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その娘を渡せ

原の表情には焦りが滲んでいる。

だが。

その目は鋭い。

集中を切らしていない。

隣にはミナ。

その瞳には強い決意が宿っている。


ミナ

「誰ですか、あいつら?」


原慧

「シェイドの部下たちだ」


ミナ

「前に戦ったのはこいつらですか?」


原慧

「そうだ。だが前は一人だけだった」


ミナの表情が強張る。

背筋を冷たいものが走った。


原慧

「集中しろ。訓練の時と同じだ」


セイラム

「原……」


原が敵を見据える。


原慧

「セイラム」


セイラムの指がミナへ向く。


セイラム

「その娘を渡せ」


ミナが目を見開く。

自分?

なぜ?


原が一歩前へ出る。

無意識のように。

ミナを庇う位置へ。


沈黙。

数秒。


セイラムがため息をつく。

そして。

部下たちへ視線を向ける。

六人の姿が紫の霧へ溶ける。


原とミナは迷わない。

即座にルーンを発動する。


次の瞬間。

横の霧が裂ける。

一人の男が飛び出した。

両手にはトンファー。


一直線にミナへ襲いかかる。

原が反応する。

ミナの上着を掴む。

強引に後ろへ引く。


筋肉が軋む。

視線は敵から離れない。

そして。

蹴り。

男の身体が吹き飛ぶ。

まるでボールだった。


背後。

別の男が手裏剣を放つ。

ミナが即座に反応する。


アエギス。


輝く盾が出現する。

手裏剣を弾く。

だが。

手裏剣は近くの店舗へ飛び込む。


爆発。

ミナの目が見開かれる。


原はその隙を逃さない。

ルーン銃を抜く。

突撃してくる重装兵へ照準を合わせる。


発砲。


弾丸が籠手を掠める。

敵の体勢が崩れる。


戦いが始まる。


重装兵が突進する。

原は身を捻る。

回避。

そのまま敵をショーウィンドウへ叩き込む。

ガラスが砕け散る。


別の男が手裏剣を投げる。

ミナが回転する。


アエギス。


手裏剣を弾く。

爆発を抑え込もうとする。


そして。

マグナ。


地面を叩く。

衝撃波。


一人の男がビルへ叩きつけられる。

手裏剣が飛ぶ。

爆発が起きる。


ミナの周囲を盾が舞う。


アエギスは踊るように動き続ける。

爆発の光が街を照らす。


敵が接近する。

白兵戦。

原とミナは流れるように動く。


原が守る。

ミナが攻める。

二人のルーンが致命的な連携を生み出していた。


その時。

鎖が唸る。

刃が一直線に原の顔面を狙う。


原の目が細まる。

セイラムの武器。

見間違えるはずがない。


ヴィディヤ。


紙一重で回避。


だが。

その一瞬の隙。

横から衝撃。

男の拳が原を吹き飛ばす。


原の身体が店舗の奥へ突っ込む。

棚が倒れる。

床が揺れる。

商品が宙を舞う。


ミナが振り返る。

アエギス。

盾が展開される。

包囲しようとする敵を押し止める。


マグナ。

衝撃波。

瓦礫が飛ぶ。

突進してきた男へ叩きつけられる。


原は膝をつく。

ルーン銃を拾う。


発砲。


ミナへ飛びかかった敵の体勢を崩す。

そして横へ転がる。


刃が床を薙ぐ。

数センチ差だった。


セイラムが店内へ入ってくる。

電流が弾ける。

鎖が唸る。


刃が鞭のように振るわれる。

棚が切断される。

木片が飛ぶ。

ガラスが砕ける。

金属が悲鳴を上げる。


原はヴィディヤを使う。

空気が震える。

敵の動きを読む。


落ちていた看板を掴む。

投げる。

鎖がわずかに逸れる。

隙が生まれる。


一方。


通りではミナが戦い続けていた。


アエギス。

マグナ。


衝撃波。

盾。

攻撃。

防御。


男がショーウィンドウへ吹き飛ぶ。

別の男が壁へ叩きつけられる。


爆発。

コンクリートが砕ける。

ガラスが舞う。

金属片が飛び散る。


セイラムの刃が壁を裂く。

床を砕く。

原を閉じ込めようとする。


原は転がる。

跳ぶ。

回る。

鎖の一撃を紙一重で避け続ける。


セイラムが両方の刃を回転させる。

回転する防壁。

射線が塞がれる。


だが。


原はヴィディヤを発動する。

そして撃つ。

計算された一発。

爆発。


セイラムの体勢が崩れる。

刃が壁へ弾かれる。


通り。


_


ミナが一歩後ろへ下がる。

六人の男たちが距離を詰めてくる。

規則正しく。

機械のように。

紫のガスが漂っている。

視界を曇らせる。


呼吸が苦しい。

心臓が速い。


一人が飛び出す。


アエギス。

だが。

盾が揺らぐ。

ほんの一瞬。

集中が乱れた。

疲労。

恐怖。

怒り。

全てが混ざる。


ミナが目を閉じる。

ほんの一瞬だけ。

再び開く。


違和感。


仮面の男たちが迷っている。

一人が空を殴る。

もう一人が周囲を見回す。

まるでミナを見失ったように。


ミナが後ずさる。


ミナ

「何だ……?」


その時。

ミナが見つける。

ベランダのガスタンク。


マグナ。


衝撃波が飛ぶ。

爆発。


巨大なコンクリート片が崩れ落ちる。

男たちとの間を塞ぐ。


ミナは追撃する。

アエギスを一点に集中。

衝撃波が瓦礫を吹き飛ばす。

巨大な破片が敵を押し流す。


逃げ道ができる。

原は迷わない。

店から飛び出す。


原慧

「ミナ!」


ミナ

「こっちです!」


原が駆ける。

セイラムの追撃をかわしながら。


原慧

「ここを離れるぞ!」


二人は走る。

瓦礫と煙の中を。

非常通路へ飛び込む。


ハロウィン隊は足止めされる。


瓦礫に阻まれていた。


_


しばらくして。


二人は足を止める。

ビルの影。


呼吸が荒い。

背後には破壊された通り。

煙が立ち上っている。


原がミナを見る。

表情は真剣だった。


原慧

「大丈夫?」


ミナは頷く。

まだ震えている。

だが目は死んでいない。


原慧

「行くぞ。こんな場所に長居はできない」

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