洗い流されて、また見えなくなる
湿気で湿った空気の中、総体は始まった。
メ~ン ドー メーン コテえ~
僕の学校はいつもの空気を失くし、県大会への切符を失くした。
部長が僕に近づいてくる。
「隆二、頑張ってたな。俺たちのために頑張ってくれた。でも、そのポジションは実は言うとお前が良かった」
僕はもう十分あなた方に尽くしたつもりですが?
「そう、ですか。僕は僕なりの仕方で部長を支えられて良かったです」
雑音が遠くなる。僕を置いていかないで。
「そうか、俺と昇を探しにいかないか?」
情けなくても惨めでもかっこよくなっていいのかな?
「でも、僕絶対に遅いですよ?いいですか」
ははっ、と渇いた声で笑いながら行った
「あいつに風邪をひかれちゃあ困るだろ?あいつは俺の次のエースなんだからな!」
同情は返って迷惑なんです。まあ、昇なら素直に受け入れるだろうけど……
「そうですね。でも、どうやって抜けるんです?」
部長がドヤ顔になる。あ、嫌な予感
「俺は、負けた後の空気が嫌でな何回も抜けてるんだ。仲間もわかってる。もちろん先生もな」
負けた後の空気。誰のせいでもなく、誰のおかげでもない。
ただ、みんなが自分の試合を振り返り後悔するだけの空気。
僕はそんな雰囲気から逃げ出そうとは思わない。それも成長だから。
だけど、今日、僕は逃げる。後悔をしたくないから。
ゲロゲロ……ザー………ザザー……
バサ………
部長が傘を広げる
「ほい、入れ」
部長と相合傘か………てか、部長の傘でかいな
「ありがとうございます」
部長は僕の歩調に合わせてくれる。
「どこに向かおうか」
僕は無言でいるであろう場所を指した
「いないだろう、だってあっちに言ったじゃないか」
あいつは剣道が好きだ。きっと気になってた。戻ってくるに決まってる。あいつは剣道ができるから。
………パラパラパラ
僕の予想通り、体育倉庫の裏にいた。
部長は何か言うのを躊躇って
「尚武、君が行け。俺も昇のことを見てやれなかった。お前が一番見てた」
部長あるまじき失言ですけど……。
「はい。わかりました」
「俺は先戻るな。二人揃って風邪ひくなよー!禿山には誤魔化しておくからさ」
ポツポツポツ………
僕はゆっくり昇の横に立つ。
「ねえ、」
「何も言うんじゃねーよ」
ポタ………ポタ……
昇が顔を上げた頃には空は晴れていた。




