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断界の英雄  作者: 明太子
天断来臨
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侵入者

爆発音が響いてから数分後、屋敷の奥深くは不気味なほど静かだった。

足音だけがやけに響いている。


雷牙がきょろきょろと周りを見回す。

「なぁ悠雅、敵いなくね?もう終わりじゃね?」

気の抜けた声。


悠雅は前を見たまま答える。

「そんなわけないだろ」

短く、それだけだった。

「こういう静けさは大体――」


その時だった。

天井が軋む。

「ん?」


雷牙が顔を上げた瞬間、天井が内側から歪み、そのまま一気に突き破られた。

木材が弾け、瓦礫が降り注ぐ。


その中心から、人影が落ちてくる。

床に着地した衝撃で空気が揺れる。


埃の中で、その男はゆっくりと顔を上げた。

「……あれ」

間の抜けた声。


周囲を見回す。

「二人?」


少し考えるように間を置いてから、ふっと笑う。

「少な」


雷牙が一歩前に出る。

「お前誰だよ」


男は少しだけ首を傾ける。

「名前?」

一瞬だけ考えた。


そして、

「……カナガラ」

軽く名乗った。

「別に覚えなくていいけど」


視線を雷牙に向ける。

「どうせ壊れるし」


雷牙の眉がピクッと動く。

「は?」


「ねぇ」

楽しそうに。

「どれくらいで壊れる?」


次の瞬間、雷牙の体が前に引きずられる。

「うおっ!?」

足が浮く。


勝手に前へ引っ張られる感覚。

「なんだこれ!?」

無理やり踏ん張るが、止まらない。


悠雅がすぐに口を開く。

「磁気か」

低く言う。


男の口元がわずかに上がる。

「正解」

指がわずかに動く。


それだけで雷牙の体勢が崩れる。

装備が引かれ、バランスが狂う。

「うっぜぇなこれ!」


雷牙が無理やり踏み込み、雷を纏った。

「だったら関係ねぇ!殴ればいいんだろ!」


一気に距離を詰め、雷をまとった拳を振り抜く。


だが、当たる直前で軌道がズレた。

拳がわずかに逸れ、壁を砕く。

「……あれ?」


男が首を傾ける。

「今のいいね」

楽しそうに言う。

「もう一回やって!」


雷牙のこめかみに青筋が浮かんだ。

「ふざけんな!」


再び踏み込む。

だが今度は体ごと横に弾かれた。

見えない力で、叩きつけられる。


「がっ……!」

そのまま床を転がる。


「雷牙」

悠雅が前に出ると、空気が重くなった。

重力が落ち、その場の圧が変わる。


「なら、こっちだ」

男の足元が沈み、床が軋む。

確かに押している。


だが、男は笑った。

「いいね、それ」


少しだけ体が沈み、それだけで終わった。

「もっとやってみてよ!」

楽しそうに言う。


悠雅の目が細くなる。

「……余裕か」


次の瞬間、周囲の空気が変わる。

床の中や壁の中から、金属が引きずり出される。

見えなかったものまで浮かび上がる。


「おいおいマジかよ」

雷牙が起き上がる。

その視線の先で、無数の金属が宙に浮いていた。


男が軽く手を振る。

それだけで、それらが一斉に動き出す。


雷牙たちへと向かう。

「逃げてみてよ」

その声はどこか楽しそうだった。


雷牙がニヤッと笑う。

「上等だよ」


雷を纏い、前に出る。

「全部ぶっ壊してやる!」


悠雅は小さく息を吐く。

「……本当に考えないな」


だが、その横に並ぶ。

「いいだろ、やるしかない」

二人が同時に踏み込む。


その一歩が、遊びの始まりだったーー

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