なんでだろうね?
幸せの夜から一週間。病院からの監禁から解放された。あと、家に着くとすぐに散歩に出た
チー……ジー……
蝉の声に少し驚いた
「夏が、戻ってきた」
僕の心がいつでもある場所、僕が止まってる場所
少し乾いた喉が湿った気がした。
「尚武。あんた、こんなとこで何してるの?」
日向……
「迷惑かけてごめんな、部のこと放り出しちゃってさ」
僕は照れて笑った
「楓があんたと昇の誤解を解いてさ、必死そうだったよ」
「なんで?」
僕は、別に戻らなくてもよかったけどね
「また、あんたと昇を部室で見たかったんだよ」
なんで、そんなこと決めつけるんだよ……
「嬉しいけどさ……、僕なんかに構わなくてもいいんじゃないか?楓も日向も」
日向はペットボトルの水を全て飲み干した
「あんたはすごい速さで私を置いていったんだよ?」
剣道ができたから?
「そんな自覚なかった……」
日向が日陰にあるベンチを指差した
チ………ッジジ
僕が腰をかけると日向は空を仰いだ
「私の方が早く始めたのにね。どんどんどん上手くなって、私の剣道の友達だってあんたに夢中だった。楓もね」
僕を睨む、でも、少し柔らかかった………気が、する…
「……でも、きっかけは日向だよ。すごく、生き生きしてた」
ッジジ………チッ
「褒めてるかわかんないけど、何にも出ないけど?」
わかってるよ……僕は少し苦笑いする
「そうだね。僕たちは日向を置いていかないよ。ていうか行けない」
チ……ジジッ
一瞬驚いた顔になった。すぐ僕の方を睨んだけど…
「あんたはすぐ置いていったんじゃない。楓もあんたを追いかけてった。私の隣にはいなくなってた」
少し強めの口調を受けた僕はなぜか柔らかい顔だった
「日向は、昔のように僕たちと時間も忘れて遊びたかったの?」
ッチ………ッジジジ
日向は小さく頷く
フハ……
僕が笑ったのに気づいてないのが助かった
「知ってたんだ。僕たち3人でいないと依存しちゃうことに」
ッチ………ジジジ
日向は渋い顔になり、ベンチから立ち上がる
「なんでだろうね。私は楓に依存し始めてる。楓はあんたに依存し始めて、あんたは私に依存してるよ。だから、私たちは離れられない。じゃあね」
いつからだろう。それぞれがそれぞれに依存し始めた。自覚がなかった。いるのが普通だったから。楓があの言葉を言ったのも依存からの言葉だったのかも知れない。
あと少しで包帯が取れる。ああ、どこへでも行ける気がする




