バディの条件 4
「あ━━ちょうどいいとこにいた。俺のスマホなかった?」
門から、モッズコートを肩にかけた海東がのんびりとした声を上げて入ってくる。
京也は油汗を流しながらそちらに視線を向けた。
不本意だがすこしホッとする。
「お?」
海東がこちらの状況を見て目を丸くした。
「何やってんのおまえ。痴話ゲンカ?」
そう問いながらこちらにゆっくりと歩みよる。
こんな乱暴なケンカのしかたをする女性と付き合うわけがないだろう。
いやそれ以前に、どう見ても未成年。
京也は首を絞め上げられながら内心で反論した。
「あー、嬢ちゃん嬢ちゃん、それ殺人未遂。現行犯逮捕して少年課に引き渡すぞ」
海東が少女の手首をつかむ。
「あ、これだとセクハラとか言われるか」
もう片方の手で、肩にかけたモッズコートの内ポケットをさぐる。
何をのんきにやってるんだと京也は顔をゆがめた。
海東が少女の顔のまえに警察手帳をかざす。
「ちゃんと椀間署の私服警官な。嬢ちゃん、手ぇ離さないと署に同行してもら――」
「クソ役人があああ━━━━!!!」
少女が京也の首から手を離し、地を這うような低い声で絶叫する。
くるりとうしろを向くと、こんどは両手を高く上げ海東に向かって振りおろした。
海東がとっさに後ずさる。
ゲホッゲホッと咳をしながら、京也は少女の手元を見やった。
指先から長々とのびた鋭利な刃物のような爪。
海東のスマホで見た、警察の防犯カメラの映像と同じものに見える。
ほんとうにAI動画じゃなかったのか。
京也は喉をおさえた。




