喉が渇く
ピピっーーーーーーー
…………ツーツー……治ったとしてもスポーツ全般無理でしょうね
ピピっピピ………
目覚めの悪い朝だった。
「はあ、はあ。くそっ」
土曜か。部活がある。行かなきゃ、僕が部長だから。起きなきゃ、行かなきゃ、謝らなきゃ
………クソ…
ピンポーン……
誰が来たのか一瞬で分かった
ガチャ………
「尚武、楓ちゃん。部活で何かあったの?」
朝ごはんも昼ごはんも食べず降りてこない息子を心配していた
「大丈夫、楓には今ちょっと会いたくない」
母親は厳しい口調になった
「何があったか知らないけど、いい気分転換になるわ。いってきなさい」
口答えしても何にも生産性がないと思ったので指示に従う
ギシ……ギシ………ガチャ……
楓、一人らしい。日向と二人で来てるかと思った
「ん、何?ごめん。今は」
珍しく悲しそうに眉を下げていた
「私のせい?私が昇くんの」
僕は首を振った
「その話、しなくていいよ。僕が出て来ちゃったんだろ?」
きっと、今頃二人とも泣いてる。楓の心には昔の僕がこびりついてるから
「………最近、日向とも話さないんだ。なんで?私、悪いことしたかな?拒絶しないのは尚武だけだよ」
僕も今だけは君を拒絶した。母親はわかっていたのかもしれない。
「ねえ、楓。絶対に決めてって言われたら決められてる?」
よくわからないと、とぼけた顔をする。
「楓、もしも、もしもさ、一人だけ助けるとしたら誰を助ける?楓自身、僕、日向、昇」
悩むかと思ったら、即答だった
「尚武」
風が止まった気がした。ただ、ただ、喉が渇いた




