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異世界冒犬譚  作者: さくら
君が居る意味
124/126

14話

よろしくお願いします

 唐突な終わりを告げられ、その場にいる全員が声を出せずにいた


「お、終わるって……え? 皆、死んじゃうの? 本当に?」


シグルが誰に言うでもなく声を出す


『アイリスが放とうとしていたのは、我らへの影響は少ないものだった。だが、今回は違う。無差別だ。魔素を持つものはすべてこの光に取り込まれ……そして再び目を覚ます事はない』


「ふ、ふざけるな! なんで!? どうにかならないの!?」


オミロが取り乱す。だが、誰もそれを咎める事も、言葉をかける事もしない


「アカリウムがここまでするとはな……」


マグナスですら、どこか諦めているような口調だった


「そういえば、あんたは誰だ?」


ホグツが今更という感じでマグナスに声をかける


『マグナス。裏切りの神といえばわかるか?』


「え!? 裏切りの神? あの? え? なんで裏切りの神様が俺らを助けてくれたんだ?」


『我々も詳しくはわからん。かつてアカリウムと戦い破れたとはアカリウムから聞いておったが』


「人の肩を持った俺はアカリウムからすれば裏切り者とみられても仕方ないだろうな」


その言葉に全員が理解をする。かつて世界を乗っ取ろうと創造神アカリウムを裏切った神はどこにもいないのだと。目の前にいるのは、誰よりもこの世界と人を愛する美しい女神なのだと


「だが、今となっては、もはやそれもどうでもいい事だ」


マグナスは宙に浮かぶ光の玉を眺めながら言う。「結局はアカリウムの暴走を止める事はできなかった」


「できなかったって……諦めるのかよ!!」


オミロが噛み付く


「そうだよ! まだ死んでないんだから、諦めるのは早いよ!」


それに同意するようにリプシーが叫んだ。だが、マグナスは顔を伏せるだけだった


『曲がりなりにも創造神がその身を()して発動させた魔法を誰が止められる?』


セイファルが言う


「近づく事すら無理だ。いずれ、この場にもいられなくなるだろう」


マグナスがそれに同意する


光の玉はまるで空気を取り込む風船のようにその身を大きくしていた


「シグル!」


振り返るとシグルが苦しそうな顔で膝をついている。シグルだけでなく、リプシー、オミロ、ミルファも辛そうだった


「避難させた方がいい。まぁ、避難したところでいずれはすべての生き物がこうなる運命だがな」





 俺はその光景に釘付けになっていた。アカリウムが消えたと思ったら、目の前の輝く玉の中にアカリウムが入り込んでしまったのだ


玉の中では両膝を抱えたミニアカリウムが眠りについている


あれはなんなのだろうか


『世界は無に帰る』


セイファルの言葉に俺は振り向く。あの光の玉はアカリウムの命と引き換えにした爆弾なのだ


そこまでして、自分の世界を俺という害虫から守りたかったのだろうか


守りたいに決まってるか。俺だって、家の中に得体の知れない虫が入ったら大騒ぎして殺して捨てる


(俺が居る意味ってなんだろうな)


ふと、自分がこの世界に居る意味を考える。精神論というよりかは、論理的なほうだ。誰かのために生きるとか、生きがいが〜とかは、まあ、いくらでも思いつく


人は産まれながらにして意味を持つ。最たる理由が子孫を残すという事だ。だが、俺には子孫は残せない。だって、コーギーの雌いないだろうし


食物連鎖はどうだろうか。まあ、この前もトラに食われそうだったから、食われる事に間違いはないのだが……1匹しかいない餌ってどうなのよ。誰も養えないよ


ふと振り返り勇者達を見る。彼らは必要があって呼ばれたのだろう。だって勇者だもん。なら俺は? 俺はなんのために呼ばれたのだろうか?


再び、玉座を見るとアカリウムが閉じ込められた玉が、気がつけば俺の目線の高さにあった


そこで俺の中に一つの思考が生まれる。そろそろ俺にも役割があってもいいのではないだろうか


自己満足に近いところもある。必要とされたい。この世界に来た理由を作りたかった


なにかできる事はないだろうか。そう考えていると、突如として暖かい風が巻き起こる


「きゃっ!!」

「アイリス様!」

「レオン様!」

「これは・・・」

「うわぁぁぁ!!」


まるで、この場にいる事を許さないように、見えない力で押し出されそうになる


「くっ! おい! マリキャス! ドリタス! そいつらを城の外に連れ出すぞ!」


なんとか堪えていたマグナスがデーモン達に指示をする


「カール……」


そう、俺にはなにも起きていないのだ。まるで下手な舞台演技でも見ているかのように、皆が騒ぎ始めているのだ


「待ってください! ノクト……カールが!!」


一人、玉座に取り残された俺に向かってセレナが手を伸ばす


「これ以上、ここにいては危険だ!」


それを制するようにデーモン達が皆を抱え出て行ってしまう。俺一人を残して




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