↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
103/111

繋がり

三本の斧が、

冷煌の手に現れる。


シェイドは止まらない。

速度を落とさない。

一振り目。

刀が斧を断ち切る。


二振り目。

それも両断する。


そして三振り目――

シェイドは、

その斧を素手で掴んだ。


高速で振るわれていたはずの一撃。

だが、

その手は止まる。

指が食い込む。

金属が悲鳴を上げる。

嫌な音を立てながら軋む。

そして――

砕け散る。

破片が床へ落ちる。


静寂。

青い光は、

なお皮膚の下で脈打っていた。


冷煌はシェイドを見つめる。

まるで怪物を見るように。

もう笑っていない。

余裕もない。

シェイドは何も言わない。

ただ、

一歩前へ出る。


***


涼司が手を伸ばす。

センへ。


そして、

崩れゆく山そのものへ。

暴走する力を抑え込もうとするかのように。


表情が歪む。

額に汗が滲む。

それでも、

手を引かない。

諦めない。


ケイリンも立ち上がる。

静かに腕を動かす。

流れるような所作。

崩壊しかけた洞窟を、

必死に支えていた。

落ちる岩を押し留める。

砕ける岩盤を繋ぎ止める。


だが、

限界は近い。

信夫はセンへ駆け寄る。


信夫

「酒井!

目を覚ませ!」


***


シェイドの蹴りが炸裂する。

冷煌の身体が吹き飛ぶ。

自らの幻を突き破り、

ステージを横切る。

構造物を次々と粉砕しながら。

空間そのものに亀裂が走る。


砕けた幻の向こうから、

現実の景色が断片的に姿を現す。

冷煌は巨大な支柱へ叩きつけられた。

轟音。

そのまま深くめり込む。


シェイドは歩き出す。

一歩。

また一歩。

足音だけが響く。

青い光が、

なお皮膚の下で脈打っていた。


冷煌

「この戦争に勝つのは俺だ。」


荒い息。

それでも笑う。


冷煌

「お前は壊す。

間。

その信念ごとな。」


シェイドは立ち止まる。

冷煌の目の前で。


シェイド

「人はそれを信念と呼ぶ。

間。

「本当は――」


さらに一歩。


シェイド

「憎しみと呼ぶのが怖いだけだ。

そして……俺の憎しみは、

(沈黙。)

これからもずっと

お前の野心より強い。」


***


突然、

センの呼吸が止まる。

身体が大きく震える。


そして――

片膝をつく。

続いて、

もう片方の膝も崩れ落ちる。


両手が岩肌へ叩きつけられる。

呼吸は荒い。

乱れている。


センの周囲で暴れていた光脈も、

次第に落ち着きを取り戻していく。

脈動が弱まる。

ゆっくりと。

静かに。


信夫が駆け寄る。


信夫

「酒井!」


ケイリンと涼司も集まる。


ケイリン

(優しく)

「呼吸を整えなさい。」


センは答えない。

だが、

ゆっくりと息を吸う。

苦しそうに。

そして吐く。

また吸う。

吐く。


岩壁の亀裂が広がるのを止める。

地鳴りも消えていく。

白く染まっていた瞳に、

少しずつ色が戻る。

視界が戻る。

呼吸はまだ重い。


それでも、

安定し始めていた。


セン

(小さく)

「……俺……」


言葉が続かない。

両手はまだ震えている。


ケイリン

「何を見たの?」


センはすぐには答えない。

視線がわずかに揺れる。

まるで、

意識の一部だけがまだどこかに残されているように。


セン

「……シェイド。

(間。)

まるで……」


喉が震える。


セン

「頭の中に入ってきたみたいだった。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。