44 バレましたッ!!
「陛下、カルザス将軍が至急お目通りしたいと申し入れがありましたが。如何いたしますか?」
侍従がお辞儀をした後、そう報告した。
「カルザスが? 珍しいな。通せ」
侍従が恭しくお辞儀をし、カルザス将軍が現れる。
そして開口一番
「陛下、娘にバレました」
「「え?」」
「ジュリーが男だって事がバレました・・・」
あ、やっぱりなと言う顔のジュリアンと、困り顔の将軍閣下。
そしてキョトンとした顔の国王陛下。
「2人共何があった?」
そう言って将軍とジュリアン、2人の顔を見比べた陛下であった。
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「ジュリアンのは不可抗力だな。まあ、お前にしては迂闊だったかもしれんがな。マシューの娘を守りきったのは称賛に値いする」
微妙な顔のまま頷くジュリアン。
「だが、マシュー。お前自らバラしてどうするんだお前の方が迂闊すぎるだろ」
「はぁ。つい亡き妻にそっくりな責め方をされまして、ペロっと喋ってしまいました・・・」
頭を掻く将軍は元々愛妻家であったため、そっくりな責め方をしてくる娘に負けたらしい・・・
「で、どうするんだ」
陛下の言葉に答えたのはジュリアンだ。
「陛下、俺。騎士寮に戻りますよ」
困り顔でジュリアンはそう言った。
「これだけ証拠も揃いましたから、後は陛下がセイブル家に婚約を白紙に戻すという通達をして頂ければ解決するでしょうし・・・」
ジュリアンは陛下の執務机の上に山と積まれた書類に目を向ける。
「確かに・・・」
「これ、多すぎんか?」
「閣下、ここ1年だけでコレだけ集まったんですから、少ないんですよ、コレでも」
呆れ顔でカルザス将軍を見るジュリアン。
「結婚なんかしたら嫡子が生まれる前に庶子が山程出来そうですよね」
「そうだな」
真剣な顔になる将軍閣下。
「男親からしたら絞め殺したくなるな・・・」
将軍の周りを殺気が漂う。
それを見て大笑いの国王陛下。
熊の代わりにトーマス・セイブル子息を絞め殺さないで下さいね、とジュリアンは心の中で呟いた。
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陛下の執務室を後にして軍部のある建物に入り執務室に向けて廊下を歩いていると、見慣れた茶色のフンワリした髪の毛の少女がじっと此方を見ているのに気がついた。
「イリーナ・・・」
「あの、騎士様? 髪のお色が・・・」
ジュリアンは長い髪の毛の先を慌てて掴む。
肩の辺りの色が薄くなり、毛先はもう元の色であるミルクティーブロンドだ。
ジュリアンは溜息をついて困ったように微笑むと、
「イリーナ。もう大丈夫」
「え?」
「君はもう自由になれる」
そう彼女に告げて、その場を去っていく。
「お義母様? ・・・」
イリーナはその場に立ち尽くしていた――




