表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【web版】現代忍者は万能ゆえに異世界迷宮を一人でどこまでも深く潜る  作者: 左兵衛佐


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

125/142

第125話 キャンセル


 いま俺は食卓に着いて、向かいの席にはドロテア婆さんとエリカの母親のアデリナさんが座っている。


 これは今から飯を食おうというのではなくて、身重の妻について二人がアレコレと俺に教えてくれようと言うわけだ。


 ドロテアの婆さんは遠くの街に息子夫婦がいるようだし、アデリナさんもエリカの上に二人の兄を儲けているらしいので、俺たち若い夫婦よりも当然経験豊富な先達である。


 …いや、夫婦がと言うより俺だよな。

 だからこうして俺だけ呼び出されて教育を受けているわけで。


「いいかい、これから三月の間は夫婦のことはいけないよ。それから、エリカの具合が悪くなるから、あんたも汚れた格好で部屋に戻ったらいけないからね」


 最初は子供が産まれる仕組みから教えようとしてきたので、さすがに俺も腹が立ったのだが…。


 まあ、俺が物を知らないのは事実なので我慢して聞くとしよう。


「…だから三月の間は、シュウは外で発散しておいで」


「馬鹿なことを言うな」


 この婆さんは俺のことを何だと思っているのか?


 どこの世界に身重の妻を家において外に発散しに行くヤツがいると言うのか。

 

 …うーんそれにしても、そもそも妊娠中にそういう事が可能だということすら知らなかったな。


 俺はそんなつもりが無かったし、どうもちょっと怖い気もするが…。


「あら、大丈夫よ。その頃になったらエリカの方から誘って来るわ。うふふ、つわりが治まると今度は高まって来るのよ」


 …そういうものなのか。

 やはり俺の知らないことばかりで、経験者の言を得られることは安心できるな。


「…だから、それまではシュウくんはお店で我慢してね。愛人を作ったらダメよ?」


「馬鹿なことを言わないでください」


 どうもこの二人は知識や経験の面では頼りになるが、倫理観の方面はまるで信用ならんぞ。


 どこの世界に娘婿に店通いを勧める母親がいるのか、いや目の前にいるんだよな…。





「旦那。ちょっと俺も話があるんだが、いいかい?」


 そう言って食堂に入って来たのは斥候のセルヒオで、現在は通いで俺の家を警護してくれている元探索者の一人だ。


「家のことか? それならエリカも連れて来るから、待ってくれ」


 家のことに関しては不在の多い俺よりもエリカに任せているからな。


 ちょうどエリカがやって来たので、一緒に席についてもらってセルヒオに話の続きを促す。


「この屋敷の警護だがな…、もっと人を雇うべきだぜ」


 お、そうか。

 やはり3人で夜間を含む警護というのはハード過ぎたかも知れんな。


「いや、そうじゃねえ。…なにしろ旦那は稼ぎ良すぎるぜ。いずれ裏稼業の連中にも噂が広がりゃあ…、押し込もうって輩が出てきてもおかしくねぇ」


 なるほどな…。

 たしかに俺が探索の度に持ち帰る戦利品を売り捌くことで、かなりの財産になっているらしいとは聞いている。


 家族の生活を豊かにしようと思ってやってきたが、むしろ危険を呼び込むことになるとは迂闊だった…。


 エリカの方を見ると頷きを返してくるので、俺はセルヒオの忠告に従うことにした。


「知り合いに腕利きはいるか?」


「いねぇこともねぇが…。冒険者になった奴は遠出していることもあるし、傭兵をしているやつは契約の期限との兼ね合いがあるな」


 ふむ、いますぐフリーの人材をスカウトするというのは難しいか。


 そう考えると、セルヒオたちを雇うことができたのはタイミングが良かったらしい。


「シュウさん。ひとまずは傭兵ギルドに依頼を出しましょう」


 エリカの提案は以前と同じで、金銭を支払うことで安定して人員を派遣できる傭兵ギルドを利用するというものだ。


 もちろん、それが一番話が早いんだろうが…。

 …どうもな。


 昼間はともかく、押し込み対策ならば夜間にも人員を置かなくてはならないわけで。


 どうも、顔も知らん人間を夜間に家の中におくことが落ち着かない。


 俺が富家に生まれついていれば、こういう事にも慣れがあるのかも知れんが…。


 ふーむ、こりゃメドがつくまでは俺が夜間居続けることにして、その間に解決策を考えるか。


「シュウさ〜ん、ベリンダさんです~。もうそっちに行きました~」


 などと俺が考えている時に、ポーション店の方からタマラの声がしていつもの招かれざる客が現れた。


 …勝手知ったる様子でズカズカ入って来やがって、一体何しに来たんだ。

 今忙しいんだがなぁ。


「おっと、お揃いだね。ふふふ、今日はマジメな用で来たからさ。そう邪険にしないでおくれよ」


 お前の用件がマジメだったためしがあるか!


 だいたい、エリカがいる場所にコイツが居合わせるだけで、俺は嫌な予感がしてならんのだ。


「今日は予約のキャンセルと…それから、売り込みに来たのさ」


 訝しむ俺に構わずそう言いながら、ベリンダは自身の腹部をやさしく撫でている。


 …え、それってまさか?


「アタシはシーロの子供を孕んだのさ…。だからさ、シュウの予約は取り消しにしておくれよ。手前の方はシーロで、奥の方も赤ん坊でいっぱいだからね…」


「…お、おめでとう?」


 言葉の意味はよく分からんが、ともかくそれはめでたいぞ。


 …ん、祝いの品くらいは贈ってやるが、それで売り込みというのは…?


「それでさ、アタシらは探索者を引退することにしたから。ウチの人をこの家で雇ってくれないかい? ついでにアタシも奥様の警護くらいならやるからさ」


 おっと、メドが立ったかこれは。

 他のメンバーはどうした?


 全員引退予定で、ダリオとアニタは傭兵に転身を考えている?


 よし、今すぐ連れてこい。



★★★★★やブックマークはもちろんのこと謎スタンプもいただけますとモチベーションになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ