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スポットライトの下で

酒井邸 ― 隼人の執務室


テレビの記者(声)

「……なぜ違法な化学物質がここにあったのか。警察はその解明を進めています……」


酒井隼人

(机を拳で叩く)

「ふざけているのか!?」


その衝撃が部屋中に響き渡る。

カップが倒れ、コーヒーが書類の上にゆっくりと広がっていく。

二人の補佐官は青ざめたまま固まり、口を開くべきかどうかも分からない。


酒井隼人

(怒りに燃えながら)

「私はあそこを閉鎖しろと命じたはずだ!

誰がマスコミに知らせたのか、今すぐ突き止めろ!」


重苦しい沈黙。

補佐官の一人がためらいながら口を開く。


補佐官1

「隼人様……警察は昨夜、摘発の直前に匿名の通報を受けています。

身元を特定できる痕跡は一切ありません……」


酒井隼人

(怒りに燃えながら)

「警察署長に連絡しろ。一時間以内に会う。」


誰かがドアをノックし、中に入ってくる。


補佐官2

「隼人様。門の前に記者たちが集まっています……」


酒井隼人

(苦々しく)

「だろうな……」


彼は窓の方へ歩み寄る。

外では、邸宅の門の向こうで記者たちのフラッシュが激しく光っている。


酒井隼人

「アキを呼べ。私は酒井タワーへ向かう。」

その時、酒井冷煌が執務室に入ってくる。


酒井冷煌

「報道陣はもうタワーの前にも来ています。」


隼人は答えない。


酒井冷煌

「現場で名刺が見つかっています……シェイド。」


沈黙。

隼人の目がさらに暗く沈む。


***


酒井タワー前


黒塗りの車が正面エントランスの前で停車する。

黒い車の後部ドアが開く。


酒井隼人が険しい表情で車を降りる。

二人の護衛と息子の酒井冷煌がその後に続く。


その前には、記者たちの壁。

カメラが向けられ、マイクが突き出される。

眩しいフラッシュが絶え間なく弾ける。


記者1

「酒井さん、なぜ使用されていない倉庫に化学薬品を保管していたのですか!?」


記者2

「それらの物質は爆発物の製造に使われていたというのは本当ですか!?」


記者3

「複数の情報筋は、あなたがメディア業界の競合他社に対する爆破事件の黒幕だと主張しています!

この疑惑についてどうお答えになりますか!?」


記者4

「酒井さん! 一言お願いします!」


記者5

「レスベスト・メディアへの爆破事件は、あなた自身の活動を隠すための偽装だったのですか!?」


記者たちの声がさらに大きくなる。

マイクが押し合い、カメラが危険なほど近づいてくる。

護衛たちが群衆を押し返す。


記者6

「酒井さん! 警察があなたの関連会社を捜査していることを認めるのですか!?」


隼人と冷煌は護衛を従え、タワーの中へ入っていく。

ドアが鋭い音を立てて閉まり、外の喧騒を一瞬で遮断する。


***


酒井タワー ― 隼人の執務室


一人の男が苛立ちながら新聞を机の上に叩きつける。

新聞の一面には衝撃的な見出しが躍っている。


「酒井――頂点にある腐敗か?」


黒川翼

(怒りをあらわにして)

「これは一体どういうことだ……」


酒井隼人

「落ち着いてください。」


黒川翼

「落ち着けるわけがないでしょう! 私の政敵があなたに襲撃されたと、世間はそう思っているんですよ! 世論が私に背を向けるのも時間の問題です!」


酒井隼人

「あなたはまんまと奴の罠にはまっています……」


部屋の隅にいる中村義が、隼人へ静かに視線を向ける。

その一言一句を聞き逃すまいとしている。


黒川翼

「罠だと?」


酒井冷煌

(影の中から姿を現し、冷静だが冷ややかに)

「シェイドです。」


酒井隼人

「すべての黒幕はシェイドだ。奴は私が爆破事件の犯人だと世論に思わせようとしている……

私自身のビルへの襲撃すらも含めてな。」


酒井冷煌

「それだけでは終わりません。シェイドの目的は私たちに損害を与えることではない。私たち同士で殺し合うよう仕向けることです……」


大臣は部屋の中を落ち着きなく歩き回る。


黒川翼

「分かりましたよ……

あのクソ野郎が私たちを潰したいということは。

それで、この状況をどう収拾するつもりなんです?」


酒井隼人

「国民の信頼を取り戻すことです。」


黒川翼

「謎かけはやめて、具体的な計画を話してください。

支援を取り消すと言ってくる閣僚がもう出始めているんです。

私の政治生命は崖っぷちですよ。

そのシェイドという男は、誰にも気づかれずにあなたの建物を利用し、あなたを愚か者に見せている。

それは真昼間にルーヴル美術館へ侵入し、誰一人それに気づかないようなものです。」


酒井隼人が立ち上がる。

その視線は氷のように冷たく、微動だにしない。

黒川翼が突然、理由もなく苦痛に顔を歪め始める。

苦しげなうめき声だけが、重苦しい沈黙に満ちた部屋へ響く。


酒井隼人

「口の利き方には気をつけた方がいい。

今のあなたを作ったのは私だ。

その気になれば、私はあなたからすべてを奪える。」


酒井冷煌

(冷たく)

「父上……」


隼人が大臣から視線を外す。

すると黒川翼の苦痛は止まる。

彼は荒い息を整えながら、床へ視線を落とす。


それまで沈黙を守っていた警察署長が、ひとつ咳払いをする。


警察署長

「まずは計算されたメディア反撃から始めるべきでしょう……

情報流出が匿名通報によるものだったと明かすだけでは不十分です。

これらの工作をシェイド、そして彼に資金提供または保護を行っている人物へ正式に結び付けなければなりません。」


森田健司。

警察署長である彼は、地味なスーツを身にまとい、引き締まった表情のまま背筋を伸ばして立っている。


酒井冷煌

(冷たく)

「つまり、シェイドの存在を世間に公表するのですか?」


森田健司

(冷静に、指揮官として)

「私たちには世論の流れを待つ余裕はありません。」


冷煌は頷く。

すでに次の手を計算し始めている。


酒井冷煌

(容赦なく)

「並行して、公的な反証資料も準備します。

管理された証拠、日時記録、独立した専門家の分析。

検証可能な情報を大量に提示し、疑念の入り込む余地を一切残しません。」


森田健司

(ためらいなく)

「改変された通報記録の追跡にはサイバー捜査班を投入できます。

ですが令状が必要です。

そして強固な証拠の連鎖も。

脆弱な結果を公表すれば、シェイドに世論をこちらへ向ける格好の口実を与えることになります。」


酒井隼人

「奴の資金源についてはどうだ?」


森田健司

「いくつか手掛かりはあります。

ですが現時点では、決定的な証拠が不足しています……」


隼人は深くため息をつく。

酒井隼人

「冷煌。

こちらの最高の記者たちを総動員しろ。

確かな事実を見つけ出した者には報奨金を出す。

それから、奴の顔写真を至る所に貼り出せ。

街中にも、新聞にも、テレビにもだ。

すべての放送局に奴をテロリストとして報じさせろ。」


冷煌は静かに頷く。

中村義は隼人を見つめている。

その目には誰にも気づかれない憎悪が宿っている。

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