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57 実録。熊?と戦う男

 波乱の夜会の翌日。


 カルザス家のタウンハウスに訪れたイリーナとジュリアンを古参の家令と新しくカイザル家で雇った召使い達が恭しくお辞儀をして出迎える。



「ただいま、皆」


「「「おかえりなさいませ、お嬢様、ジュリアン様」」」


「エリザベス()()()()は?」


()()()()と一緒にお部屋で御座います」


「行っていいかしら?」


「大丈夫かと」



 その言葉に満足そうに頷くと、階段を上がって行く2人。


 そして以前ジュリアンが使っていた女主人の部屋のドアをノックした。



「ただいま、デニス」


「よう、エリザベス。ちびっ子は元気か?」



 ドアを開けたその先にはニッコリ笑いながら、椅子に腰掛けて、デニスと呼ばれた赤ん坊を抱いた()()()()()()()()()()()()()()の姿があった。


 そしてその隣に・・・



「閣下。何やってるんですか?」



 泣きそうな顔で真っ赤になった赤ん坊を、あやそうと必死になるマシュー・カイザル将軍の姿であった。



 ××××××××××



 「お父様、まだ怪我が治ってないでしょ?」



 呆れ顔でイリーナが父の顔を見上げる。



「いや、こんなものは怪我のうちに入らん」


「何言ってるんですか。川に落ちた時骨折した腕、まだ治って無いじゃないすか・・・」



 ジュリアンも呆れ顔で、彼の上司の左腕を見る。


 将軍の腕を覆う痛々しい白いギブスは、いまだ医師から外して良いというお許しは出ていない。



「俺と副官が見つけた時は完全に腕が別方向に向いてましたからね。頼みますから無理しないで下さいよ」



 ジュリアンが困り顔になる。



「スマン」



 カイザル将軍が照れて苦笑いをした。



 ××××××××××



 将軍が落ちたという川に大急ぎで駆けつけたジュリアン達特殊隊は大急ぎで熊に襲われたという崖から下流域を隈なく捜索した。


 結果、アチコチ骨折した将軍閣下を無事? 発見したのである。


 幸い右手が無事だった為何とか川からは這い上がったものの、流石のマシュー・カイザル将軍もそれ以上動けないまま救助を待っていたのである。



「閣下の身体が丈夫に出来てて良かったです。でなきゃ担架で運ぶ事すら出来なかった」



 その時のことを思い出してゲンナリした顔になるジュリアン。――複雑骨折の場合は下手に動かすことが出来ないからだ。


 何とか王都に秘密裏に移送して急ぎ王宮付きの医師をかき集めて緊急手術をしたのである。


 そのまま王宮内での療養に入ったのだが、何とエリザベスがやっと恋人となったカルザスが居ることを嗅ぎつけ押しかけて来た上、動けないカルザスに向かって



「熊と戦うなんて、もうやめて頂戴! お腹の赤ちゃんが私生児になっちゃうわ!!」



 と。


 叫んだのである・・・


 カルザス将軍はベッドの上で動けないまま慌てて赤面し、謝りながら喜び嬉し泣きをするという状態だったらしい。


 結果。彼等はニヤつく陛下の許可を得て晴れて夫婦になった訳である。


 マーシャル伯爵家側は、お転婆娘がやっと片付いたと諸手を上げて喜んだという事だ。



 平和である。



 但し、エリザベスは勘違いしていたが将軍は熊と戦ったのではなく、熊に襲われただけである。


 将軍の名誉(?)の為に、国王陛下から直々に彼女に説明があったらしい。



 ひょっとすると将軍閣下が戦った強敵は、もしかすると熊ではなくエリザベスだったのかも知れない・・・




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