僕の支え
ガラガラガラ………
一番乗り、と思ったが昇がいた。
「昇」
僕が呼びかけると反対の方向を向いた
「俺だって負けねーから。剣道でもその、」
「楓のこと?」
「ああ、そうだ」
情けない背中に僕の背中をくっつけた
「いきなり何すんだ?」
とは言ったものの振り払いはしなかった
「総体、もうすぐだね。県大会ぐらいまでは連れていけよな」
背中合わせだったので見えなかったが頷いた気がした
ガラガラガラ………
人が来ると察知した昇がいち早く僕から離れる。
背中を預け切っていたので僕はバランスを崩した。
そんな間抜けな姿を楓に見られた
「尚武、それって新しい遊び?」
僕は間抜けな格好から起き上がれずそのまま返す
「違うよ急に昇がいなくなったから」
昇はすでに男子更衣室に隠れていた。
「支えがいなくなったら尚武はバランスを崩すんだね」
その一言はすごく小さな声だったが僕には聞こえた
そして女子更衣室に入っていった。
ガラガラガラ………
「日向。楓、様子がおかしいんじゃないの?」
「それは楓があんたに依存してきてるんじゃない?それにあんたも私を見つけると相談するのやめなさいよ」
ごめん、自覚がない………
僕が無言でいると呆れて女子更衣室に入っていった。
ギイ……
情けない犬のような顔で女子更衣室を見た。おい、変質者だぞ?
「楓とまだぎこちないのか?」
僕を見ると少し苦くて辛いような顔をした
「これは俺と楓ちゃんの問題だから」
バタン…………
ガラガラガラ………
一年生御一行だった
「あー、えっとおはよう!初日はごめんね?」
すると突然僕を見る目が光り輝いていた
「鹿山先輩ってすごかったんですね!小学生の全国大会の動画見ました!」
おう……。楓、それはちょっと……
「怪我のせいでできなくなっちゃったけどね。指導ならできるから、茂山と二人体制でね」
さらに光り輝く
「鹿山先輩ほどの人に教えてもらうなんて嬉しいです!あ、もう着替えなきゃ」
と、それぞれの更衣室に入っていった。
うん。なんていうかフレッシュって感じだ。
ふう、あと1日、邪魔くさい包帯を置いていける




