表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【web版】現代忍者は万能ゆえに異世界迷宮を一人でどこまでも深く潜る  作者: 左兵衛佐


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/141

第108話 虎児


「アハハハ! それで…、宮廷魔術師様を絞め殺しちまったのかい…!? よくやったよ、痛快じゃないか… アーハッハ!」


「殺してはいないぞ…。ちょっと寝てもらっただけだ」


 俺の話を聞いて女戦士のベリンダは嬉しそうに笑い転げている。

 昨日の件については全てエリカに任せることにしたので、もう俺は関知しないのだが…。


 どうやら俺が王家の使者と揉めたということは噂が広まっているらしく、こうしてわざわざ俺を称賛しに来る探索者がいるのだ。


 どうも俺が地上に戻るまでの間にあのパストラとか言う女が、横柄な態度で探索者たちと揉めていたみたいだな…。


 まあそれはさておき、なぜあの二人が俺を訪ねて来たのかだが。

 地下6階層に進出して以来、俺が持ち帰る魔石は漂人局での換金が出来なくなっていた。


 そこで王都の漂人局に職員の派遣を要請していたのだが、その際に王家とつながりのある局長が報告した事が発端のようである。


 …というか漂人局長は王の直臣なので、当たり前のように王家に連絡が行ったみたいだな。


 そこで、昨日の二人は迷宮深層の魔石や宝物を今後は王家に売却するように交渉しに来たわけである。


 近衛騎士と宮廷魔術師…だったかな?

 うーん、揉める前に相手の素性くらい確かめるべきだったか。


 まあ済んでしまったことは仕方ない。

 それに今後俺の戦利品を王家が買い取るというのも、別に文句のない話だ。


 これで換金の難しかった深層の魔石についても定期的に換金出来ることになったし、俺が手元に残したい戦利品についても口出しは無いようだから不満があれば売らなければよいしな。


 あとはエリカに処理を任せて…、帰ってきたらもう一度叱られるだろうからそれを我慢して終わりにしよう。


「ベリンダ姉ちゃん! 休憩はもう終わりでいいだろ?」


「あんたは元気だねぇ。よし、次は3本先取だよ!」


 ベリンダは剣術ごっこの合間に俺と話し込んでいたのだが、しびれを切らしたヴィクトルがベリンダを奪還しに来てしまった。


 ヴィクトルは剣を教えてくれる相手ならベニートでもボドワンでも誰にでもよく懐くが、…どういう訳か一番好きなのはベリンダらしい。


 これのせいでベリンダを出禁にできないのが悩ましいところだな…。


 カンカンと木剣を打ち合わせる二人を見ながら、俺はエリカが帰って来た際の反省の弁についてあれこれと思案にくれていた。


 …おっ、俺の知らない技を使ってるな。

 あれは誰に教えてもらった技だろうか…?






 その後、ベリンダは剣術ごっこを終えたヴィクトルを井戸水で丸洗いにしたのだが、その際に本人も服を脱ごうとしたので警告を与えておいた。


 まあ今日はヴィクトルの相手をしてくれたので、すぐには追い出さないで茶くらいは淹れてやろうか。


「…ヴィクトルには才能があるよ。今からアタシも楽しみだね」


 俺からカップを受け取ったベリンダはそう呟く。


 ふむ、それはベニートもよく言っていることだな。

 俺は自分以外の比較対象が無いので、ヴィクトルの筋がどのくらいの物か判断がつかない。


「それほどか?」


「先を見るんだよ…。虎の子供は猫とよく似てるけど手足の先が違うだろ? 尖端のカタチを見たら、これからどんな獰猛な虎になるのか分かるのさ」


 …なるほど、よく観察してるもんだ。

 確かにヴィクトルの手足は、身体全体のバランスの割に大きくてしっかりとしている。


 ふむ…、いずれアイツは俺よりも大きな体格になるかも知れんな。


 そうすると、リーチを活かす動きも今から教えていったほうがいいか?

 小さな体格を前提とした技が染み付くのも良くないだろう。


 …それにしても、俺だけでは気づかなかった視点を的確に提供してくれる。

 コイツもヴィクトルにとって大切な師匠の一人という訳か。


 うんまあ、少しセクハラが過ぎるだけでコイツも悪いヤツではないからな。


 これからはあまり邪険にせず…って、どうしてこの流れでそんな怪しげな眼の光を発するんだよ…?


「フフフ、ヴィクトルは相当な女泣かせになるよ…。成長した獰猛な虎の牙に、いったいどれだけの女が喰われちまうかねぇ…」


 …何の話をしているんだコイツは?

 真面目な話を出来ると思った俺が馬鹿だったのか…。


 呆れた表情で見ている俺に対して、むしろベリンダの方が不満そうな表情を返してくる。


「…いいじゃないか。せっかく牙を持って虎に生まれたんだからさ、どうせなら派手に暴れ回った方が痛快だろ…?」


 そう言ってベリンダはカップに口をつけ、茶を一口啜った。


「…アタシはヴィクトルの武勇伝をたくさん聞きたいねぇ。ゆく先々で切った張ったと暴れちゃあ、返す刀で女を次々とコマしてさ…。そういう男の夢みたいな、荒っぽくて艶っぽい冒険譚が一番面白いんだ」


 うーん、話の内容はふざけたものではあるんだが…。

 コイツはコイツで、本気でヴィクトルの未来に思いを馳せている様子なんだよなぁ。

 

 …まあ、どういう未来を選ぶかはヴィクトルが自分で決めることだしな。


 俺もヴィクトルに教えたいことを教えるし、コイツも教えたいことを教えたらいいだろう…。


「想像してごらんよ…あちこちに虎の爪痕をたくさん残してさ…、あちこちの女がいっせいに虎の落し子を産むのさ。 フフフ…とっても愉快痛快だろう?」


 う、うーん…。

 このままコイツを出入りさせていて、本当にいいんだろうか…?


★★★★★やブックマークはもちろんのこと謎スタンプもいただけますとモチベーションになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ