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異世界冒犬譚  作者: さくら
正義の味方
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11話

よろしくお願いします

 俺の処遇についてひと悶着あったものの事なきを得た後は事情聴衆が始まった


結局、カイラが復活したとはいえどこにいるのかもわからない状況では何もできないとし、警戒を強めるという方針で話はまとまった


今は謁見の間での仰々しい話し合いは終わり、別室でレオンがポテアム皇帝からお説教されていたりする


部屋には俺とシャール、エルロッテと子供達、それとシュナイダーもいる。皇帝の後ろではローブを着たおじいさんが立っていた。筆頭魔導士であり、皇帝の相談役のカミーロという人らしい


「市井の者と仲良くするのは構わん。だが、立場あるものが軽々しく城を抜け出すなどもってのほかだ」


「はい。申し訳ありません」


「ましてや今回の件だ。結果皆が無事に帰ってこれたから良かったものの、皇族の一人が民を危険な目に合わせるとは言語道断だぞ」


「はい……」


「へ、陛下!」


レオンが目を伏せ粛々とお説教を受けているとシグルが声を上げた


「む? 君は確かシグルと言ったな? レオンと仲良くしてくれているそうだな」


本来であれば軽々しく皇帝に話しかけるなど、幼い子供であっても許される行為ではない


だが、皇帝自らがこの部屋に入った途端にそれを許しているのだ。器がでかいのだろうか


「は、はい! こ、今回の事ですが、おれ……僕達がレオンを無理やり連れだしたんです! 罰を受けるのは俺達です!」


「シグル! 君は黙って……」


「レオン。彼は余に話しているのだ」


「は、はい」


「では聞こうか。なぜ君たちはあの洞窟へと行ったのかね? 子供たちが行くような場所ではないぞ?」


「お、僕達は……悪い奴らをやっつけようと、それで……その」


「ふむ、たしか怪しげな集団が洞窟に集まっていたとか言っていたな?」


ポテアム皇帝は首を傾げながらシュナイダーを見る


「はっ! 既に皇国軍の手によって壊滅しております!」


「たしかその報告はレオンとそなたからだったな。その時も城を抜け出してたはずだが?」


「も、申し訳ありません! 私がついていながら……」


「ふぅ。良い。シグルと言ったか。君は何のために悪い奴らを倒しに行こうとしたのかね?」


「それは……」


シグルはもじもじと言い淀んでいる


「スターアビシオンは……正義の団だから……」


言葉に出すのはやはり恥ずかしいらしい


「ふむ? なるほど。君たちの信念はとても素晴らしいものだ。だが、君たちは幼い。何かあったら両親が悲しむだろう。正義の団スターアビシオンとやらはそれを許すのかね?」


「それは……」


「実は我々は君達と同じように正義の為の組織を作っているのだよ」


「え!?」


「国の為に戦い、民を護る正義の組織だ」


「そんなのがあるの!?」


「あるとも。皇国軍だ。君も志を共にするならば歓迎しよう」


「は、入れるの!?」


「もちろんだ。だが厳しいぞ?」


「へ、へっちゃらだよ! な? オミロ!?」


「え? う、うん」


「うむ、そうか。ならばまずは君達は見習いとして町の人達のお手伝いを頼もうか。いずれ力をつけた時は皇国軍の門を叩きなさい」


「うん!! わかった!! へへ、おい、やったな! オミロ!」


皇帝陛下お墨付きである。実際の所はどうかは知らないが子供からすればこれ以上ない賛辞と報酬だろう


「レオン」


「は、はい」


「お前はそこの見習い達の面倒を見なさい。ただし必ずシュナイダーを連れて行動しなさい。それから城を出るときは必ず一言いいなさい」


「は、はい!」


出るなとは言わないのね。想像してたよりはオープンな感じなんだな


「さて、シャール殿とエルロッテ殿」


ポテアム皇帝はシャール達の方を向き体を直す


「はい、皇帝陛下」


「此度の件、余の息子を守ってくれたこと、心から感謝する」


ポテアム皇帝は座ったまま頭を下げる


「陛下! そのようなことは!」


それを見て顔を青くしたカミーロが慌てて口を出す


「良い。これは皇帝としてではなく、一人の父親としての行動だ」


「しかし……」


「どうか顔をお上げください。皇帝陛下。お気持ちはありがたくお受けいたします。それに、いくら父親と言っても無理がございますわ」


皇帝である前に父親だと言いたいのだろうが、父親である前に皇帝でもあるのだ


「ふむ。立場と言うものは時に面倒なものだ」


「致し方ありませんわ」


「此度の行動は息子のみならず、我が国をも救ってくれたにも等しいと考えている」


逃げられたとはいえ、あのままカイラを放っておけば大惨事に繋がったかもしれないのだ。あの伝説の死霊術士を退けた功績は大きい


「私達だけでは危なかったかもしれません。ここにいるカール……ユグラシルの聖獣の力がなければ全滅しておりました」


シャールはそう言いながら俺を見つめる


まあ、俺じゃなくてユグラシル達なんだが


「ふむ。もちろん私はカール殿が聖獣だと信じたいが、国として認めるとなるとな」


「あ、いえ、そのようなつもりで言ったわけではありませんわ。そういえば、あの時のカールの言葉は……」


「うぉっほん! そなたらに何か礼をしたいと思うのだが」


あ、誤魔化しやがった


「それでしたら、土地を購入する許可が頂きたいのですが」


「ほう、土地か。どこか良さそうな場所はあっただろうか?」


ポテアム皇帝は後ろに控えているカミーロの顔を伺う


「そうですね。ブロケンタスの南にある場所がよろしいかと、以前バルミルス男爵が住まわれていた屋敷がございます。もはや廃墟となっておりますが」


「あそこか、ふむ、だがあそこは辺鄙な場所だ家の購入には向いてなかろう」


「はい、皇都内ですと既に売約済みばかりでして、新たに区画整理はしようとしていますが、今すぐには。バルミルス邸も少々金額が張ります。現在は五万ゴールドになります」


「ご、五万ですか」


手持ちのゴールドは以前聞いた話によると八千ゴールドと言っていた気がする。それでもかなりの大金なのだが、とてもじゃないが購入できる金額ではない


「さすがにそれはお支払いできませんわ」


「左様でございますが、そうなりますと現在お売りできる土地はありませんな」


ないわけではないらしい。ただ管理が行き届いていない土地を売るわけにはいかないと言う事らしい


「僕に払わせてください!」


レオンが突如名乗りを上げる


「レオン様!?」


「ほう、そなたがそのような大金を持っているとは知らなかったな」


「あ、いえ、もちろん今はないのですが。いつか必ず!」


その若さで借金持ちって、なにがそこまでさせるんだレオンよ


「お気持ちだけありがたく受け取らせてください。ですが、レオン様にそのような事をさせるわけにはいきませんわ」


シャールが丁重にお断りを入れる。そりゃそうだ


「ですがっ!」


落ち着けレオン。その容姿と地位を持っていながら茨の道をいくな


「ふむ」


ポテアム皇帝がその様子を見ながら顎に手を置き思案する様子を見せる


「よし。レオン。そなたにカイラ捜索の任を与えよう。何人かの護衛共に拠点として旧バルミルス邸跡地を授ける」


「よろしいので?」


「構わん。どのみちカイラの事は放ってはおけん。だが情報もなく皇国軍は動かせない。ならばレオンに情報を集めさせるのも良い。それにいずれはどこぞの領地を預けようとは思っていたが、なんの成果もなく授けることはできん。まずはかの地を復興するとともに目に見える成果を上げよ」


「は、はい! それで護衛とは?」


「ここに集まっておるだろう」


こうしてレオンと共に旧バルミルス邸復旧をすることになった



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