43 バレたっ!?
「お父様っ!!」
友人達とは城門前で別れ、その辺りを歩いていた文官をとっ捕まえて将軍の執務室に無理矢理案内させ、ノックとほぼ同時に突然乱入したのは紛れもない将軍閣下の実の娘であるイリーナである。
「イ、イリーナ? 何でここに居るんだ?!」
「今日は訓練生の一般開放日なのでお友達と一緒に見学ですわッ! 其れよりお父様、お義母様の事ですっ!!」
「? ジュリーがどうかしたか」
「後っ! エリザベス様のことですっ!!」
「え」
ちょっとオタオタする将軍閣下。
「お父様、何か私に隠し事してますよねっ!!」
どんどん執務机の向こうから詰め寄ってくるイリーナに、亡き妻の面影を思い出す将軍。
「イリーナ、母さんにそっくりになったなあ・・・」
「亡くなったお母様に似て良かったです・・・、じゃなくてっ!! 今のお義母様ですわ。ジュリー様です」
「う」
ジロリ、と将軍閣下の強面を下から睨みつけるイリーナ嬢。
「あの方は男性ですねっ!」
「なんでバレたっ!?」
「やっぱり・・・」
「あ・・・」
将軍うっかりさんである。
まあ、多分娘限定だ。
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「陛下、トーマス・セイブル子息の不貞行為の報告書ですが」
国王陛下の執務室に資料の山を持ち込むジュリアンである。
「ステューシー、何だその真っ黒い頭は?」
「トーマス・セイブル伯爵令息が現在兵役中でして、バレたらマズいんで変装です」
「そうか・・・」
ジュリアンの真黒くなった髪の毛を呆れ顔で見ていた国王陛下は彼の提出したモノに目を向け、
「これ、もしかして全部か?」
そう言いながら書類の山を指さした。
「はあ。ここ1年だけでこれだけの量になりました。実に精力的な子息でして・・・」
若干目が泳ぐ陛下と涼しい顔のジュリアン。
「これだけ女性に対して有能なら、暗部でスカウトして使いたいくらいです。尤も腕っぷしは今一つなんで仕込む必要性はありますが」
「お前、それ本気で言ってるのか?」
「本気ですよ。仕事上、女をたらし込む事もありますからね」
「若干自暴自棄だな」
「まあ、ご存知でしょうが女嫌いですので」
シレっとした顔のジュリアンをチラリと見ながら
「それなのにマシューの娘にはべた惚れか?」
「・・・」
陛下の言葉に黙って青筋を立てるジュリアンである。




