ふわふわ寝癖
今日は部活の錬成大会、みんなの親御さんの車で送ってもらう。
僕は楓のお父さんの車だった。
僕が剣道場に行こうとすると、隣の家から
「乗っけてくよ、尚武くん」
ひょこっと楓のお父さんが出てきた
「ありがとうございます!」
ブ~ン……ブ~ン……
「楓、おはよう」
まだ眠たいのか、寝癖がふわふわと代わりに挨拶してくれた。
ブ~ン…… バタン……
剣道場に着いたようだ。まだ、早い時間なので誰も着いていない。
剣道場の静けさが朝日で溶けていった
「それじゃあ、楓のお父さんと隆二のお父さんの二つに分けて行くよ。二年生は楓のお父さんの車、一年生は隆二のお父さんの車」
隆二が焦ったように声を上げる
「え、じゃあ、俺も楓ん家の車にいく!」
隆二のお父さんのことも考えてあげて……
「私の家の車でっかいもんねー。多分入るよ~!」
そいうことじゃあないんだけど……
「でも、まあ、一年生だけの方が気楽かな?」
一年生を見渡す。うん、大丈夫そうだね。
「それじゃあ、行こうか、はい!運転してくれる保護者の皆様によろしくお願いします!」
ガチャ……バタン……ブ~ン……
ふう……一息つける
「あ、そうだ、これ、今日のオーダー」
昇が僕から紙を取り上げる
「はっ?なんで俺が先鋒なの?隆二が大将?納得いかねえ」
隆二が昇から紙を取り上げる
「え、なんで?俺が、実力的に俺は中堅ぐらいじゃん」
僕は隆二から紙を取り上げる
「くしゃくしゃにすんなよ。てか、考えたの禿山だから」
僕はいいと思う。勢いがある昇が先に行き、隆二は大将レベルでも戦える。
「どのポジションも大事だし、昇が過小評価されてるわけでもないよ」
……不服そうだし、こっちはこっちでガッチガチだし……。
「ま、うまく行きそうになかったら変えると思うし、やってみるだけだよ」
昇は僕に興味をなくしていて、ふわふわの寝癖に夢中だった。
ブ~ン……ブ~ン……ガチャ……バタン
ガチャ……バタン……ブ~ン……ブ~ン……
よかった。すごくよかった。やっぱり昇が前にいた方がチーム全体に勢いがつく!隆二も隆二で大将でも戦えてる!一年生たちも頑張ってるから……
「難しい顔して何考えてるの?」
楓が前の席から話しかけてる。
「いや、今日のオーダーすごくよかったなあ~と思ってさ」
僕はチラッと昇と日向の方を見る。どうやら疲れ果てて寝ているようだ
「そうだね~。でもちょっと隆二くんは荷が重たそうな感じがした……」
隣の隆二が会話に入ってくる
「でも、昇が先鋒っていうのはめっちゃいいと思う。俺も安心して戦えた!」
僕は隣の隆二を見つめる
「隆二、今日、辛かったか?チームの安定とかは考えず、自分のことが一番でいいよ」
ブンブ~ン……
「俺、楽しかったよ。俺でも大将として渡り合えるんだと思って!」
そう思ってくれて嬉しいよ。今日のオーダーは僕が茂山に頼みにいったからな……
「そうか、よかった。隆二の負担が心配だった。疲れたろ?目だけでも閉じておきなよ」
そういうとうとうとし始めた
ブ~ンブ~ン……
ガチャ……バタン……
みんなを送り届けた後、僕たちの家へと向かった
今日はあまり蝉のざわめきを聞かなかった気がする。
もうすぐ秋の便りが風に乗ってくるだろう。




