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【web版】現代忍者は万能ゆえに異世界迷宮を一人でどこまでも深く潜る  作者: 右近衛将監(左兵衛佐)


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第72話 土産


 マジックバッグから青いリボンを取り出すと、中割れ式の左右のドアがゆっくりと開いて内部が現れる。

 そこは5mほどの辺で構成される立方体で、ちょうど迷宮の1ブロック構成をそのまま縮小したような空間だった。


 …これ、エレベーターだろ。


 まるで青いリボンが認証キーのような感じだろうか。

 大して真面目に通っていなかったが、大学の一部の施設がまさにこういう仕組みだった。


 俺は入り口が閉じることに警戒しつつ、内部の空間を観察してみる。

 手前側の壁面には「1」から「9」までの四角いボタンが並び、そのうち「1」から「4」までは淡い光を放っていた。


 …うん、これ絶対エレベーターだよね。


 ということは、だ。

 この迷宮は少なくとも地下9階層まではあるわけか。


 俺が全力を尽くして攻略したあの迷人部屋が地下4階層で、さらにその倍以上の深さの階層がある…。

 これほどに俺を陶酔させる空気が地下4階層で、さらにその倍以上の深さの階層がある…。


 …いや、分かってるよ。

 そんなに煙が出そうなほど後頭部を熱しなくても、欲望に任せて「9」のボタンを押したりはしないから。


 ここは「5」にしよう。

 …反応しないか。


 「6」「7」「8」…「9」、ダメか。

 まあそんな気はしていたよ、多分有効なのは「1」から「4」の光っているボタンだけだな。


 …いや、分かってたんです。嘘じゃないです!

 これ以上は本当に後頭部が焦げてしまいます!





 「3」を押すと扉がゆっくりと閉じて、身体が上昇する感覚を受ける。

 体感だが、スピードは随分ゆっくりしているな。


 ものの数秒の動作で上昇感が途絶えると、中割れドアが開いて迷宮の通路が見えた。

 外に身を乗り出して周囲を見渡すと、ふむ。


 やはりここは地下3階層で、見覚えのある通路構造だ。

 こんなところにドアは無かったはずだが、この青いリボンを持つことで出現したと考えるしかないな。


 『エレベーター』に戻って、次は「2」だ。

 先ほどと同じ動作が繰り返され、今度は地下2階層の通路である。


 見渡した風景と脳内地図を照らし合わせると…、やはりそうだな。

 いずれも各階層の同じ座標を縦に貫いている。


 この迷宮を縦に貫く『エレベーター』の、セキュリティキーを手に入れたと理解しよう。

 あの迷人部屋を攻略したご褒美とでも考えればいいだろうか。


 …何者の意思でそんな褒美があるのかは知らないが、実際便利だし俺にとって都合の良いことには今さら突っ込まないと決めている。


 さて、ここは地下2階層なわけだが、シーロたちのパーティはまだいるだろうか。

 気配を探ってみると…、もういないな。


 別のパーティの気配はするが知り合いでもない。

 「1」を押してみよう。





 さて、地下1階層も想定通りの場所に出た。


 ボドワンの気配もあるな。

 かなり奥まった区画に4人で留まっているぞ、休憩中かな?


 ちょうどいい、さっそく土産を渡しに行くとしよう。

 あいつらは4人組だから、迷宮内で俺が接触しても構わんしな。

 

 …


 ここだ。

 扉の向こうのボドワンたちは、結局この1時間ほどまったく移動しなかった。


「ボドワン、俺だ。入るぞ」


 以前にタマラたちを驚かせてしまった反省から、俺は扉を開く前に声かけを行うことにした。

 扉を押し開くと、驚いた表情のボドワンとパーティのメンバーが見える。


「シュウ!? どうしてここが分かったんだい…? いやそれよりも、本当にいいところに!」


 室内に入った俺をボドワンが駆け足で出迎え、手を取って上下に振るようにして大げさに喜色を現す。

 育ちの割に気安いやつではあるが、ここまでフレンドリーだっただろうか。


「いいところ、というのは?」


「いやぁ、立て続けに戦闘をしたものでさ。手傷が増えて、ポーションも僕の魔法も尽きてしまったんだ」


 なるほど、自発的な休憩と言うよりは立往生に近い停止を余儀なくされていたのか。

 そこに俺が丁度良く来たものだから、ボドワンも他のメンバーもこんなに嬉しそうに…ん?


 エルフ弓士のイリニヤだけはなぜか、じっとりとした不審そうな目で俺を見ている。

 …俺がなにかしただろうか?


「なるほど、そういうことか。では地上へは共にしよう。ああ、それとこれはエイナルに土産だ。この戦斧を見てくれ」


「俺に? ほう、上等な戦斧じゃないか。いいのか」


「ああ、少しボドワンに世話になったからな、その礼だと思ってくれ」


 どうやら土産も気に入って貰えたらしく、ドワーフ戦士のエイナルも上機嫌である。

 ミクリング斥候のヤルミルが「なんでぇ、俺にはねえのかよ!」などと軽口を叩いたことで、場は明るい笑い声に包まれ…ん。


 イリニヤだけはますます胡乱げに俺を睨みつけ、やがて何か得心したように鼻を鳴らす。

 つかつかと俺の方に歩いて来て…、まあ、なにか文句があるなら言ってくれた方が早いか。


「やっとわかったわ! 前回はボドワンに剣を贈って、今回はエイナル。男ばかりであんなに親しげにしちゃって…。つまり、アナタは男色家ね? どうりで私の…」


 ちょっと何を言っているのかよく分からないが。

 ともかく用は済んだから地上を目指すか。



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