不器用な幸せ
……ピピ……ピピ……ツーツー……
ん?見覚えがある天井だった。近くの看護婦さんが僕に近づく
「あ、起きたんだー。きみ、立ちくらみで倒れちゃったんだってちょっと、保護者の方呼んでくるから待っててね」
会いたくないな………母親にも医者にも
丸メガネをかけた中年の医者が僕の横に立つ
「そうだね、ちょっと病院で様子を見る感じで行こうか」
僕は丸いメガネに見下されながら声を出した
「大丈夫ですよ、少し疲れちゃっただけです」
呆れられた声を出された
「精神的に疲れちゃってます。見ればわかるほどにね」
「はあ……」
母親も納得したので僕は一週間病院に監禁させられた。
隆二だけ、見舞いに来てくれた。
「ごめんな、こんな姿で」
「んーん。大丈夫だよ」
僕はできるだけ優しい声がけを意識した
「部活はどうだ?」
「尚武、部活のこと、今は考えずに休んでよ。俺もみんなも頑張ってるもん」
みんな、僕を待っているのかな………
「みんな、待ってるよ。そんな不安な顔すんなって。今度は俺の番だからさ」
じゃあな、っと手を振りながら帰ってた。
隆二、ありがとう。
僕が今向き合うべきは………
ガラ………
「急に呼び出して、ごめん。楓」
「全然。大丈夫」
……………ツーツー
「あのさ」「あのね」
………………
楓がお先にどうぞと顎を前に出す
「なんで、真っ先に僕を言ったの?」
「尚武はどうするの?誰を選ぶの?」
息が苦しくなる……
ただ、楓に見られるだけで心臓を掴まれているみたいな
「僕は身勝手だけど自分を選んじゃう」
…………
「全員、優しいもんね。でも、尚武はきっと苦しくなって忘れちゃうよ?」
楓の言う通りだ。僕は逃げ続ける。
「でも、それでも君らは夢で叩き起こすだろう?」
クスっと笑った
「そうだね。夢枕に立って、覚えとけ~って脅すかもね」
僕は楓の目をしっかり見た
「それで、なんで僕を選んだの?夢に出たい訳じゃないよね」
…………
「一番、尚武が生きたがってるから。昇でも日向でも私自身でもない、そう言う君のところ好きだよ」
……………………
「じゃあね」
少し目を潤ませて笑って出ていった
ガラガラガラガラ………
僕は誰もいないことを確認した
「何嬉しがってんだよ………」
窓を見て、自分のにやけ顔を確認する。
これが、幼馴染を傷つけたやつだろうか?ライバルに酷いことをする奴の顔だろうか?
ただ、今は幸せだった




