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断界の英雄  作者: 明太子
星喰天誅
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110/115

同類

「さぁ、遊ぼうぜ」

ラグナは獰猛な笑みを浮かべながら、ゆっくりと両拳を構えた。

対する雷牙は、一歩前へ出る。


かつて多くの人々で賑わっていたその場所には、今や静寂しか存在しない。

そこにいるのは、一人の技能者と一人の異能者だけだった。


「お前が救助要請を出したのか」

雷牙の問いに、ラグナは肩を竦める。

「さぁな。俺はただ、ここで待ってろって言われただけだ」

「待ってろ?」

「そうだ。強ぇ奴が来るってな」


ラグナは口元を歪める。

「そしたら本当に来た。しかもお前、電気……いや、雷使いだろ?」


雷牙の眉が僅かに動く。

「……なんで分かった」


「分かるさ!!」

ラグナの身体から、バチバチと電気が漏れ出す。

青白い雷光が周囲を照らした。

「だって、俺も同じだからな!」


間髪入れず、ラグナが地面を蹴った。

雷牙が反応するよりも早く、拳が目の前まで迫る。

速い、だが。


「ッ!」

雷牙は咄嗟に腕で受け止める。

衝撃でコンクリートの床が砕ける。


「へぇ」

ラグナは嬉しそうに笑った。

「今のを止めるか」


雷牙は距離を取る。

「お前、何者だ」


「俺の名前はラグナだ」

ラグナは笑う。

「お前は?」

「……神崎雷牙」


一瞬の静寂の後に、ラグナは腹を抱えて笑い始めた。

「ハハハハハ!雷牙!?お前最高じゃねぇか!まさか名前まで雷とはな!!」


雷牙は顔を顰める。

「何がおかしい」


「いーや、気に入ったぜ!!」

ラグナは拳を鳴らした。

「もっと楽しませてくれよ、雷牙!」


再び拳と拳がぶつかりあう。

衝撃と共に、無数の雷が弾けた。

轟音と共に天井の照明が一斉に砕け散る。

フードコートが暗闇に包まれた。


だが、二人の身体から漏れ出る雷が、戦場を青白く照らし出す。


ラグナの拳と雷牙の拳。

互いの攻撃が激しく交差する。


「いいねぇ!いいねぇ!!」

ラグナは笑う。

「その目だ!簡単には倒れねぇって顔してやがるぜ!!」


雷牙は無言のまま拳を振るう。

(次は右、右、左、電撃)

修行前なら見切れなかったはずの攻撃にも、今の雷牙は食らいついていた。

ラグナの頬を拳が掠める。


ラグナは目を見開いた。

「……へぇ、やるじゃねぇか」


直後、ラグナの膝が雷牙の腹部へと突き刺さる。

「がっ……!」


雷牙の身体が吹き飛ぶ。

机を三つ巻き込みながらようやく停止した。


「だが、まだまだだ!」

ラグナの姿が消える。


「ッ!?」

雷牙は咄嗟に振り向くが遅かった。

背後からラグナの蹴りが炸裂する。


再び雷牙は吹き飛ばされる。

「速い……!」


雷牙は立ち上がる。

ラグナは楽しそうに笑っていた。

「いいぞ、雷牙!もっとだ!もっと俺を楽しませろ!」


雷牙は雷を右腕へ集中させる。

そして、一気に距離を詰めた。


「紫電撃!」

雷を纏った拳がラグナへ迫る。


直撃ーーしたはずだった。

「……電遷!」


「……なっ」

ラグナの身体が弾ける。

身体そのものが雷へと変わり、空中へ散った。

雷牙の拳は空を切る。

「消え――」


刹那、背後から声がした。

「お前はそんなもんか?」


雷牙が振り返る。

そこには、電気となって移動したラグナが立っていた。

「もっと楽しませてくれよ、雷牙」


雷牙は目を見開く。

そして、再び拳を構えた。

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