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回想――アエノラ神殿襲撃

アエノラの神殿――入口トンネル。

爆発音が響き渡る。

兵士たちが密集した隊形で前進する。

銃を構え、その足取りは完全に同期している。

銃撃が古びた石を打ち据える。

壁に刻まれた古代ルーンの紋様が、粉砕されていく。

その正面。男たちが防衛線を維持していた。

神殿を守るための最後の一線。

全員が柔軟な黒いスーツを身にまとっている。

発光する線がスーツの上を走り、古代の魔法のリズムに合わせて脈動する。

黒いハーフマスク。顔は隠され、燃えるような眼だけが露わになっていた。

その中の一人。灰色の髪の男――クロダ。

彼は手を差し出し、集中している。

前腕と手に、ルーンの紋様が点灯する。

次の瞬間。

次の瞬間。掌から、光の波が放たれた。

一斉射撃が――止まる。

トンネルの壁面が震え、岩が崩れ落ちる。


兵士

「注意!」


兵士たちは身を隠し、その後も連続射撃を続ける。


兵士

「前進しろ!」


クロダ

「サラ!第5ルーン!」


――返答はない。

クロダは顔を向ける。

数メートル先。

サラが地面に横たわっていた。

動かない。

首元のネックレスが、かすかに光る。

そして――ゆっくりと消えていく。

クロダの呼吸が止まる。

「……サラ。」


クロダの皮膚に浮かぶルーンの紋様もまた、意味を失ったかのように消えていく。


兵士

「保持者が倒れた!進め!!」


銃撃が再び始まる。


クロダはトンネルの奥へ走り出す。

――だが。


一発の弾丸が背中に命中する。

地面に叩きつけられる。

息が奪われる。

口の中に血の味が広がる。

爆発と衝撃で震える地面。

その上を、彼は這い進む。

足音が近づく。

兵士たちだ。

その姿が、脅威のように迫る。

銃口がクロダの顔に向けられる。

だが――

その眼差しは、決して屈しない。

その瞬間。


乾いた音が響く。

ヘルメットが、ひび割れる音。

クロダに銃を向けていた兵士が崩れ落ちる。


――死亡。


兵士たち

「何が――?」


全員が、トンネルの入口へ振り向く。

そこに立っていたのは――影。

長い黒のトレンチコート。

その下には、クロダと同じスーツ。

歩みは滑らか。

静かで、容赦がない。

黒いハーフマスク。

露わなのは、暗く正確な眼だけ。

手には、艶消しの黒い拳銃。

無駄のない、洗練された形状。

その銃身にはルーンが刻まれている。

光が、鼓動のように脈打つ。


次の瞬間。

弾丸が飛び交う。

クロダは頭を腕の中に埋め、身を守る。


謎の男が反撃する。

一発。

石を貫く。

二発。

金属すら抜く。

すべてが、異常な精度。

まるで、あらゆる障害物の密度と軌道を把握しているかのようだ。

兵士たちは、次々と倒れていく。

――静寂。


クロダはゆっくりと顔を上げる。

時間が、遅くなったかのようだった。

謎の男が、目の前に立っている。

無表情のまま。

埃が、ゆっくりと落ちていく。

兵士は全員、地面に倒れている。

トンネルは静まり返る。

残っているのは――

彼の呼吸と、遠くで響く戦闘の轟きだけ。


原慧

「クロダ、怪我は?」


クロダ

(息を切らしながら)

「大丈夫だ……」


慧は手を差し出す。

クロダを立ち上がらせる。

その視線が、一瞬だけ止まる。

サラの亡骸。

そして、光を失ったネックレス。

慧は歯を食いしばる。


原慧

「すまない……」


クロダは目を伏せる。


原慧

「どこだ?……タミ。」


クロダ

(ためらいながら)

「原……俺は……

糸の守護者たちが……彼女を裏切り者と宣言した。」


慧の視線が、さらに暗くなる。

刃のように鋭く。

トンネルはなおも揺れている。

だが――慧は進む。

その動きは、正確で、優雅で、致命的。

まるで、周囲の混沌がただの背景であるかのように。

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