変わる。


日野

「ミナ……ここを出よう。」


アサ

「あなたの家族は私たちを裏切った。

タミは死んで当然だった。」


壁に亀裂が走る。


日野

「アサ、やめろ!」


アサ

「嫌よ!」


アサの声が震える。


アサ

「私は見たのよ!

友達が、家族が死んでいくのを!

苦しみながら叫ぶ声を聞いた!

そして見た……

愛した人が、私たちを裏切った連中を守る姿を!」


日野

「アサ……俺は……」


アサ

「何!?

全部、裏切り者の娘を育てるため?

しかも、その子はあなたの娘ですらないのに……」


世界が止まる。


ミナ

「……え?」


日野はミナの肩を掴む。


日野

「ミナ、俺を見ろ……」


その時――


震動。


目には見えない。

空気が収縮する。

蝋燭の炎が揺らぐ。

暖炉の火が歪む。


ミナの瞳が黒く染まる。

地面が震える。

窓ガラスに亀裂が走る。


日野とアサは周囲の空間が歪んでいくのを見つめる。

そして日野が再びミナへ視線を向けた時――

彼女は消えていた。


日野

「ミナ――」


ドォォン!!


窓ガラスが砕け散る。

家具が吹き飛ばされる。


日野は壁へ激しく叩きつけられる。

アサが叫ぶ――

だが、その声は飲み込まれる。


空気が渦を巻く。

ミナの姿が現れる。

まるで儚い霧のように。

炎は彼女へ向かって折れ曲がるが、その身を焼くことはない。


そして――

アサの身体が持ち上がる。

乱暴に。

宙へ吊り上げられる。

喉が締めつけられる。

必死にもがく。

足はもう床についていない。


アサ

(息を切らしながら)

「ミナ……やめて……」


――


センはまだ眠っている。


布団の上に横たわったまま。

眉がわずかにひそめられる。

頭が小さく動く。


そして、かすかな寝言のように呟く。

「ミナ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ