バディの条件 6
「んでよ」
海東がそう言いかけたと同時に、少女の口が大きく上下に開く。
顔全体が口腔になったかと思うような人間離れした開けかただ。
首をうしろに反らせてガッと開けた口にするどく長い牙が生え、少女は頭から海東に突進した。
「うおっ」
海東がモッズコートを巻いた腕を盾がわりにして避ける。
モッズコートの端に牙が引っかかり、ほつれた。
「こういうのも、あとで縫ったりできっか?」
ザザッと後ずさった足もとをふんばりながら海東が問う。
「……あなた、ほんと僕のことなんだと思ってるんですか」
喉をおさえながら京也は反論した。
少女のあきらかに怪異めいた攻撃のしかたには何も言及はないのか。
すっかり慣れてしまったということなのだろうか。
おかげでこちらも平静が保てているがと京也は思った。
「というか、これで歌えなくなったらどうしてくれるんですか。仕事にならなくなったら警察に損害賠償請求しますよ」
「あー、そんときは」
海東がのんびりと返す。
少女の口がパカッとさらに大きく上下に開く。
ガチガチと牙を鳴らしながら突進する小柄な体を海東がふたたび避けた。
「しゃあないから生活くらい面倒みてやる」
「そういう問題ですか」
京也は顔をしかめた。




